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ネオワイズ彗星の地球最接近は7月23日! いつ? どの方向に見えるの?

2020年07月22日 | 流星群/彗星を見よう
ここ10年余りで最も明るい彗星になるかもしれないネオワイズ彗星が、地球に接近してきています。

見るべき場所さえ分かっていれば肉眼で十分見える明るさ(3等前後)のネオワイズ彗星。
貴重な天文ショーを見ようと、夜明け前の早起きを始めた天文ファンもいるようです。

現在のネオワイズ彗星の尾の長さは5度ほどで、これは満月の見かけの大きさの約10倍にもなります。
この調子で尾が伸びていけば、とてもドラマチックなことになりそうです。
ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスの宇宙飛行士イワン・ワグナー氏が、国際宇宙ステーションからツイートしたネオワイズ彗星の写真。(Credit: IVAN VAGNER, ROSCOSMOS)
ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスの宇宙飛行士イワン・ワグナー氏が、国際宇宙ステーションからツイートしたネオワイズ彗星の写真。(Credit: IVAN VAGNER, ROSCOSMOS)


ネオワイズ彗星が見える時間帯と方角は?

7月の中頃までは、夜明け前にしか見ることができなかったネオワイズ彗星。

遅くとも日の出時刻の45分前には外に出て、眺めるのは北東の地平線のすぐ上。
ネオワイズ彗星は“ぎょしゃ座”のカペラという明るい星のすぐ下にあり、東には金星(明けの明星)が見えるはずです。

7月15日からは夕方の空で見るようになり、さらに見つけやすくなります。

日没後の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下に見え、日を追うごとに地平線からの高度が高くなっていきます。
レバノン上空のネオワイズ彗星。7月8日に撮影された写真から作成された画像。(Credit: MAROUN HABIB)
レバノン上空のネオワイズ彗星。7月8日に撮影された写真から作成された画像。(Credit: MAROUN HABIB)
ネオワイズ彗星は貴重な天文ショーを見る絶好のチャンス。
観察する時間と眺める方角の他に双眼鏡が役立ちそうです。

過去数日間にソーシャルメディアに投稿された写真を見ると、ネオワイズ彗星はかなり見ごたえがあることが分かります。

1997年の夜空に輝いたヘールボップ彗星以来の明るさになるかもしれません。


太陽をかすめて地球に接近中

3月下旬にNASAの赤外線天文衛星“NEOWISE”が発見したことにちなんで命名されたネオワイズ彗星。
正式名称は“C/2020 F3(NEOWISE)”になります。

ネオワイズ彗星は、日本時間の7月4日に太陽に最も接近する“近日点”を通過。
消滅せずに今もなお姿が見えているので、天文ファンはホッとしたはずです。

太陽に接近した時の高温に、彗星の多くは耐えることができません。
しばしば“汚れた雪玉”と表現される彗星の核は、岩石、チリ、ガス、氷からできていて、極度の高温になると崩壊しやすくなるからです。

彗星は太陽に近づくにつれ高温になり、様々な物質を放出し始めます。
これが美しい尾の正体なんですが、核が完全に崩壊して消えてしまうこともあります。

この試練に耐え抜いたネオワイズ彗星。
太陽への最接近を果たした今も、ガスとチリでできた長い尾をたなびかせているんですねー
あと1か月ほどはよく見えるようです。

近日点を通過した今は、太陽光の反射が少なくなっていきますが、彗星自体は地球に近づいてきています。

地球に最接近するのは7月23日で、地球から1億300万キロのところを通過。
その後は、地球からも離れて徐々に見えなくなり、太陽系外縁部に帰ってしまいます。

最高の条件でネオワイズ彗星を見るには、早起きして明け方の空の低いところにある彗星を見るべきでしょうか?
それとも、7月中旬以降に夕方の空の見やすい位置に来ている彗星を観察するべきでしょうか?
7月前半までだと早起きして、7月後半からは日没後の観察になります。

ただ、天文ファンの多くが気にしているのは、のんびり構えている間にネオワイズ彗星が見えなくなってしまうこと…
いま見逃してしまうと、次回ネオワイズ彗星が巡ってくるのは6800年後です。

地球に最接近する7月23日から4連休が始まるので、日没後の20時頃に、尾の伸びた明るいネオワイズ彗星を楽しんでくだい。
貴重な天文ショーを見る絶好のチャンスですよ。
7月23日20時30分の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下にネオワイズ彗星(C/2020 F3)が見える。
7月23日20時30分の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下にネオワイズ彗星(C/2020 F3)が見える。


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