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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

彗星の観測に成功したのは、日本の手のひらサイズ宇宙望遠鏡

2015年10月19日 | 宇宙 space
日本の宇宙望遠鏡“LAICA”が9月13日に、
地球から3500万キロ離れたところからチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を撮影。

彗星周辺に存在する水素ガスの新たな全体像を、とらえることに成功したんですねー
宇宙望遠鏡“LAICA”


水素原子が放つ紫外線に特化した望遠鏡

立教大学の研究室を中心に東京大学とJAXAが共同で開発した、
主鏡口径75ミリの手のひらサイズ宇宙望遠鏡が“LAICA”です。

研究室の学生が中心となって、
望遠鏡の設計・組み立てからロケット発射の衝撃や、
探査機内で想定される温度変化に対する耐久性を、
確認する実験まで実施。

世界初の50キロ級超小型深宇宙探査機“PROCYON”に搭載されて、
2014年12月に“はやぶさ2”と共に打ち上げられました。

“LAICA”は水素原子が放つ紫外線(水素ライマンα線)の観測に特化した望遠鏡。

地球から3500万キロも離れた宇宙を航行しているので、
地球周辺にある明るい水素コロナの外からの観測が可能。

そのおかげで、小さいながら、
“すばる望遠鏡”や“ハッブル宇宙望遠鏡”でも不可能な観測さえ行うことができるんですねー

その“LAICA”が、
彗星探査機“ロゼッタ”が探査中のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を観測し、
非一様な形状をとらえることに成功。

この形は太陽光の圧力だけでは説明できず、
ジェットの影響を受けている可能性が高いと考えられています。

これまでにも宇宙望遠鏡が彗星の水素ガスを観測した例はありました。

でも、球状に近い形をしていたり、
細かい分布をとらえられず形状が不明だったりしていて、
ジェットに起因すると考えられる非一様な形状は、
とらえられていませんでした。
紫外線波長で撮影されたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(右)と、
同時撮影された恒星像(左)。
彗星は恒星像と比較して非一様な形状をしている。


早くて安い宇宙望遠鏡の力

わずか1年で低コストで開発された“LAICA”が、
2.7億キロ離れた彗星の観測に成功したことは大きな成果になるんですねー

今回の観測により、“ロゼッタ”のように彗星の近くまで行かなくても、
水素ガスの観測は可能だということが明らかになりました。

なので“LAICA”は、
他の彗星におけるジェットのような活動をとらえるための、
効率的で有効な手段がになると考えられます。

今後は、“ロゼッタ”や惑星分光観測衛星“ひさき”などによる成果と合わせて、
彗星ジェットと水素ガス分布の研究を進め、その関係の解明を目指すそうです。


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