探査機“ロゼッタ”により得られた2年分のデータから、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の色が、太陽からの距離によって変化していたことが分かってきました。
太陽から遠いときにはコマが青く核は赤、太陽に近づくとその反対になっていたようです。
史上初めて彗星の周回軌道にのった探査機“ロゼッタ”
2004年3月2日、1つの探査機が彗星に向けてギアナ宇宙センターから打ち上げられました。
名前は“ロゼッタ”、ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機です。
古代エジプト文字ヒエログリフの謎を解読する手掛かり、石板“ロゼッタストーン”にちなんで名付けられた。
“ロゼッタ”は10年を超える64億キロの航海を経て、2014年8月6日に目的地の“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に到着。
史上初めて彗星の周回軌道にのり観測を始めることになります。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”は太陽系初期に生まれた彗星。
そう、“ロゼッタ”の目的は太古の氷とチリの塊である彗星の謎の解明でした。
“ロゼッタ”は2014年からおよそ2年間にわたって“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”を観測し、彗星の上空から数多くのデータを地球に送り続けてくれました。
ただ、太陽に最接近した後の“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”は、再び6年半もの旅を始めることになります。
太陽から離れてしまうので、“ロゼッタ”は十分な電力を太陽光発電からは得られなくなるんですねー
電力不足により搭載された科学実験機器を効果的に機能させることが難しくなるので、2016年9月に彗星への制御衝突を行いミッションを終えています。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の変化を追いかける
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の大きさは約3キロほどしかありません。
なので、地上から彗星の核を観測することや、長期的な変化を追い続けることは難しいんですねー
でも、いま“ロゼッタ”の膨大な観測データによって彗星の変化とその過程の理解が進んでいます。
可視赤外撮像分光計“VIRTIS”は“ロゼッタ”に搭載されていた観測機器の一つ。
彗星の核表面の固体の性質や温度を調べるための機器です。
今回の研究では、“VIRTIS”によって2年間で得られた4000以上の観測データを分析し、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の変化を追いかけています。研究を進めているのはイタリア・宇宙物理学研究所のVIRTISチームです。
“ロゼッタ”が“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に到着した時には、彗星は太陽から5.4億キロも離れた位置にいました。
この時、彗星の表面はダストの層で覆われていたので氷はほとんど見えず… “VIRTIS”の観測で分かったのは彗星の表面が赤いこと。
その後、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”が太陽に近づくと、彗星の表面の色が青く変化している様子がとらえられます。
太陽から約4.5億キロ離れた“スノーライン”を超えて彗星が内側に入ってくると、太陽の熱によって水の氷が昇華し気体になります。
“スノーライン”は水・アンモニア・メタンなどの水素化合物が凝集し、気体から固体になるのに十分な低温になる境界線。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”でも地表下に隠れていた氷が昇華し、水の氷が存在することが確認されていました。
今回の色の変化は、この氷の昇華が彗星の表面の色として“VIRTIS”によってとらえられた現象でした。
色の変化は彗星の表面だけでなく、彗星の周りでも起きていました。
彗星が太陽から遠く離れているときには、彗星の核の周囲に広がるコマにダストはほとんどなく、水の氷が含まれていたため、“VIRTIS”では青く見えていました。
ただ、彗星が“スノーライン”を越えるとダストの中の水の氷は急速に昇華して失われ、ダストだけが残されることになります。
このため“VIRTIS”では、彗星が太陽に近づくにつれ赤く、彗星が太陽から遠ざかっていくと再び核が赤くコマが青く見えていました。
スペクトル分析によると、ダストの赤い色は炭素を含む有機分子に由来するものとみられています。
ただ、それが何であるかを知るには、彗星表面の物質を採取する必要があるんですねー
それが可能になるまでは、“VIRTIS”をはじめとする探査データを使用して“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”を調べ続けることになります。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の探査は終了してしまいました。
でも、“ロゼッタ”が2年間にわたって地球に送り続けてくれたデータは沢山あります。
このデータの分析はまだまだ続くことになるので、もっとワクワクするような発見が出てくるかもしれませんよ。
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最後のミッションは彗星への着陸。探査機“ロゼッタ”は9月29日に降下開始
太陽から遠いときにはコマが青く核は赤、太陽に近づくとその反対になっていたようです。
史上初めて彗星の周回軌道にのった探査機“ロゼッタ”
2004年3月2日、1つの探査機が彗星に向けてギアナ宇宙センターから打ち上げられました。
名前は“ロゼッタ”、ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機です。
古代エジプト文字ヒエログリフの謎を解読する手掛かり、石板“ロゼッタストーン”にちなんで名付けられた。
“ロゼッタ”は10年を超える64億キロの航海を経て、2014年8月6日に目的地の“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に到着。
史上初めて彗星の周回軌道にのり観測を始めることになります。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”は太陽系初期に生まれた彗星。
そう、“ロゼッタ”の目的は太古の氷とチリの塊である彗星の謎の解明でした。
“ロゼッタ”は2014年からおよそ2年間にわたって“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”を観測し、彗星の上空から数多くのデータを地球に送り続けてくれました。
ただ、太陽に最接近した後の“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”は、再び6年半もの旅を始めることになります。
太陽から離れてしまうので、“ロゼッタ”は十分な電力を太陽光発電からは得られなくなるんですねー
電力不足により搭載された科学実験機器を効果的に機能させることが難しくなるので、2016年9月に彗星への制御衝突を行いミッションを終えています。
ヨーロッパ宇宙機関の彗星探査機“ロゼッタ”(イメージ図)。 |
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の変化を追いかける
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の大きさは約3キロほどしかありません。
なので、地上から彗星の核を観測することや、長期的な変化を追い続けることは難しいんですねー
でも、いま“ロゼッタ”の膨大な観測データによって彗星の変化とその過程の理解が進んでいます。
2015年7月7日に“ロゼッタ”が154キロ離れた位置から撮影した“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”。 |
彗星の核表面の固体の性質や温度を調べるための機器です。
今回の研究では、“VIRTIS”によって2年間で得られた4000以上の観測データを分析し、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の変化を追いかけています。研究を進めているのはイタリア・宇宙物理学研究所のVIRTISチームです。
“ロゼッタ”が“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”に到着した時には、彗星は太陽から5.4億キロも離れた位置にいました。
この時、彗星の表面はダストの層で覆われていたので氷はほとんど見えず… “VIRTIS”の観測で分かったのは彗星の表面が赤いこと。
その後、“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”が太陽に近づくと、彗星の表面の色が青く変化している様子がとらえられます。
太陽から約4.5億キロ離れた“スノーライン”を超えて彗星が内側に入ってくると、太陽の熱によって水の氷が昇華し気体になります。
“スノーライン”は水・アンモニア・メタンなどの水素化合物が凝集し、気体から固体になるのに十分な低温になる境界線。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”でも地表下に隠れていた氷が昇華し、水の氷が存在することが確認されていました。
今回の色の変化は、この氷の昇華が彗星の表面の色として“VIRTIS”によってとらえられた現象でした。
色の変化は彗星の表面だけでなく、彗星の周りでも起きていました。
彗星が太陽から遠く離れているときには、彗星の核の周囲に広がるコマにダストはほとんどなく、水の氷が含まれていたため、“VIRTIS”では青く見えていました。
ただ、彗星が“スノーライン”を越えるとダストの中の水の氷は急速に昇華して失われ、ダストだけが残されることになります。
このため“VIRTIS”では、彗星が太陽に近づくにつれ赤く、彗星が太陽から遠ざかっていくと再び核が赤くコマが青く見えていました。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の色の変化を表したイラスト。太陽から遠いとき(左の2つ)は彗星の核が赤く周囲は青い。太陽に最接近した時には彗星の核が青く周囲は赤く見える。 |
ただ、それが何であるかを知るには、彗星表面の物質を採取する必要があるんですねー
それが可能になるまでは、“VIRTIS”をはじめとする探査データを使用して“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”を調べ続けることになります。
“チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星”の探査は終了してしまいました。
でも、“ロゼッタ”が2年間にわたって地球に送り続けてくれたデータは沢山あります。
このデータの分析はまだまだ続くことになるので、もっとワクワクするような発見が出てくるかもしれませんよ。
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