経済産業省が19日に2009年版の通商白書を発表した新聞各社が報道しています。
・アジアの9億人市場を狙え
中国やインドなど新興国の市場で、所得が増えて消費意欲を高めている中流層を取り込むための商品開発の必要性
・急激な景気悪化の要因となった米国への輸出頼みの産業構造をかえ、アジアの活力を日本の経済成長の原動力としていくことが必要
・日本が強みを持つ環境技術やアニメなどの積極的な売り込み
・中間層を取り込むため、家電商品の操作機能を絞り込むなどし、安価な商品を開発する
・中国での日本の女性ファッション誌の売り上げ増と、紹介されている衣料品の売り上げ増に繋げるために、メーカーや小売業などがメディアと連携
・経済危機の分析
白書は、米国発の金融危機を発端とした経済危機についても分析し、米国などの「金融資本主義の限界が露呈した」と記した。
その上で、長期雇用や年功賃金など、人や地域社会を大切にする日本型の経営哲学は「世界でも通用する」と主張している。(読売新聞より)
[私の意見]
・数年も前から米国に頼りきりの輸出、米国型の市場中心、自由主義経済の見直しを訴えてきた私としては、日本が輸出先の重点の一部をアジアにシフトするのは賛成です。
・強いて問題点を上げるなら、今頃「米国などの金融資本主義の限界が露呈した」と言っても何もなりません。
少なくとも米国の住宅バブルが可笑しくなりだしたときに、ある意味では第三者的立場にいる通産省は何らかの形で企業に警告を発するべきだったし、日本の銀行は日本のバブルの反省から、米国のバブルに警戒をしていたのに、通産省が何故黄色の信号を出せなかったかの反省が必要と思うのですが。
・終身雇用や人や地域社会を大切にする日本型の経営哲学は「世界でも通用する」との主張も賛成ですが、年功賃金と書いたのは少し問題があります。
年功賃金は今企業で流行している成果主義の反対の賃金制度です。
私は極端な成果主義は反対ですが、今のような時代では緩やかな年功賃金に加えて緩やかな成果主義の導入も必要な様な気がします。
その一つの理由は現在避けられない非正規社員の導入です。
その際、正規社員が年功で自動的に昇給すれば、能力給の非正規社員との格差がでてきて、これも避けられない同一労働、同一賃金の原則を護れないこと、そして賃金格差→社会格差の増大に成るからです。
たまたま昨夜、テレビ東京の「カンブリア宮殿」で二回続いて「メガネ21」の紹介がありました。(*注記)
同社はユニーク(過ぎる)な会社で
・年商83億円の眼鏡チェーン。現在では広島でトップシェア、全国で128店舗展開
・質の高いサービスと広告費・人件費・利益と内部留保を極端に減らすことによる安値販売
・社員全員が株主(経営者と同じ危機意識を共有)
・社員の半分が転職組(他企業の正規採用中心の人事と違う)
・転職の理由は「ノルマがないから」 (成果主義とは反対)
・中間管理職はなし、連絡役、指導役としての世話役を置く(組織の簡素化)
・業績が良ければ惜しげもなくボーナスを支給、30代社員は一番多かったときは450万円くらい貰った(従業員の士気の高揚)
・普通の会社なら当たり前に行なっている「内部留保」を商品の値下げと社員のボーナスに当てている。
・同社や独立者が資金が必要な時は社員から自分の(社内預金)貯蓄の中から同社や独立者に投資をして貰う、つまり「内部留保」を社員の貯蓄で肩代わりする
・社是は「社員の幸福」
・会社所有のボートでの魚釣り大会や社内ボウリング大会→社内結婚の奨励
・客の希望に合ったメガネを各店で作ることの出来る技術を発明
私は今まで何回かテレビなどで優良企業の紹介がある度に、このブログに載せてきましたが、それらの会社を見ていて気付くのはその何れもが、
・人を大切にする
・終身雇用
・会社と従業員が互いに信頼している
・従業員のやる気を起こさせる
・企業がこれらのことを実行出来る、他社が真似できない独自の技術を持っている
・モラルの高い従業員が更により高度な技術を産み出す
という共通した特徴を持っていることです。
そしてそれこそ日本が一時期に国民が総中流意識を持つまで発展した原因の一つです。
今は、米国発の金融危機、開発途上国の台頭という厳しい時代になっていますが、成果主義万能や非正規社員採用によるイージーゴーイングな経営姿勢を改めて、通商白書の示すように、昔の日本型経営の良い所を新しく見直して時期にきていると思います。
それと国土が狭く人的資源しかない日本は、経済的に優位に立つ国と伍して行くためには、昔の日本株式会社(と言っても管理型ではなくて政府のアドバイスや支援の形の会社)に戻ることも考える必要があるかも知れません。
日々の仕事に終われている企業に対して、そしてサラリーマン化している企業の経営者に、前に書いた様に米国経済の変調などや、新技術開発の必要性など、先見性を持った指導する政府が欲しいものです。
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*注記:景気が悪くなった時の対策(ホームページより)
1.業績が下がれば年間最高は800万円の賞与を減額、社内預金の利息を10%→0%まで引下げる。(社長の年収は社員の最高額と決めているので、社長の報酬も自動的に減額)
2.更に仕事が減れば残業を無くし、休日出勤も無くす。
3.更に暇になれば、時給1330円~1520円のパート社員の勤務時間を減らす。
4.定率で減価償却しているので設備投資を中止しコスト削減
(つまりワークシェアリングの考え方)
「多数の社員が預金引出しに殺到した場合は?」の質問に対しての社長の考え方は、殆どの社員が(株)21の存続を願わなければ会社を清算すべき。