家族或いは泥の舟

ウチの自営業(法人)の決算が終わった。
予想以上に業績が悪い。
想定内ではあるが、廃業必至である。

最近、新聞でも景況感の悪化が報じられているが、
下町の町工場のような、社会経済の末端から
不景気風というものは、吹き貫けるものである。

ウチは元々事業継承者がいないので、廃業は既定の方向だが、
私が出来ることといえば、経費削減のために顧問税理士と手を切り、
法人の税務申告書を私が作成・提出することくらいである。

法人税の別表作成等、法人税務を知らないわけではないが、
私自身が、外の会社に再就職することと併せて考えると、
負担が多くなりそうなので、どうしたものか、迷う処である。

話は変わるが、そんな折、バァバが小さな怪我をした。
朝、起きがけに雨戸を開けていて、戸袋に指を挟み、三針縫った。
この人は、四六時中、左手の薬指に緑色の石の指輪をしているのだが、
どうやら、この石が引っかかって戸袋から指が抜けず負傷した模様である。

料理する時くらいは、指輪は外せと言っても、この人は聞かないのである。
風呂も洗顔も指輪をしたままだし、寝る前にも外さないようだ。
石の種類はエメラルドか何か知らないが、ウチのような貧乏世帯で、
家の中で指輪をしている姿が、何とも貧乏人根性丸出しで、みっともない。
大きなペニス・ケースを付けた未開人の心証と差がないようにさえ見える。

目(白内障)の方が良くなったと思ったら、次はこんな怪我をしてくれる。
私はまた、買い物したり、米を研いで御飯炊きである。
ジィジにも困るが、本当に手の施しようがないのは、このバァバである。
日本舞踊をやるので着物趣味があり、家計も省みない浪費家なのである。

これで本人はうつ病持ちなのだが、一体どーゆー神経になってるのか？
金銭感覚と虚栄心の双方が、奇妙に歪んでいるような感じである。
理を説いても、言葉が通じないので、私の方がうつ病になってくる。

私は、最近時々、
「親」という立場のジジ・ババに、泥の舟に乗せられて、
行き先も教えられず、漕がされているような気分がするのであるが‥。