水牛にゆらりゆらり
沖縄県の石垣島のさらに西、八重山列島の一つに西表島がある。
沖縄本島に次ぎ、沖縄県では2番目に大きな島だ。
昨年7月、ここを3泊4日の日程で訪れた。
さらに、この西表島と海を挟んで500㍍ほどの所に由布島がある。
周囲2㌔の小島だ。島全体が亜熱帯植物園となっている。
西表島と間を挟む海は満潮時でも1㍍ほどにしかならない。
もっぱら、水牛車に揺られてゆったりと渡る。
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久しぶりにウオーキングへ出かけた。入院する前日の5月27日以来だ。
かかりつけの女医さんから、「高齢者は、体を動かすことをしないと、
筋力はたちまち落ちますよ。毎日、少しずつでも、
たとえばウオーキングなどで体を動かしてください」そう言われている。
それが20日間、何もしていない。
少々心細くもあり、また術後の体調もほぼ回復してきたので、
足慣らし程度のウオーキングを再開することにした。
コースはいつもの通り、近くの御笠川沿い。
17年前氾濫し、我が家を床上まで水浸しにした因縁の川だ。
すでに梅雨。そう言えば、心なしか水かさが増しているような……。
用心しなければならない。
さて、歩きながら何だかだと考えるのもいつものことだ。
「人の不幸は蜜の味」という。何の注釈もいらないだろう。
最近は同じ意味で、「他人の不幸で今日も飯がうまい」──
“メシウマ”と言うのだそうだから恐れ入る。
なぜ、こんなことを言い出したのか。
それは覚えたての「シャーデンフロイデ」という言葉が、
ひっきりなしに頭をよぎるからだ。
これは、他人を引きずり下した時に得られる快感のこと。
さらに言えば、正義を振りかざして人を叩くと得られる快感であり、
攻撃すればするほど、ドーパミンによる快楽が得られるという。
何事にも意見を異にする人たちがいる。そして、互いを批判する。
民主国家であれば、当然のことだ。
だが最近、批判を通り越して誹謗中傷の類が多いように思う。
特にSNS上で、そんなことが横行しているようだ。
そういう人たちは、間違いなく「自分こそが正義」だと固く信じ、
自分の正義の基準にそぐわない人を、正義を壊す悪人として叩く。
攻撃して、相手が弱れば「してやったり」の快感を得るのであろう。
こうしたことは個人対個人だけではない。
政治の世界においては与党対野党、さらに国対国などということもある。
それぞれが、自らを正義として相手を攻撃する。
韓国を“くず”呼ばわりする北朝鮮。
融和の象徴だった南北共同連絡事務所を爆破するなど、
関係は急速に悪化している。
北朝鮮にすれば、自らが正義であり、韓国の脱北者団体が
大型風船で金正恩批判のビラを撒いたのを許した韓国政府は悪、
そう決めつけてのことだというが、事はそう単純なことではあるまい。
韓国をこれほど攻め立てている北朝鮮だが、
「今日も飯がうまいわい」─そう、ほくそ笑んでいるとはとても思えない。
独りよがりの攻撃で得られる快感なぞ、そんなものだろう。