本からのメモ(抜粋)です。
**********
『・・・に、日本人なら誰でも知っている「兎と亀」に関する面白い話が紹介されています。
ひろさんがインドを旅行したとき、インド人に
日本にはこういう教訓的なお伽話があると言って聞かせ、
亀にまけた兎は、なにがいけなかったのか、
どうすべきだったのか、
答えは分かっているつもりでしたが、尋ねてみました。
すると、インド人の答えは意外。驚きました。
**********
インド人は三人いたのですが、いちばん年寄りのインド人がこう答えました。
「兎? 兎はノー・プロブレムである(問題ない)。悪いのは亀だ!」
「どうして……?」と、わたしは尋ねました。
一生懸命に走った亀がなぜいけないのか、わたしにはわかりません。
「だって、亀は兎を追い越して行ったのだろう。そのとき、亀は“もしもし兎さん、
昼寝をしていてはだめですよ。起きなさい”とひと声、声をかけてやるべきだ。
それが友情というものだろう。その亀には友情がないじゃないか?!」
わたしはびっくりしました。さすがインドはお釈迦さまの国だ! と思いました。(略)
けれども、いちおうわたしは反論しました。(略)「あなたの言うことはよくわかる。
けれども、兎と亀はゲームをしているのだろう。ゲームであれば、相手が油断しているのだから、
なにも起こしてやる必要はないではないか?!」
「そうか、ゲームであれば、まあ起こさなくてもいいか……」年寄りのインド人は
引っ込んでしまいました。
ところが、(略)こんどはいちばん若いインド人が助太刀を出してきたのです。
「いいや、おまえの考えはよくない。あの年寄りのほうが正しい!」
「なぜ?」
「だって、亀にはわかるはずがない」
「なにがわからないのだ?」
「おまえは、兎は昼寝をしていると言う。けれども、ひょっとしたら、兎は心筋梗塞で
苦しんでいるのかもしれない。起こしてやってはじめて、病気で苦しんでいるのか、
それとも怠けて昼寝をしているのかがわかるのだ。だから、やはり起こしてやるべきだろう」(略)
そして、若いインド人はこう付け加えました。「それとも、なにかい。おまえは、
“こいつは怠けて昼寝をしているのだ”と勝手に決め込んで、自分が勝つことばかり
考えているような亀を好きだと言うのか?! そんな日本人は大嫌いだ!」』
(鈴木康之「文章がうまくなるコピーライターの読書術」から)
世の中、いろんな世界観がありますからなぁ・・・。
何か伝えたい場合、たとえがたとえにならんことも…いやはや、難しいものですなぁ…。
(相手にとって、合点が行くたとえでなければ、たとえにならない)
だけんども、・・・伝える、というのは、そういう中において、相手に届くように伝えるわけで・・・骨の折れることですなぁ…。
(ここでは、インド人だけれど、実のところ、同じ言葉を用いる隣人が、お互いに「異なる世界観」「異文化」ですから…。その中で、・・・、なんですわ。・・・いやはや・・・)
そんなこんなを、読みつつ、思い出したものでした。
【ついでに】
『十人十色』
**********
『・・・に、日本人なら誰でも知っている「兎と亀」に関する面白い話が紹介されています。
ひろさんがインドを旅行したとき、インド人に
日本にはこういう教訓的なお伽話があると言って聞かせ、
亀にまけた兎は、なにがいけなかったのか、
どうすべきだったのか、
答えは分かっているつもりでしたが、尋ねてみました。
すると、インド人の答えは意外。驚きました。
**********
インド人は三人いたのですが、いちばん年寄りのインド人がこう答えました。
「兎? 兎はノー・プロブレムである(問題ない)。悪いのは亀だ!」
「どうして……?」と、わたしは尋ねました。
一生懸命に走った亀がなぜいけないのか、わたしにはわかりません。
「だって、亀は兎を追い越して行ったのだろう。そのとき、亀は“もしもし兎さん、
昼寝をしていてはだめですよ。起きなさい”とひと声、声をかけてやるべきだ。
それが友情というものだろう。その亀には友情がないじゃないか?!」
わたしはびっくりしました。さすがインドはお釈迦さまの国だ! と思いました。(略)
けれども、いちおうわたしは反論しました。(略)「あなたの言うことはよくわかる。
けれども、兎と亀はゲームをしているのだろう。ゲームであれば、相手が油断しているのだから、
なにも起こしてやる必要はないではないか?!」
「そうか、ゲームであれば、まあ起こさなくてもいいか……」年寄りのインド人は
引っ込んでしまいました。
ところが、(略)こんどはいちばん若いインド人が助太刀を出してきたのです。
「いいや、おまえの考えはよくない。あの年寄りのほうが正しい!」
「なぜ?」
「だって、亀にはわかるはずがない」
「なにがわからないのだ?」
「おまえは、兎は昼寝をしていると言う。けれども、ひょっとしたら、兎は心筋梗塞で
苦しんでいるのかもしれない。起こしてやってはじめて、病気で苦しんでいるのか、
それとも怠けて昼寝をしているのかがわかるのだ。だから、やはり起こしてやるべきだろう」(略)
そして、若いインド人はこう付け加えました。「それとも、なにかい。おまえは、
“こいつは怠けて昼寝をしているのだ”と勝手に決め込んで、自分が勝つことばかり
考えているような亀を好きだと言うのか?! そんな日本人は大嫌いだ!」』
(鈴木康之「文章がうまくなるコピーライターの読書術」から)
世の中、いろんな世界観がありますからなぁ・・・。
何か伝えたい場合、たとえがたとえにならんことも…いやはや、難しいものですなぁ…。
(相手にとって、合点が行くたとえでなければ、たとえにならない)
だけんども、・・・伝える、というのは、そういう中において、相手に届くように伝えるわけで・・・骨の折れることですなぁ…。
(ここでは、インド人だけれど、実のところ、同じ言葉を用いる隣人が、お互いに「異なる世界観」「異文化」ですから…。その中で、・・・、なんですわ。・・・いやはや・・・)
そんなこんなを、読みつつ、思い出したものでした。
【ついでに】
『十人十色』