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彗星に大量の酸素分子があった!? 探査機“ロゼッタ”が検出

2015年11月07日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を観測中の探査機“ロゼッタ”が、
彗星から放出される大量の酸素分子を検出したんですねー

驚くべきこの観測結果は、
彗星が作られる時に酸素が取り込まれたことを示していて、
太陽系形成論にも影響を与える可能性があるそうです。


予測よりも多かった酸素の量

ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機“ロゼッタ”は、
過去1年にわたり、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を観測し続けてきました。

その観測から、
水蒸気や一酸化炭素、二酸化炭素、さらに窒素や硫黄、希ガスなどが、
彗星の核から吹き出す様子が記録されています。
10月18日に433キロの距離から撮影されたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星

今回の研究では、酸素分子の存在を確認するため、
昨年の9月から半年間で、彗星の周りから集めたサンプルを分析。

その結果、水に対して1~10%、平均約3.80%の酸素が検出されたんですねー
これは、予測よりも1桁多い驚きの結果でした。

検出された酸素分子の量は、水の量と深い関係を示していて、
その起源と放出メカニズムが関係していることを示唆することに…

また、半年間で彗星と“ロゼッタ”は太陽へと近づいて行くのですが、
酸素と水の割合は変わらなかったそうです。


酸素分子が壊れず残った理由

酸素は宇宙で3番目に多い物質で、
水やオゾンという形では様々な天体で検出されています。

でも、気体の酸素分子は反応性が高く壊れやすいので、
気体の形で存在をとらえることは難しいんですねー

なので彗星で、これほど多くの酸素分子を検出するとは、
本当に予想外のことでした。

たぶん酸素分子は彗星が作られる以前か、
その最中に存在し、彗星に取り込まれたようです。
つまり太陽系より古いものと考えることができます。

でも、現在の太陽系形成モデルでは、
それを簡単に説明することができないんですねー

さらに、これまでの説では、
チュリュモフ・ゲラシメンコなどの彗星上に、
酸素は存在しないはずだとされていました。
硫黄(S)やメタノール(CH3OH)と比較した酸素(O2)の計測結果。
異なる色の線は、別々の日の観測に対応している。

酸素分子は、太陽系が原始星雲だった初期の段階に水の氷に取り込まれて、
その後、化学的変化を起こさずに存在し続けたのかもしれません。

あるいは、凍ったチリの粒子の放射線分解が彗星の成長前に起こり、
水素が拡散して酸素が水にならずに残ったという説もあります。

酸素がどのようにして形成されたのかはともかく、
さらなる化学反応によって破壊されるのを免れるように守られていた、
とうことが気になります。

ひょっとすると太陽系形成の過程は、
これまで考えられていたよりも「穏やか」だったのかもしれません。

そして、このことは彗星研究分野以外に、
太陽系形成モデルにも影響を与えるかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 彗星着陸機“フィラエ”のデータから16種の有機物を発見。


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