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新設! ブラックホールは食べ残しを投げ捨てている?

2017年01月17日 | ブラックホール
天の川銀河の中心に存在する超大質量ブラックホールが、
惑星サイズの「食べ残し」を投げ捨てているそうです。

そして、食べ残しの中には、
地球からわずか数百光年の距離をさまようものもあるかもしれない、
っという新設が発表されたんですねー

ブラックホールは物を飲み込むだけで、
吐き出すところではないという一般的な概念からすると、
何か奇妙に思いますよね。

でも、今回発表された新しいシミュレーションによれば、
天の川銀河の中心にある大質量ブラックホールが、
自由に浮遊する惑星状天体を、大量に宇宙空間へ送り出している可能性があるそうです。
天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール“いて座A*”を取り巻く
乱流領域のX線画像


変わった方法で作られる宇宙をさまよう天体

天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール“いて座A*(エースター)”の近くには、
1万年に1回ほどの頻度で恒星が接近してきます。

すると恒星はブラックホールの強力な重力で破壊され、
スパゲティのように引き伸ばされることに…

そして天の川銀河の中心付近に、
リボンのようにたなびくガスだけが残ることになるんですねー

ここまでは、よく知られている話なんですが、
今回の研究では、この先を解き明かそうとシミュレーションを行っています。

シミュレーションが行われたのは、ブラックホールが恒星を引き裂く過程の50回。

すると、崩壊してスパゲティ状になった物質が再結合して球状になり、
ガスとチリからなる惑星ほどの質量の塊を形成することが確認できたというわけです。


95%が天の川銀河の外へ

今回のシミュレーションでは、
ブラックホールの食べ残しから1万1473個もの天体が生まれています。

いずれも海王星より大きく、なかには木星の数倍の大きさのものもありました。

ブラックホールが、これらの天体を遠くに飛ばし、
その速度は時速3000万キロ以上になることも分かります。

新しく生まれた惑星状天体のうち、約95%が天の川銀河の外に飛び出し、
天の川銀河とその隣の銀河を隔てる宇宙の僻地へと消えていったそうです。

そして数%の天体は、いて座A*の近くにとどまり、
親天体を引き裂いたブラックホールの周りを永遠に回ることになります。

最後に全体の1%未満の天体は、
銀河系の外れ… おそらく地球から約600光年以内のところをさまようそうです。
天の川系の中心で繰り広げられる激しい活動。
ブラックホールの存在は、この領域の星やガス塊の軌道運動によって明らかになる。

いて座A*が、通りすがりの恒星を引き裂く頻度の推測が正しければ、
天の川銀河にはこうした奇妙な惑星状天体が、数百万個も存在している可能性があります。

さらに、近隣の銀河の中心にあるブラックホールによって宇宙空間にはじき出され、
天の川銀河内に飛び込んできた天体もあるかもしれません。


天の川銀河以外からきた食べ残し

一般的に、こうした天体は猛スピードで移動し、銀河から完全に離脱することができます。

なので、天の川銀河内をさまよう恒星の残骸の中で、
天の川銀河以外の銀河で作られたものはどのくらいあるのか?
っという疑問が生まれますよね。

でも、こうした「食べ残し」の天体を見分けることが出来るかは、
まだ分かっていないんですねー

星が崩壊してできた惑星状天体は低温なので、
赤外線望遠鏡を用いたとしても、それが恒星の崩壊によって出来たのか、
あるいは天の川銀河以外の銀河から飛び込んできたのかを示す痕跡を、
発見できるとはかぎりません。

それでも、惑星状天体を発見することに意味が無いわけではありません。

その化学組成を調べることで、元の恒星についてもっと良く知ることができるからです。
それに、生命に関する発見があるかもしれませんからね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ ブラックホールも食事の後には「ゲップ」する?



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