ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)の発表(日本時間8月20日)
“ルナ25号”で問題が発生! 探査機は月面に衝突したかも…発表によると、無人の月探査機“ルナ25号”で問題が発生し、探査機は失われたようです。
2023年8月21日に月面着陸が実施される予定だった“ルナ25号”。
ロスコスモスによると、“ルナ25号”を月面着陸前の軌道に遷移させるためのエンジン噴射が実施されたのが、日本時間2023年8月19日20時10分のこと。
エンジン噴射は飛行計画に従って実施されましたが、日本時間8月19日20時57分に通信が途絶してしまいます。
予備解析の結果、実行されたエンジン噴射のパラメータの値が計算上の値から逸脱していたために予定外の軌道に遷移してしまい、“ルナ25号”は月面に衝突して失われたと見られています。
一部のメディアや識者は、噴射時間が長すぎた可能性に言及。
原因を解明するため、特別委員会による調査が行われるということです。
8月11日に打ち上げられたロシアの無人月探査機“ルナ25号”が月周回軌道への投入に成功したそうです。
ロシアの月探査機打ち上げはソ連時代以来47年ぶりのこと。
23日頃に月の南極付近に着陸する予定です。
月探査機“ルナ25号”を搭載したソユーズ2.1bロケットの打ち上げ(ロスコスモスのライブ配信から引用)。(Credit: Roscosmos) |
47年ぶりの無人月探査機打ち上げ
日本時間の8月11日8時10分、ロシアの無人月探査機“ルナ25号(Luna 25)”を載せた“ソユーズ2.1b”ロケットが、ロシアのボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられました。“ルナ25号”は、上段ロケットのフレガートMによって予定通り月に向かう軌道へ投入。
その後、月周回軌道に投入するためのエンジン噴射を日本時間の2023年8月16日17時57分に開始。
エンジン噴射は2回行われていて、軌道修正用のエンジンを243秒間、着陸用のエンジンを76秒間噴射したそうです。
“ルナ25号”に搭載されているカメラで2023年8月13日に撮影された地球(左)と月(右)。地球から約31万キロ離れた位置で撮影。(Credit: IKI RAN) |
ロシアによる月探査機の打ち上げは、ソ連時代の無人月探査機“ルナ24号”以来47年ぶりになるそうです。
月探査機“ルナ25号”を搭載したソユーズ2.1bロケットの打ち上げライブ配信アーカイブ。(Credit: Roscosmos) |
“ルナ25号”が初めて撮影した月面の写真(月の裏側にあるゼーマン・クレーター)。(Credit: Roscosmos) |
予備の着陸地点としては、マンチヌス・クレーターの南西(何位68.773度、東経21.21度)が設定されています。
“ルナ25号”の着陸目標地点を示した図。主目標地点はボグスラフスキー・クレーターの北部(緑色の点)で、予備の目標地点が2か所(赤色の点と白色の点)設定されている。(Credit: Roscosmos) |
着陸機に備え付けられた長さ1.6メートルのロボットアームで細かい砂(レゴリス)を採取して組成を調べるほか、月の極圏上空にあるプラズマやチリを測定します。
“ルナ25号”に搭載されているカメラで2023年8月15日に撮影された機体の一部。左上にはロボットアームのバケットが写っている。(Credit: IKI RAN) |
打ち上げ準備中に撮影されたロシアの月探査機“ルナ25号”。(Credit: Roscosmos) |
再び脚光を浴びる月面探査
実は、月の南極域は、太陽光が届かないクレーター内の永久影に水の氷が埋蔵されていて、注目の領域になっているんですねー“ルナ25号”と同じ頃(8月23日)には、7月14日に打ち上げられたインド宇宙研究機関(ISRO)の無人月探査機“チャンドラヤーン3号”の着陸機も、月の南極付近(南緯70度)への着陸を予定しています。
また、NASAの有人月面探査計画“アルテミス”でも、2025年に打ち上げの“アルテミスIII”で宇宙飛行士を月面に送る際の着陸地点候補をすべて月面の南極付近に設定しています。
人類が初めて月面着陸を果たしてから50年以上が経過した今、月面探査が再び脚光を浴びています。
月を巡っては、資源開発をはじめ、月周回有人拠点“ゲートウェイ(Gateway)”や月面の有人探査拠点の建設、さらに月を足掛かりとした有人火星探査など、世界各国による探査やそれに関わる技術開発が活発で、今後もその勢いは増していきそうです。
JAXAも、8月26日に小型月着陸実証機“SLIM(スリム)”の打ち上げを予定しています。
“SLIM”の目的は、科学的に興味深い“着陸したい場所”への高精度着陸を実現するためのピンポイントで着陸する技術の実証。
接地直前に機体を斜めに傾け横向きに接地するという特徴的な方法を採用することで、これまでの垂直に接地する方法では着陸が難しかった斜面への着陸に挑みます。
これにより得られる知見は将来の月惑星探査に役立てられるようです。
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