小惑星探査機“はやぶさ”の後継機として、2014年12月にH-IIAロケット26号機で打ち上げられた“はやぶさ2”。
探査の目的は、C型小惑星“リュウグウ”でサンプルを採取し、太陽系の起源や進化と生命の原材料物質を解明することでした。
現在は地球まで9200万キロの位置まで戻っていて、地球帰還予定日が12月6日になるようです。
地球を目指してイオンエンジンの運転中
昨年の11月に小惑星“リュウグウ”を出発した小惑星探査機“はやぶさ2”は、地球を目指して5月12日からイオンエンジンの運転を実施しています。
イオンエンジンの運転が行われるのは8月末までで、必要な速度変更量のノルマを達成すると運転を止めて軌道を精密に計測。
その後、軌道の微調整をするため、最後に1週間程度イオンエンジンを噴射し、10月からは化学エンジン(スラスター)を用いた軌道微調整を数回行うことになっています。
現在、地球まで9200万キロのところまで戻ってきている“はやぶさ2”。
太陽からの距離は約2億キロで、地球を外側から追いかける方向に飛行中で残された工程は約3.2億キロです。
地球帰還とカプセルの分離
これまで、今年の11~12月頃とされていた地球帰還予定ですが、今回の記者発表会では12月6日(日)が地球帰還になっています。
現在、JAXAでは宇宙物体のオーストラリアへの着陸許可を申請中。
許可取得に向けてJAXAとオーストラリア宇宙庁が協力して作業を実施しているそうです。
地球に帰ってきた“はやぶさ2”は大気圏に突入することなく、“リュウグウ”のサンプルが入っているとみられるカプセルを分離します。
分離されたカプセルは高度約200キロで大気圏に再突入し、高度10キロまで降下したところでパラシュートを開いて、オーストラリアのウーメラ地区に着地。
カプセルは光学観測やビーコンの情報などから位置が調べられて探索、回収されることになります。
拡張ミッションで向かう天体の絞り込み
カプセル分離後の“はやぶさ2”に残るイオンエンジンの燃料は約55%とみられています。
また、イオンエンジン自体も1万4000時間の設計寿命に対して、帰還までの累積の運転時間は7000~8000時間ほど。
地上試験では、すでに6万時間以上の運転も達成しています。
このことからJAXAではイオンエンジンが使用可能と判断。
“はやぶさ2”は地球に着陸するとなくエスケープ軌道に入り、拡張ミッションのため別の天体を目指すことになります。
ミッションの延長を考える上で重要になるのは、地球に帰還するときの探査機の熱制御です。
帰還時の“はやぶさ2”は、地球の公転軌道よりも内側に入るので、これまでの飛行で最も強く太陽熱を受けることになります。
この熱に十分耐えられるかどうかを計算などで見極めたうえで、拡張ミッションで向かう天体を絞り込むそうです。
そこで、気になるのは目標になる天体。
残りの燃料を考えると、次に向かうことができるのは火星軌道より内側の範囲にある天体に限られれてしまいます。
残りの燃料を考慮すると、目標天体の探査は単なるフライバイ(天体のそばを通過しながら観測を行う探査)になるのでしょうか?
それとも、探査時間を長く取れるランデブー(天体と速度を合わせ、天体の近傍に長時間滞在する探査)になるのか?
地球帰還の日付が発表されたことで一層期待が膨らむ“はやぶさ2”のミッション。
残り5か月、計画が無事に遂行されることを願いましょう。
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探査の目的は、C型小惑星“リュウグウ”でサンプルを採取し、太陽系の起源や進化と生命の原材料物質を解明することでした。
現在は地球まで9200万キロの位置まで戻っていて、地球帰還予定日が12月6日になるようです。
地球を目指してイオンエンジンの運転中
昨年の11月に小惑星“リュウグウ”を出発した小惑星探査機“はやぶさ2”は、地球を目指して5月12日からイオンエンジンの運転を実施しています。
イオンエンジンの運転が行われるのは8月末までで、必要な速度変更量のノルマを達成すると運転を止めて軌道を精密に計測。
その後、軌道の微調整をするため、最後に1週間程度イオンエンジンを噴射し、10月からは化学エンジン(スラスター)を用いた軌道微調整を数回行うことになっています。
現在、地球まで9200万キロのところまで戻ってきている“はやぶさ2”。
太陽からの距離は約2億キロで、地球を外側から追いかける方向に飛行中で残された工程は約3.2億キロです。
復路の第1次運転ではイラストのように3台のエンジンで噴射が行われ、太陽から遠ざかって太陽電池の発電量が下がるとともに、2台運転から1台運転に切り替えられている。現在の第2次運転も1台で行われていて、8月から2台運転に切り替えられる見込み。(Credit: JAXA) |
地球帰還とカプセルの分離
これまで、今年の11~12月頃とされていた地球帰還予定ですが、今回の記者発表会では12月6日(日)が地球帰還になっています。
現在、JAXAでは宇宙物体のオーストラリアへの着陸許可を申請中。
許可取得に向けてJAXAとオーストラリア宇宙庁が協力して作業を実施しているそうです。
2020年8月10日に着陸想定地(ウーメラ立入り制限区域)を管轄するオーストラリア政府から着陸許可が発行された。
地球に帰ってきた“はやぶさ2”は大気圏に突入することなく、“リュウグウ”のサンプルが入っているとみられるカプセルを分離します。
カプセル分離から着陸までの流れ。(Credit: JAXA) |
カプセルは光学観測やビーコンの情報などから位置が調べられて探索、回収されることになります。
“はやぶさ2”の運用計画。(Credit: JAXA) |
拡張ミッションで向かう天体の絞り込み
カプセル分離後の“はやぶさ2”に残るイオンエンジンの燃料は約55%とみられています。
また、イオンエンジン自体も1万4000時間の設計寿命に対して、帰還までの累積の運転時間は7000~8000時間ほど。
地上試験では、すでに6万時間以上の運転も達成しています。
このことからJAXAではイオンエンジンが使用可能と判断。
“はやぶさ2”は地球に着陸するとなくエスケープ軌道に入り、拡張ミッションのため別の天体を目指すことになります。
ミッションの延長を考える上で重要になるのは、地球に帰還するときの探査機の熱制御です。
帰還時の“はやぶさ2”は、地球の公転軌道よりも内側に入るので、これまでの飛行で最も強く太陽熱を受けることになります。
この熱に十分耐えられるかどうかを計算などで見極めたうえで、拡張ミッションで向かう天体を絞り込むそうです。
そこで、気になるのは目標になる天体。
残りの燃料を考えると、次に向かうことができるのは火星軌道より内側の範囲にある天体に限られれてしまいます。
残りの燃料を考慮すると、目標天体の探査は単なるフライバイ(天体のそばを通過しながら観測を行う探査)になるのでしょうか?
それとも、探査時間を長く取れるランデブー(天体と速度を合わせ、天体の近傍に長時間滞在する探査)になるのか?
地球帰還の日付が発表されたことで一層期待が膨らむ“はやぶさ2”のミッション。
残り5か月、計画が無事に遂行されることを願いましょう。
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