数日前、所用で地元×△区役所の住民係に行った。イスに座って順
番を待っていた。すると、ステテコ姿にゲタを履いた70歳位のジイ
さん(頭は五分刈でマスクをしてた)が、場所に不慣れなのか、きょ
ろきょろしながらフロアーに入って来た。
ジイさんは、区役所の案内係の職員を捕まえて、小さな紙を示し、
「これに、オレがいつ×△区に引っ越してきたか、書いてくれ。」
とか言ってた。30代位の女性の案内係は、ではこの番号札を引いて、
住民票をお取りください、と案内した。
ジジイは、住民票なんか要らんから、日付だけ調べて紙に書いてく
れよと、少し怖い雰囲気でクダを巻いて絡みだし、女性は逃げ腰で、
では番号を呼ばれましたらカウンターでお尋ね下さい、と告げてた。
5分程して、住民票のカウンターからジジイの番号が呼ばれると、ジ
イさんはさっきと同じことを言ってた。オレが引っ越してきた日付
が知りたいとか。
窓口の担当職員は、住民票を取りますか?と訊いたが、
ジジイは大声で怒り出し、
「だから、さっきから言ってンだろ!
そんなモン取れば、カネ掛かるんだろ! エッ?
オレは、日にちが知りたいだけなんだよ!」と声を荒げた。
フロアーの人々からジジイに注目が集まると、ジイさんは体裁を恥
じたものか、時間のムダだとか、もういい! 帰る!とかって、
またゲタの音を響かせてお帰りになった。
昔はこんな調子の、世間の筋道を弁えない(法律や書類というものに
馴染みの薄い)オヤジは、町中に一杯いたものである。
情報へのアクセスが容易な今の時代、近頃にしては珍しいジイさん
である。絶滅危惧種の田舎オヤジに、少しの嫌悪感と懐かしさの入
り混じった気持ち、銭湯とか古い木造家屋の、昭和の匂いがした。
番を待っていた。すると、ステテコ姿にゲタを履いた70歳位のジイ
さん(頭は五分刈でマスクをしてた)が、場所に不慣れなのか、きょ
ろきょろしながらフロアーに入って来た。
ジイさんは、区役所の案内係の職員を捕まえて、小さな紙を示し、
「これに、オレがいつ×△区に引っ越してきたか、書いてくれ。」
とか言ってた。30代位の女性の案内係は、ではこの番号札を引いて、
住民票をお取りください、と案内した。
ジジイは、住民票なんか要らんから、日付だけ調べて紙に書いてく
れよと、少し怖い雰囲気でクダを巻いて絡みだし、女性は逃げ腰で、
では番号を呼ばれましたらカウンターでお尋ね下さい、と告げてた。
5分程して、住民票のカウンターからジジイの番号が呼ばれると、ジ
イさんはさっきと同じことを言ってた。オレが引っ越してきた日付
が知りたいとか。
窓口の担当職員は、住民票を取りますか?と訊いたが、
ジジイは大声で怒り出し、
「だから、さっきから言ってンだろ!
そんなモン取れば、カネ掛かるんだろ! エッ?
オレは、日にちが知りたいだけなんだよ!」と声を荒げた。
フロアーの人々からジジイに注目が集まると、ジイさんは体裁を恥
じたものか、時間のムダだとか、もういい! 帰る!とかって、
またゲタの音を響かせてお帰りになった。
昔はこんな調子の、世間の筋道を弁えない(法律や書類というものに
馴染みの薄い)オヤジは、町中に一杯いたものである。
情報へのアクセスが容易な今の時代、近頃にしては珍しいジイさん
である。絶滅危惧種の田舎オヤジに、少しの嫌悪感と懐かしさの入
り混じった気持ち、銭湯とか古い木造家屋の、昭和の匂いがした。