土谷棚田の火祭り
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長崎県松浦市福島町に、玄海灘を臨んで日本の棚田百選に
選ばれている土谷棚田がある。
田植え時期、玄海灘に沈む夕陽が
棚田をオレンジ色に彩るさまは、まさに絶景。
また毎年秋には火祭りが行われる。
棚田の畦道に設置された約3000本もの灯篭が夕暮れとともに灯され、
棚田はたちまち光の帯に彩られた幻想的な風景に変わっていく。
(2015年10月撮影)
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6月8日 月曜日 快晴。午前8時久々のマイカー出勤。
車の多さはコロナ以前に戻ってしまった感があるし、
会社のある天神地区の人出も同様。
これで大丈夫かな、と少々心配になる。
ともかく、今日から職場復帰だ。
専用のPCを開き、メールをチェックした。「未読」がずらっと並んでいる。
いちばん古い着信は4月8日だから、
まるまる3カ月間このPCを開いていないわけだ。
「未読」がわんさか溜まるのも当然のことだろう。
ほとんどが広告まがいのものだ。次々、消去していく。
これだけ長期間、仕事から離れていたのは初めてのことだ。
言うまでもなく、コロナ禍が招いた災厄。
当初は、高齢者は出来るだけ外出を控えようみたいなことで、出社を自粛していた。
それが、瞬く間に感染が拡大し、ついには非常事態宣言に。
それで会社も半月ほど休業を余儀なくされ、そのまま自宅待機を続けてきたら、
それが3カ月にもなってしまったのだ。
ようやく非常事態宣言が解除され、会社も6月1日から業務を再開したのだが……
さあ、と勇んだところでがん再発。
手術のため、6月1日からの復帰はかなわず1週間遅れとなってしまった。
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3カ月間も放置したままだったPCをやおら開き、仕事開始だ。
とは言っても、即座に取り掛かれるはずもない。
これほど長く仕事から離れ、仕事のことは
すっぽり抜け落ちてしまった頭では、そう簡単なことではない。
まずは“仕事頭”に引き戻さなければならない。
じーっとPCのディスクトップをにらみつける。
そこに、そのための手法が書き出されているわけではないが、
とにかくそこに気持ちを集中する。
すると、キーボードがかたかたと鳴ったような……。
すぐさまディスクトップを見る。
「少し時間をかけ、心身の状態を整えるべし。急ぐべからず」
画面に、そう書いてあるように見えた。
なるほど、なるほど。
まずは、自分はどんな商品を作りたいのか。そこをしっかり見つめてみよう。
それから、それにはどんなことが必要なのか。
場合によっては人の意見やアイデアも聞かなければならない。
そんなことを一つ一つ組み立てていき、構築を終え次第、着手すればよい。
その過程で“仕事頭”は戻ってくるはずだ。
もう一つ。やはり体調を整えないといけない。
手術から10日ほど経つが、術後の障害、それに疲労感、
これらは随分軽くなりはしたが、まだまだ若干倦怠感が残っている。
よく言われるように、心身が整っていないと万事うまく運ばない。
仕事復帰の初日は、そんなことを改めて思い知らされた1日だった。