「Stand by Me」という歌がある。原曲はBen E Kingだが、
いろんな歌手がカバーし、今なお歌われ続けている有名な曲だ。
覚えやすいメロディとシンプルな歌詞。しかもメロディ・ラインが自然で、
印象深い歌詞がストレートに伝わってくる。
ヒット曲に欠かせない要素をすべて備え、1986年公開された
同名の映画によってリバイバル・ヒットを成し遂げている。
Stand By Me • Theme Song • Ben E. King
よく、映画のために書かれた曲と思われがちだが、そうではない。
歌が最初にリリースされたのは1961年、
映画の公開は先に述べたように1986年だ。
だが、この歌と映画、見事なまでにマッチしている。
映画の原作は、あのモダン・ホラーの巨匠、
スティーブン・キングの小説「The Body」。
4人の少年が、行方不明になっている、ある少年の死体探しの旅に出る、
そんな青春とノスタルジアに満ちた成長ストーリーだ。
だが、単にそれだけの話ではない。この映画には大人になって初めて
よく理解できるメッセージが込められている。
暇を持て余し、無駄な時間を過ごすばかりの少年たち。
しかし、彼らは時として、少年同士では解決できない問題に直面することがある。
でも、それに答えてくれるべき大人たちは、
生活に追われ彼らの相手にはなってくれない。
彼らは自分の行く末に明確な道を見い出せず、茫然としたまま、
それでも大人になっていかなければならないのだ。
自ら選択を迫られる瞬間に直面した時、やはり誰かの助けがいる。
親をはじめ大人を頼れないとすれば、助けてくれるのは友人しかいない。
「俺たちはいつも一緒だ」「お前なら大丈夫」─こう言ってくれる友だ。
そんな友との友情は大人になっても変わらない。
この映画は、そんなメッセージを込めているから、
大人になって見ると、ひどく感動するのだろう。僕は2、3回見ている。
そして、Ben E Kingの歌詞が、この映画にぴったりとくる。
夜が訪れ あたりが闇に支配される時
月明りしか見えなくなった
恐れることなんてないさ 怖がる必要なんてどこにもない
ただ君が暗闇の中ずっと 僕の側にいてくれたら
ダーリン だから側にいてくれないか
僕の隣に 離れず ずっと近くにいて欲しいんだ
「ダーリン」は恋人をさすのだろうが、これを「フレンド」に置き換えればよい。