[「米の作りすぎはもったいない」と言うポスター]
26日かの某テレビで「米の作りすぎはもったいない」と言うポスターが東北農政局から発行されこれを見た農家が激怒していると報道された。
私はこれを見て一瞬、今まで農水省が減反政策を進めて来たのに、今頃何故このようなポスターを出したのか驚いた。
この件で各新聞の報道を Web上で調べて見ると全国紙では毎日新聞だけがこれを報道していたのを発見した。
その内容は概略次の通りだ。
・東北農政局が作った「米の作りすぎは、もったいない!」「米の過剰作付けは、資源のムダづかい」というポスターに対し、地元の農家が「一生懸命米作りをしている農家の誇りを逆なでしている」と激しく反発。東北農業農民団体連絡協議会が25日、同局に文書で抗議するとともにポスターの回収を求めた。
・ポスターの主旨は
「麦・大豆等へ転作し、自給率を向上」「限られた水田を有効利用することが、国民共通の利益」
と言うものだ。
・抗議文は「過剰なのは輸入米で、外米に血税をつぎ込むことこそムダづかい」と指摘。連絡協議会会長は「高齢化が進む農村では、米作りを続けることが心の支え。カラー印刷で3万枚作製する金があれば、もっと他の施策に使うべきだ」と話した。
・ 同局は「米価下落で生産調整が緊急の課題。決意の表れとしてインパクトのある言葉を選んだ。誇りを傷つける意図はない」とし、ポスター撤去の予定はない。
これを見て始めて東北農政局の主旨が判った。
まさに私が何度か、
小麦値上げをビジネス・チャンスに
毒入りぎょうざと農業の活性化
あきらめるな農村問題
などのブログに書いたのと同じ主旨だ。
然しこのポスター問題の報道は農業政策の難しさを改めて教えてくれた。
「過剰なのは輸入米で、外米に血税をつぎ込むことこそムダづかい」とは米作り農家の保護のために取った対策で、明らかにに見当違いの発言だが、何故農家の人達がこう言った考え方を持つようになったのに農村問題の根深さが判るようだ。
農水省が取っている具体的な農家の支援作は紙面がないので橋本尚幸さんの
眠る輸入米の行方……農水省がやっているこの税金の無駄使いをご参照下さい。
[農家のプライド]
Wikipedia の先進国の農業政策 によると、
・農業は大きく土地や気候条件に制約されており、工業と比較すると技術革新・生産性向上の速度が遅い傾向にある。そのために、工業等に従事する労働者と農村部の労働者の間で次第に経済格差が発生して行き、農村部の相対的貧困が問題となりやすい。
・以上のような理由により、工業部門などからの抵抗も少なく、環境への配慮もあって、工業部門よりも農業部門・農家の保護が指向されることとなる。
・このような国家では、農産物の買い上げや輸入の制限、生産量の調整(減反政策など)を行うことで食糧価格を高く維持する政策や、農地の固定資産税などの税負担を低減したり非農業部門で得た税収を補助金などとして農業部門に投入する政策がとられることとなる。
・中でも関税や輸入数量の制限による国内農産物価格の高値維持は、国際価格よりも高価な食品を買わざるを得ないという形の保護であり消費者を犠牲にして農家の保護を図るものであると言えるが、財政支出による補助金の交付などよりもその負担が国民などから見え難いため取り入れられやすく、ほとんどの先進国ではこのような措置がとられている。
・政府から安くて味もそう変わらない外国米を制限して貰い、高い米を食べさせて消費者に犠牲を強いさせて貰っている農家。
・後継者から見放され高齢化が進む農家。
今回の批判は東北地方という特別な環境にあったのかも知れないが、誇りを持つ日本の農家の人達は政府批判ばかりでなく、もう少し前向きに自らどうすれば良いか考えるべきだと思う。
[農村のこれから]
この問題に対して、次に書く様に日本農業にも少しづつではあるが動きだしたようだ。
一昨日のテレビ東京の「ワールド・ビジネス・サテライト」では小麦耕作の問題を取り上げていた。
・小麦の自給率が過去のほんの数%から現在13%になり更に上昇傾向にあること。
・その小麦の主な使用先はビールの原料であること。
・その使用量の増加の原因は、ビールに適した小麦の開発、ビール会社と農村の緊密な連携と日本人の安全指向によるものであること。
・気候の変動に強い小麦の品種が開発されオーストラリアに技術を輸出され安定供給して貰えるようになった。
・現在消費者の国産物指向に応えてパンに適した小麦の新品種が開発されていること。
などが報道された。
更に昨日のNHKの「クローズアップ現代」では、
日本に押し寄せる新興国の富裕層。地域や企業ではビジネスモデルを見直し、彼らを取り込む動きが加速している。新興国の富裕層は日本をどう変えるのか、現場からルポする。として、
・アジアの新興国で増加している富裕層の人達の間で、日本の高くても安全で、信頼性の高い製品の評判が上がっていこと。
その例として佐賀牛の値段が上がっている事、築地でのマグロなどの高級魚などの買いつけなどについての様子を示していた。
・これについて、日本政策投資銀行地域振興部参事役の藻谷浩介さんは、日本人の安全志向、繊細な味覚が日本の食料品のブランド化を裏打ちしており、そのブランド化にり高い食品でも買っているのだと言っていた。
詰まり、日本人の安全志向、繊細な味覚など外国の人にとって真似の出来ない武器だというのだ。
これらの事から考えられるのは何度も書く事だが、
農業関係者へ
・農家は政府ばかり見ずに消費者の方を見る事、
・ニーズに併せて生産すること、
日本人の食生活が変わっているのに米ばかりのは明らかに経済の原則に反している。
・逆に米を食べて貰うために、政府に頼らず農家、農協が直接に消費者に訴える事、
先に書いた佐賀牛の産地では買いつけにきたバイヤーに色々の牛料理を食べさせて、彼らの購買意欲を高めさせていた。
・農業関係者は外国へもっと輸出攻勢をかけること、
・農業の生産性を上げる事、
そのためには農村に異業種と強力や導入、その人達のアイディアを導入すること。、・その一方で従来からの成功モデルの「一村一品」運動や棚田利用の村おこし、道の駅などでの農産物の直売など平行して進める事、
など既に先進的な農家では既にやっている、あらゆる前向きな可能な手段を取るとことだ。
政府へ
・小麦や大豆への転換に付いて何らかの形で補助金を出すこと。
・ポスターなどよりこれが何故大切かなど農業従事者の良く説明すること。
・このような新しい動きについて行けない高齢者や僻地への配慮を十分に行う事。
参照:カテゴリー → 地方分権と再生
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