パレスチナ自治政府が23日、国連に加盟申請書を提出した件に就いて読売新聞は概略次のような社説を出しています。
パレスチナの国連の加盟申請は渉による国家樹立の道を棚上げし、国連加盟国に直接、国家としての承認を求めたものだ。交渉の仲介役を務めてきた米国には不信任状を突きつけた形だ。
国連加盟には、安全保障理事会による総会への加盟勧告が必要だ。安保理は近く、パレスチナの加盟申請の扱いを協議する。
常任理事国の米国は拒否権を行使する意向を示している。安保理で採決する事態となれば、問題はさらにこじれる恐れがある。米国の拒否権行使によって反米感情が高まり、中東情勢は一層不安定化するだろう。
それを避けるためにも、イスラエル、パレスチナ双方をできるだけ早く交渉の席に着かせる道を探らなければならない。
パレスチナ側は、イスラエルとの合意で自治は獲得した。だが、その後、国家樹立をめぐる交渉は頓挫したままだ。
この間、パレスチナ側が将来の国家領土と考える土地では、ユダヤ人入植地が次々に建設され、イスラエル領化が進んでいる。
自治政府はその袋小路を脱する最後の手段として、加盟申請に踏み切ったのだろう。
イスラエルは、中東における自国の安全保障の要だったトルコ、エジプトとの安定的な関係を失いつつある。これ以上の孤立化を避けるためにも、パレスチナ側が求める「入植凍結」に踏みきり、交渉を再開すべきである。
一部内容を省略しましたが、読売の社説は全体を通じて米国の言うように二国間の交渉が優先だという意見の様です。
然し問題は今までと違って
・アッバス議長の演説でアラブ各国代表ら始め議場の多数が総立ちで喝采で見るように議長の言う「アラブの春」と言うアラブ諸国の民主化の動きがあること
・パレスチナの提案に中国、ロシヤを始め国連加盟の大多数の国が賛成していること
・オバマ政権がまもなく大統領選挙を控えているが苦戦は免れないこと
など米国は今までの様に総会開催の前提となる安全保障理事会による加盟勧告で拒否権を簡単に行使できない様です。
今まではパレスチナ側が将来の国家領土と考える土地で、ユダヤ人入植地が次々に建設され、国際法違反として国連加盟国の殆ど全部が批判してきたのに、米国だけが拒否権を行使して安保理の決議を総て潰して来て、米国のダブルスタンダードと批判されています。
今回もそうなれば読売の指摘するように、何時ものように米国の拒否権行使によって反米感情が高まり、中東情勢は一層不安定化するでしょうが、その程度は今回のアラブ諸国の民主化の動きの中で今以上に激しくなりそうな気配です。
米国のイスラエル寄りの動きは元防衛省の太田述正さんのブログに依れば米国のユダヤ人人口は580万人と、イスラエルで480万人を越す人口を抱えており、しかもその経済力による影響力は無視出来ず、しかも今回の場合は大統領選挙が間近にしているからです。
米国は既にパレスティナにいざとなれば拒否権行使を辞さないと通知をしているそうです。
米国がその事情でどう動くかは別として、日本側の対応です。
報道に依れば日本は内閣が変わったばかりでもあり、他の米国との同盟国の動きを見てから態度を決めるのだろうと推測しています。
まるで団地主催の旅行にご近所がどうするか見て決めたいと言う態度と同じ、みっともない政府のやり方です。
日本は米国の中東外交のおつきあいで中東の数々の権益を逃して来ました。
最近の例では、核開発を続けるイランに対して制裁を一段と強化しているアメリの要求で、原油のほとんどを輸入に依存する日本の政府が出資する石油開発会社「国際石油開発帝石」は、イランにある中東最大級の油田「アザデガン油田」の権益をすべて放棄しまいました。href="http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/814.html">http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/814.html
私もイランに数年いましたが、中東の諸国の大半が親日国です。
そして米国がイスラエル問題で拒否権を行使するたびに、米国が中東で出兵するたびに日本は折角中東で築いた信用と親近感をなくしています。
その一番大きな理由は日本が平和憲法のために、紛争解決に必要な軍事力を使えないし、またその理由でろくな軍事力を持っていないからです。
その点同じ敗戦国のドイツはNATOに加盟のお蔭で、米国の理屈に合わない要求、例えばイラク出兵に就いても反対できます。
小泉さんは米国の要求に対して自衛隊をイラクに派遣
(国際的な常識で言えば派兵)しましたが、米国の大義とした大量破壊兵器の隠匿はガセネタであることが判りました。
先に引用した元防衛省の太田述正さんのブログ名は「日本はアメリカの属国」です。
私は日本は米国の軍事保護国だと書いてきましたがどちらが当たっているのでしょう。
。
大田さんは昨日の「たかじんのTVタックル」で憲法のお蔭で装備があっても使えない自衛隊も防衛省も無駄な存在だと言っていました。
(勿論大田さんの自衛隊の強化を言いたいのです。)
日本は米国のお家の事情で経済的、外交的な大きな損失をして来ました。
平和主義者は戦争の前に相手と良く議論すべきだと言います。
然し韓国の竹島、中国との尖閣諸島、北朝鮮との拉致問題、ロシヤとの北方領土問題など、生半可な外交では全く解決出来ませんが、これに対してどうすれば良いかなど彼らから一言の意見を聞いたことがありません。
やはりある程度の強い防衛力と強い国民や国土保全意識の裏付けがなければ平和的に交渉も出来ないと思います。
現状では日米同盟も大切ですが、今のおんぶに抱っこの状態から、ある程度の防衛力をもつこと、大田さんの言うように装備もいざとなれば使える状態にすること。
その前提となる憲法改正も戦後半世紀も過ぎたいま、そろそろ考える必要があると思います。
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