Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

落とし穴

2020年06月17日 05時16分45秒 | エッセイ
             野の廃屋


      阿蘇から白水ダムのある大分県竹田市に向かう途中、
      雑草に埋もれるようにポツンと建つ一軒の廃屋があった。
      周りはぐるり畑が広がっているから、おそらく農家だったのだろう。
      農業を見限って去った跡なのだろうか。
      屋根も壁も、あちこち雨風に任せるままになっている。
      すでに寿命は尽きた。ただ、倒壊する日を待っているように見える。
                            (2020年3月末撮影)

      ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂  ⁂

     懇意にしている経営者が語る、今どきの若者の一側面である。

今の若い人たちと交流して思いますのは、彼らは社会で大人と接した際、
大きなギャップを感じているのではないかということです。
特にビジネスの場におけるマナーとコミュニケーションについての悩みは、
相当に大きいようです。
            
   マナーというのは、本来は家庭や学校で学ぶべきものですが、
   それが身につかないまま社会人になったため、現実社会のありように
   戸惑わされているのではないでしょうか。

分かりやすい話をしましょう。
今の若い人たちは、固定電話を使ったことがほとんどないはずです。
この固定電話での相手は、たいてい見知らぬ人ですよね。
それだと、自然と敬語を交えて会話することになります。
そこで、意識しないまま社会における言葉遣い、
マナーを学ぶことになるわけです。
   
   でも、今は携帯電話の時代です。相手は、主に友人、知人、家族といった、
   いわば気安い人たちでしょう。敬語を使う必要もない。
   だから、対等の相手として馴れ馴れしく話す、
   つまり、ため口になってしまうのです。
                                
就職し、会社の上司、あるいは取引先と、そんなため口で
やり取りするとしたらどうでしょう。受け入れてもらえるはずがありません。
本人は、「間違ったことは言っていない。なのに、なぜか分かってもらえない」
とジレンマに陥り、それが悩みとなっているケースが案外と多いのです。

     便利な携帯電話が持つ、一つの落とし穴なのかもしれない。