「Risa!」
海風と波の音に消されぬよう、叫ぶようにその子を呼んだ。
と、突然、17歳になる少女は、陽を遮ってくれていた傘を
そのまま手に、風に乗るように踊り出した。
砂浜に寄せる波はどんなメロディーを奏でているのか。
軽やかに、伸びやかに……。
陽の光は正面から眩しく、少女のシルエットを砂上に落とす。
ルンバ、チャチャ、あるいはシャンソンかしら。
ひょっとして、サルバトーレ・アダモが歌う
「J’aime」かも……。
J’aime 揺れる髪よ 風の たわむれ
君は バレリーナ 優雅に 踊る
J’aime 僕の肩に 君の 腕やさし
少女 みたいな 君の その笑顔
J’aime 怖くない 愛し合う 二人は
J’aime 腕をとり 並ぶ影 いとし
J’aime 僕ら二人に 過去は いらない
未来を 夢見て 生きて いくんだ
J’aime 愛する君 傍にいる いつも
なみだ あふれる
好きだ 好きだよ 君が
※フランス語の「J’aime」=「I lоve」の意味。
上記の歌詞は原曲の歌詞を邦訳したのではなく、
こちらが勝手に書いたものです。悪しからず。
そして、踊っている少女「Risa」は、僕の孫娘。
それを撮影したのは、お祖母ちゃん、つまり妻。
一家の自作自演なのでした。
(福岡県福津市・津屋崎海岸で)