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モバライダー mobarider

110億年前の宇宙に、最大級の“銀河団の祖先”を発見

2015年06月06日 | 宇宙 space
すばる望遠鏡の観測で、
110億年前の宇宙に見つかった原始銀河団が“かみのけ座銀河団”のような、
近傍最大級の銀河団の祖先に相当することが分かりました。

銀河団中の銀河のガスは重元素含有率が高く、
その理由についても新たな発見があったそうです。
観測対象となった原始銀河団“PKS 1138-262”。
ひじょうに大規模な銀河団で、
現代最大級の銀河団の祖先に相当すると考えられている。

この研究では、110億光年前の宇宙に見つかった、
2つの原始銀河団“PKS 1138-262(うみへび座方向)”と“USS 1558-003(へび座方向)”を、
すばる望遠鏡を用いて調査。

これらの原始銀河団は、
2012年の発見当時、銀河が集団化途上であり複雑な分布をしていることや、
勢いよく星を生み出していることなどが分かっていました。

今回、改めて行われた詳しい観測から、
それぞれが、およそ太陽の数百兆倍もの質量を持っていることが分かります。

これほどの質量の銀河団は、
“かみのけ座銀河団”など、現代最大級の銀河団の直接的な祖先にあたるもののようです。

一般的な銀河では、恒星内部で作られた重元素が銀河風に乗って、
銀河の外へ放出される(左)。
一方、高密度の銀河団の銀河で、重元素の割合が高い理由として、
周囲のガスや他の銀河との相互作用(中央)、
銀河団ガスによるブロック(右)が考えられる。

また分光観測から、
同じ重さの銀河でも、密度の高い原始銀河団に含まれるものは、
まばらな領域にある銀河と比べ、ガスの重元素の割合が高いことも分かったんですねー

重元素とは水素やヘリウム以外の重い元素のことで、
恒星内部で作り出され、
星風や超新星爆発といった、星の一生の最期のプロセスによって周囲に放たれます。


なぜ銀河団の銀河は、重元素含有量が高いのでしょうか?

銀河外へのガス流出過程に着目した、今回の研究では、
以下の2つの理由を挙げています。

  混み合った銀河団を飛び回る銀河は、
  銀河団内を満たすガスや他の銀河との接触が多くなります。
  なので、一番外側の重元素が少ないガスは接触によりはぎ取られて、
  全体としては、ガスの重元素含有率が高くなる。

  銀河の周囲を満たす銀河団ガスの圧力により、銀河から重元素が流出しにくくなる。

この研究の今後としは、個々の銀河内部のより詳細な解析によって、
原始銀河団における、特殊な環境にさらされた特有の銀河形成と成長過程を明確にしていくそうです。


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