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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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太陽の120億倍… 説明不能なブラックホールを発見

2015年03月05日 | 宇宙 space
太陽の120億個分といった質量を持つ、超大質量なブラックホールが発見されました。

でも今回見つかったのは、過去最大のブラックホールというわけではないんですねー
ただ驚くべきは、その成長の速さでした。
光り輝くクエーサーに囲まれたブラックホール(イメージ図)

このブラックホールは、
ビッグバンからわずか8億7500万年(宇宙の歴史全体のうち最初のわずか6%の時点)で、
太陽120億個分という圧倒的な大きさに成長したと考えられています。

このような短時間で、どのようにしてこんなに大きくなったのでしょうか?

これまでブラックホールは、
周囲のガスや星を吸い込みながら、ゆっくり成長すると考えられていたので、
今回の発見により、ブラックホールの成長についての説が覆るかもしれません。


ブラックホール自体を観測することはできません。
これは、ブラックホールの重力がひじょうに強く、光さえもその影響を逃れることができないからです。

なので今回の研究では、中国やチリ、アリゾナにある望遠鏡を駆使しクエーサーを発見しています。

クエーサーとは、きわめて遠くで光を放つ天体で、
その光はブラックホール周辺のガスが、ブラックホールに吸い込まれる際に放出されたものと考えられています。

天の川銀河を含むほとんどの銀河は、中心に巨大なブラックホールを持っています。
ただ、それらのすべてが、超高温ガスに囲まれているわけではありません。

超高温ガスに囲まれているものをクエーサーと呼ぶのですが、
今回見つかったクエーサー“SDSS J010013.021280225.8”は、その極端な例になります。

クエーサーは、見た目が普通の星と変わらず、
高性能の望遠鏡をもってしても、ただの点光源にしか見えません。

クエーサーと特定するには、地球から遠ざかる速さを詳細に分析し、
そこまでの距離を知る必要があります。

その結果、今回発見されたクエーサーは、
地球から約120億光年離れていること、つまり120億年前の光を観測していることが分かります。

そして、今回のクエーサーが桁外れに明るいことから、
背後にあるブラックホールの巨大さがうかがえることに…

これまで、同時期のクエーサーはたくさん見つかっているのですが、
太陽30億個分を超える質量を持つものは、未だ見つかっていないんですねー


宇宙の最初の星々が崩壊することで、ブラックホールができたと考えられています。

これは、ビッグバンからおそらく1億年後くらいのことで、
当時の銀河は、最大で今の1000倍ほどの密度だったようです。

それらの銀河の核が、ブラックホールに大量のガスを供給し、成長を促したと考えられています。

ところが、今回見つかったブラックホールは、
大きすぎて、このシナリオが当てはまらないことに…

すると生まれてからずっと、ほぼ最高速度でガスの融合を続けてきたのでしょうか?

ただ、明るいクエーサーが噴き出す爆発的な光は、
ブラックホールに引き込まれるはずだった周囲のガスも吹き飛ばしてしまうので、
これは考えにくいんですねー

別のアイデアとして、初期段階で2つまたは3つ以上の銀河が融合し、
それらのブラックホールが、1つにまとまったとする説があります。

でも、この説が成立するには、各ブラックホールの質量が同じでないと、
バランスが崩れて、1つの新しいブラックホールが放出されるだけなんだとか。

もう1つのアイデアは、
最初の星々の中に、太陽の100万個程度の質量を持つものがあったというもの。

星の質量には、基本的に上限はありません。

なので、宇宙が生まれたばかりの頃には、
そのような星がいくつか形成されていたのかもしれません。

それらが崩壊すれば、
極めて大きなブラックホールの形成が、ジャンプスタートする可能性があります。

このジャンプスタートシナリオにも唯一の問題があるんだとか、
それは、「太陽100万個ほどの質量を持つ星が本当に存在していたのか」を確認する術がないことだそうです。


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