<<マスコミの報道とその社会の教育環境への影響>>
日本の教育問題を考える上で、学校で習うもの以上の膨大の情報量を持つマスコミの生徒たちに対する影響力、また社会の人達に対する影響力は計り知れないものがあります。
そのマスコミには下記のような傾向があり、それが日本にとって良い影響も与えたかも知れませんが、また下記のような悪影響を及ぼしているのも間違いのない事実のような気がします。
<報道の偏りが生んだもの>
(1)物事を真っ直ぐ、かつ公平に見る目を曇らせ、一部の人に責任は全て権力や他の人にあると言うような一方的な考えを定着させ、教育の荒廃や少子化等の基本的な問題点の解決を遅らせた。
(2)日本にもまだまだ良い所が多くあるのに、悪いことばかりの報道で、日本人として、または個人としてのプライドを失わせた。
(3)同じ理由と、一部の進歩的?な人達のルール軽視の発言が日本人の倫理観を失わせた。
(4)バブル、ビッグバン等の無批判の報道で企業の倫理観を失わせた。
具体的には、来週以降の個々の例で申し上げることにします。
<マスコミの傾向>
1.日本のメディアは権力や強者には厳しく、弱いものには同情的で、極端な場合強者は悪、弱者は善と言わんしたばかりの報道をしがちです。
ところが、大きな影響力を持っていた農協や日教組などの一種の権力機構に対して、殆ど報道や批判をされなかったは何故でしょうか。
(1)教育の荒廃の問題例えば、学校の荒廃の問題では、最初は文部省に全責任があるようなこと言い、次は校長や教育委員会、それから先生方、最後には家庭に一番大きな問題があるようだと判り出して、メディアの報道は鎮静化し、既成事実化てしまいました。
教育荒廃の報道が盛んだったころ、学校教育に大きな関係のある日教組の問題に触れられてなかったのは何故でしょう。
(2)農村の経済問題米国から穀類を買うように圧力がかかった時、当時私が取っていた全国紙には、農村が産業界の輸出の犠牲になっていると言う投書があっても、その反論の投書が全くありませんでした。
実際は、産業界の輸出と政府の一種の社会主義的政策が、低い生産性の農村の人達でも、都会の人と余り変わらない生活レベルを可能にしている事実についての投書もその解説もありませんでした。
そして農村の生産性を上げる必要性と、その中心となるべき農協等の農民の大組織の役割と責任について、詳細に述べたマスコミがどれだけあったでしょうか。
(3)農村の花嫁の問題農村の花嫁不足が問題になっていたころ、男性の立場と彼らが農村を維持して行く責任ばかりの報道で、男性と同数を占めている女性の立場や責任の報道が殆どありませんでした。
この問題に対する報道姿勢と、現在、大問題になっている少子化に対する女性の立場、責任に対する姿勢が全く同じような気がします。
2.日本と外国に対する不公平な報道姿勢
南京の大虐殺の報道はしても、(米国の占領が済んだ今でも)米国の原爆の投下が戦争犯罪であると言わない。
韓国併合の問題について解説する時に、植民地時代の背景について触れない。
海外旅行が戦後盛んなったころ、海外から帰った日本人が「やはり日本が一番良い」と言うのを”日本よいとこ症候群”と揶揄したニュース・キャスターの例や、イラク戦争中のどの国に一番期待するかと言うイラク国民へのアンケートで、日本が一番に上げられたことを僅かのNHK、読売ほか僅かの報道機関からしか報道されなかったのは何故でしょうか。
3.社会現象を鵜呑みにする報道
もう一つの特徴は、ある社会現象が破綻をきたすまでは、それを当然のように鵜呑みにして報道する。
バブルのときにバブル自身に対する批判もないし、ビッグバンと言えばそれを金科玉条にするように、ある事を何の批判もなくそれ基準においてすべてを判断しようとします。
教育にも大きな関係のある少子化の問題のような、もっと基本的な問題について、少子化を当然のこととして、少子化に伴う目先の問題しかいってないようです。
少子化が本当に良いことか、また問題とすればどうすれば良いかと、研究し意見を発表するべきではないでしょうか。
最近のことでは、ホリエモンさん、村上ファンドの全盛時の報道と手のひらを返したような今の取り上げかたとりあげ方を見て下さい。
4.ルールに違反すのを、進歩的?と思っているかのような報道
最近では、あまりないようですが、一昔は例えば、指紋押捺拒否で処罰された人が処罰に反対するのを、無批判に報道するのではなくて、押捺拒否には一理があるが、国家のルールには従うべきだという批評家やマスコミの意見は殆ど報道されませんでした。
学校の問題では、ナイフの所持の問題が法律違反だし、学校内であっても治外法権でなく器物損壊も、他の生徒や先生に対する暴力も、先生に対するとと同じように基本的には法に照らして処罰されるべきだというような、ごく当たり前のことが何故言えないのでしょうか。
当たり前のことを言えば世論をリードすべき批評家やマスコミの沽券にかかわるとでも思っているのでしょうか。
5.ネガティブな面の報道に偏った報道姿勢
ネガティブな面の報道は当然ですが、ポジティブな面や日本人を元気づけるような、「頑張っている人や企業」のレポートや、2月5日付け読売で見た、米国の大学とBBCの世界の人の世論調査で「世界に最も好影響を与えている国は日本」といった報道をもっと多くの報道機関で取り上げて貰えば、日本人のプライドや倫理観を保つ上で役立つと思うのですが。
(May 17と毎週日曜日投稿参照)
http://blog.goo.ne.jp/mutouha80s/d/20060525 http://blog.goo.ne.jp/mutouha80s/d/20060613