平昌オリンピックが閉幕しました。
日本の選手は健闘し、だいぶ盛り上がりをみせましたが……
五輪閉幕後の韓国とその周辺地域には、一つの懸念すべき問題が待っています。
それは、朝鮮半島情勢です。
オリンピックのために、毎年この時期に米韓が行っている合同軍事演習は延期されていました。
しかし、これはあくまでも延期であって、五輪終了後には行われることになっています。そして、この軍事演習がはじまれば、また半島情勢が緊迫しはじめるでしょう。
おそらく、アメリカと韓国が合同軍事演習をはじめたら、北朝鮮もまた相次いでミサイルを発射し始めると思います。
で、「北朝鮮の融和姿勢は見せかけだった」というような話になるでしょう。
でも、はたして本当にそうなんでしょうか?
これはむしろ逆なのでは?
むしろ、米韓の軍事演習が北朝鮮を刺激してミサイル発射を誘発しているのではないか……そんなふうに私にはみえるのです。
こういう見方は、決して突飛なものではないと思います。
同意する人も少なくないでしょう。
そして、そうだとしたら、米韓が北朝鮮への“けん制”あるいは“抑止”と銘打って行っている軍事演習は、実際には逆効果でしかないということになります。
真剣にこの構図を考える必要があります。
というより、実は、アメリカの側も本当はわかっていると思います。
昨年末、米軍は、日本や韓国との軍事演習の情報を公開しないという方針をあきらかにしました。軍事演習の情報を公開すると、それが北朝鮮を刺激することになるから、というのがその理由です。つまり、軍事演習が実際には相手を刺激してより状況を緊迫化させるということは彼らも認めているわけです。
“けん制”や“抑止”のためだというなら、相手にはっきりとデモンストレーションしなければ意味がありません。しかし、そうすると相手を刺激してさらなる行動を誘発するからそれはできない……となると「じゃあ、軍事演習っていったい何のためにやってるの?」という話になってくるでしょう。関係者も、本当はその矛盾がわかってはいるけれど、過去の慣習にとらわれていて、それを直視することができないのではないかとわたしには思えます。
今から5年ほど前にも、朝鮮半島情勢がかなり危機的な段階にいたったことがありましたが、そのとき米韓は軍事演習を中断しました。表向きにそうはいいませんでしたが、これ以上軍事演習をやって北朝鮮を刺激したら本当にやばいと考えたからでしょう。そういうことなんです。情勢が緊迫しているからこそ、軍事演習なんかはしないというのが正解だと思うんです。土壇場のところで、冷静にそう考えて“現実的”な判断をくだし、その結果最悪の事態が回避されたのだと思います。しかし、トランプ大統領という人が冷静な判断をしてくれるかどうか……そのことを考えると、不安は増すばかりです。