野の廃屋
阿蘇から白水ダムのある大分県竹田市に向かう途中、
雑草に埋もれるようにポツンと建つ一軒の廃屋があった。
周りはぐるり畑が広がっているから、おそらく農家だったのだろう。
農業を見限って去った跡なのだろうか。
屋根も壁も、あちこち雨風に任せるままになっている。
すでに寿命は尽きた。ただ、倒壊する日を待っているように見える。
(2020年3月末撮影)
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懇意にしている経営者が語る、今どきの若者の一側面である。
今の若い人たちと交流して思いますのは、彼らは社会で大人と接した際、
大きなギャップを感じているのではないかということです。
特にビジネスの場におけるマナーとコミュニケーションについての悩みは、
相当に大きいようです。
マナーというのは、本来は家庭や学校で学ぶべきものですが、
それが身につかないまま社会人になったため、現実社会のありように
戸惑わされているのではないでしょうか。
分かりやすい話をしましょう。
今の若い人たちは、固定電話を使ったことがほとんどないはずです。
この固定電話での相手は、たいてい見知らぬ人ですよね。
それだと、自然と敬語を交えて会話することになります。
そこで、意識しないまま社会における言葉遣い、
マナーを学ぶことになるわけです。
でも、今は携帯電話の時代です。相手は、主に友人、知人、家族といった、
いわば気安い人たちでしょう。敬語を使う必要もない。
だから、対等の相手として馴れ馴れしく話す、
つまり、ため口になってしまうのです。
就職し、会社の上司、あるいは取引先と、そんなため口で
やり取りするとしたらどうでしょう。受け入れてもらえるはずがありません。
本人は、「間違ったことは言っていない。なのに、なぜか分かってもらえない」
とジレンマに陥り、それが悩みとなっているケースが案外と多いのです。
便利な携帯電話が持つ、一つの落とし穴なのかもしれない。