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NASAとの協力拡大で火星探査車を2028年に打ち上げへ! ロシアによるウクライナ侵攻で中止になっていたエクソマーズ2022

2024年05月25日 | 火星の探査
2024年5月16日のこと。
ヨーロッパ宇宙機関とNASAは、ヨーロッパ宇宙機関の火星探査計画“エクソマーズ(ExoMars)”における、火星探査車“ロザリンド・フランクリン(Rosalind Franklin)”のミッションに関する覚書に署名したことを発表しました。
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図1.火星表面で探査を行うヨーロッパ宇宙機関の火星探査車“ロザリンド・フランクリン”のイメージ図。(Credit: ESA/Mlabspace)
“ロザリンド・フランクリン”は、かつて火星に存在していた、あるいは今でも存在するかもしれない、生命や生命の痕跡の探索を目的として開発された探査車です。

放射線や厳しい温度環境から保護されているとみられる地下2メートルからサンプルを採取するためのドリルをはじめ、ラマン分光装置、赤外線ハイパースペクトルカメラ、有機分子分析装置などが搭載されています。
マリネリス渓谷の北東に位置するオクシア平原に着陸する予定です。

これまで、ヨーロッパ宇宙機関およびロシアの国営宇宙企業ロスコスモスの共同計画として、“エクソマーズ”は進められてきました。
その“エクソマーズ”の2回目のミッション“エクソマーズ2022(ExoMars 2022)”として、“ロザリンド・フランクリン”はロシアの着陸機“カザチョク(Kazachok)”に搭載され、2022年9月に打ち上げられる予定でした。

でも、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて打ち上げは中止。
ヨーロッパ宇宙機関では、“ロザリンド・フランクリン”を火星へ送り込むための代替案を検討していました。

今回、ヨーロッパ宇宙機関とNASAが合意したのは、“ロザリンド・フランクリン”のミッションにおけるヨーロッパ宇宙機関とNASAの取り組みを拡大する協定です。

この合意によりNASAは、“ロザリンド・フランクリン”の打ち上げサービス、着陸に必要となる推力可変機能を備えたロケットエンジン、それにアメリカ合衆国エネルギー省との協力の下で放射性同位体を用いたヒーターを、ヨーロッパ宇宙機関へ提供します。

ヨーロッパ宇宙機関は、“カザチョク”に代わる着陸機を調達するために、ヨーロッパの民間宇宙企業タレス・アレニア・スペース(Thales Alenia Space)と契約を締結。
NASAが提供するロケットエンジンやヒーターは、この着陸機(開発中)に搭載されることになります。

また、“ロザリンド・フランクリン”を搭載した着陸機を火星へ送るための打ち上げサービスプロパイダーは、NASAがアメリカで調達することになります。

もともと、“エクソマーズ”はヨーロッパ宇宙機関とNASAが共同で取り組む予定でした。
その後、NASAが脱退しロシアとの共同体制で進められてきたという経緯があります。

ヨーロッパ宇宙機関とNASAの協力が拡大したことで、火星に向けて一歩前進した“ロザリンド・フランクリン”は、2028年10月~12月の期間にアメリカから打ち上げらる予定です。


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