さすらうキャベツの見聞記

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レスタヴェック

2011-03-04 23:43:11 | Friday -news-
(写真は、昨年の地震前の、ハイチの首都ポルトープランスの風景…らしい)




 「レスタヴェック」は フランス語とクレオール語 1)の

 混合語で「住み込み」といった意味だが、実際には、住み込み先の主人の意のままに

 される子どものことである。彼らは奴隷のように重労働を強いられ、一切の権利を

 認められず、不平を言うことすら許されない。


    


 国連によると ハイチには、子どもの奴隷が推定30万人いる(ユニセフは20万人弱と推定)。

 親が子どもを引き渡すのは、
 子どもにましな暮らしをさせたいと思うか、
 口減らしをしたいケースがほとんどだ。

 「レスタヴェック」は皿洗いや子守りなど あらゆる雑用をやらされ、
 日は数回は公共の水源から重い水を汲んでこなければならない。

 学校には行かせてもらえず、ひどい暴力をふるわれ、
 女児が大半であることから性的虐待の被害者も多い。


            ************

  1948年12月10日、国連総会は世界人権宣言を採択した。

 それから60年たった今なお、多くの国が人権宣言の基本を無視している。

 ハイチでは、多くの子どもたちが首都ポルトープランスのスラム街に売られ、
 あるいは ただで引き渡され、
 あるいは捨てられて、
 奴隷の境遇に追い込まれている。


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  カリブ海の島国といえば 憧れる人もいるだろう。

 しかしハイチの現実は地獄だ。

 世界初の黒人による共和制独立国だが、最貧困国のひとつでもあり、

国民の60%が1日1ドル以下で暮らしている
 政治・経済と行政の中心、ポルトープランスも、境界なき巨大貧民街というのが実態だ。

 貧困、暴力、ギャング、治安の悪さ、絶望感、
 これらがハイチの社会を蝕(むしば)み、人間性を奪っていく。


 その影響を真っ先に受けるのが子どもだ。


 病気や飢餓(きが)だけではない。想像を絶する子どもの奴隷「レスタヴェック」


 奴隷貿易禁止法が イギリスで制定されて 200年以上たつ今も、

 ハイチでは奴隷制が続いている。

 
 極貧の地方の子どもは、
 せめて ましな暮らしをさせたいと思う親によって 都会の家庭に託されるが、
 多くは虐待(ぎゃくたい)される運命だ。

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 ・・・(支援団体「ARDTER」を主宰する)ギャスパールとボランティアたちは
 スラム街を歩き回り、「レスタヴェック」を探す。

「水汲み場の近くで 声をかけることが多いです。
 水をかついでいて 身なりがみずぼらしいのは ほとんどが そうだから」
と スタッフのマキシムが言う。

 彼らは慎重に状況を聞き取り、できるだけ詳細に書きとめる。
「ARDTER」の事務所には その書類が大量にあるが、この子たちを守る足しにもならない。

 少なくとも子どもたちの存在の証を残せるから 続けているのだ。


            ************

  13歳の少女カティアナは、
 10歳でギャング団の家に引き渡されて以来、
 暴力、拷問(ごうもん)、集団レイプ、家事労働、その連続だった。

 彼女の咳は病的で、結核やエイズなどの感染症ではないかと疑われる。
 早くジェスキオ医療センターへ連れていかなければ。

 ポルトープランス最大にして最悪のスラム街サリーヌに隣接するこの医療センターは、
 性感染症をすべて無料で治療してくれる。
 性暴力の被害者を専門に扱う部門もあり、とくに被害者の話を聞くことに力を入れている。

  このセンターの教師で精神医療の心得(こころえ)もあるダニエルに、
 カティアナは初めて苦しさを吐露(とろ)した。

 ギャングの家で陰惨(いんさん)な数年を過ごし、物事に動じなくなったこの少女は
 冷ややかに話す。


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 「女の子は ものすごく性暴力を受けやすいの。

  若い男は たいてい『レスタヴェック』相手に 初体験するのよ。

  そういう女の子をラプーサと呼ぶの。
  アレのためにいる子っていう意味。

  そう聞いても 誰も驚かない。

  この町じゃ、悲しいけど、
  その子たちを守ろうなんて大人は、悲しいけど、

  誰もいないわ」

          


(DAYS JAPAN,vol.6, No.2, 2009 FEBより抜粋)



            ************

【注】
1)クレオール語:ヨーロッパ言語とその他の現地語などの混合により、できた言語。



              



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