6日の対巨人戦で日ハムの大谷投手が大田選手に先頭打者本塁打を打たれて先制されたことを速報で知り、何となく違和感を覚えた。大谷投手の立ち上がりは良くないことが多いが何か特殊な事情もあったのではないかと思って調べてみればやはり二刀流特有の問題が現れた。
プロ野球の先発投手が、マウンドに立つより先にバッターボックスに立つということがあり得るだろうか。初回に投手の指定席である9番打者に打順が回るまでには少なくとも3点が入っている。打者として期待されていない投手であれば気楽に打席に立ち、おざなりに打者としての役割を片付けて、そそくさと本業である登板に備えるだろう。これはプロ野球中継で最もシラける場面だ。打順を迎えるまでには時間もあるから投球練習もできる。
大谷投手のケースはこれとは余りにも懸け離れていた。テレビ中継が無かったからネット等から拾い集めたところこんな経緯だった。
先頭打者の西川選手が死球で出塁すると2番の中島選手が送りバントを決めて1アウト2塁となった。初回早々先取点のチャンスだ。クリーアップトリオ(3・4・5番打者)に期待が集まる。3番の田中選手の凡退後、4番の中田選手はフルカウントまで粘った末に三振した。ネクスト・バッターズ・サークルにいた大谷投手は一旦ベンチに戻ってグラブを掴むとそのままマウンドへと向かった。
ネクスト・バッターズ・サークルにいた大谷投手の動向がどうだったかはたとえ実況中継があっても殆んど分からないが、スポーツニュースで見た中田選手の三振シーンでほんの一瞬小さく映った。巨人の高木投手の投球に合わせて素振りをしていた。その姿は、中田選手に続いて自分も打つという姿勢であり、中田選手が凡退をしてチェンジになればバッターボックスではなくマウンドに向かわねばならないということなど全く考慮していないように思えた。それは中軸打者として当然のことだ。ところが中田選手は三振をした。これは大谷投手にとっては最悪の結果だ。バットにさえ当たっていれば、それがゴロであれフライであれ緊張の糸を緩める時間が生まれる。しかし三振であれば張り詰めた緊張の糸が一瞬で断ち切られて拍子抜けしたままの状態でマウンドに向かわねばならなくなる。
ご存知の人も多かろうが大谷投手は右投げ左打ちだ。だから打から投への切り替えにおいては回転軸の切り替えも必要だ。
ゲームのの途中でランナーとして全力疾走をした投手を休ませるために、チームメイトは様々な手を使って時間稼ぎをする。しかし大谷投手の二刀流は異例だから協力する雰囲気が生まれない。増してや打席ではなくネクスト・バッターズ・サークルで素振りをしていただけだ。チームメイトだけではなくファンでさえ理解しない。
心身共にウォームアップ不足だった大谷投手の第一球はボールだった。打者の大田選手が次のファーストストライクを狙い打ちしようとするのは当然のことだ。
こんな経緯を考えれば初回の大谷投手が苛酷な環境に晒されていたことが理解できる。投手はデリケートだと言われるがただでさえ神経を擦り減らすプロ野球選手の2倍以上のプレッシャーが働いた。神経症を発症しかねないほどのレベルだろう。
こんなケースは日本プロ野球史上初めてのことだ。少なくともこの50年、こんな経験をした選手はいない。高校野球なら投手で4番という立場で経験した人もいようが、プロ野球にはいなかった。つまり経験したことも検討したことも無い。天才であるが故の苦労に周囲の人は気付かない。
余りにも卓越した才能に恵まれたためにそれまで誰も経験したことの無い状況に放り出されて誰からも理解されない。人間の共感力は経験を共有できる範囲でしか働かない。誰も経験したことの無い異次元の世界だから監督もコーチも同僚も配慮できなくなる。そんな時には審判が判断して試合を中断しても良かろう。それを依怙贔屓だなどと目くじらを立てずに規格外だから必要なことと認めるべきだと私は考える。折角の逸材が周囲の無理解によって潰される姿は見るに耐えない。マスコミでさえ大谷投手のこんな苦労には気付いていない。
プロ野球の先発投手が、マウンドに立つより先にバッターボックスに立つということがあり得るだろうか。初回に投手の指定席である9番打者に打順が回るまでには少なくとも3点が入っている。打者として期待されていない投手であれば気楽に打席に立ち、おざなりに打者としての役割を片付けて、そそくさと本業である登板に備えるだろう。これはプロ野球中継で最もシラける場面だ。打順を迎えるまでには時間もあるから投球練習もできる。
大谷投手のケースはこれとは余りにも懸け離れていた。テレビ中継が無かったからネット等から拾い集めたところこんな経緯だった。
先頭打者の西川選手が死球で出塁すると2番の中島選手が送りバントを決めて1アウト2塁となった。初回早々先取点のチャンスだ。クリーアップトリオ(3・4・5番打者)に期待が集まる。3番の田中選手の凡退後、4番の中田選手はフルカウントまで粘った末に三振した。ネクスト・バッターズ・サークルにいた大谷投手は一旦ベンチに戻ってグラブを掴むとそのままマウンドへと向かった。
ネクスト・バッターズ・サークルにいた大谷投手の動向がどうだったかはたとえ実況中継があっても殆んど分からないが、スポーツニュースで見た中田選手の三振シーンでほんの一瞬小さく映った。巨人の高木投手の投球に合わせて素振りをしていた。その姿は、中田選手に続いて自分も打つという姿勢であり、中田選手が凡退をしてチェンジになればバッターボックスではなくマウンドに向かわねばならないということなど全く考慮していないように思えた。それは中軸打者として当然のことだ。ところが中田選手は三振をした。これは大谷投手にとっては最悪の結果だ。バットにさえ当たっていれば、それがゴロであれフライであれ緊張の糸を緩める時間が生まれる。しかし三振であれば張り詰めた緊張の糸が一瞬で断ち切られて拍子抜けしたままの状態でマウンドに向かわねばならなくなる。
ご存知の人も多かろうが大谷投手は右投げ左打ちだ。だから打から投への切り替えにおいては回転軸の切り替えも必要だ。
ゲームのの途中でランナーとして全力疾走をした投手を休ませるために、チームメイトは様々な手を使って時間稼ぎをする。しかし大谷投手の二刀流は異例だから協力する雰囲気が生まれない。増してや打席ではなくネクスト・バッターズ・サークルで素振りをしていただけだ。チームメイトだけではなくファンでさえ理解しない。
心身共にウォームアップ不足だった大谷投手の第一球はボールだった。打者の大田選手が次のファーストストライクを狙い打ちしようとするのは当然のことだ。
こんな経緯を考えれば初回の大谷投手が苛酷な環境に晒されていたことが理解できる。投手はデリケートだと言われるがただでさえ神経を擦り減らすプロ野球選手の2倍以上のプレッシャーが働いた。神経症を発症しかねないほどのレベルだろう。
こんなケースは日本プロ野球史上初めてのことだ。少なくともこの50年、こんな経験をした選手はいない。高校野球なら投手で4番という立場で経験した人もいようが、プロ野球にはいなかった。つまり経験したことも検討したことも無い。天才であるが故の苦労に周囲の人は気付かない。
余りにも卓越した才能に恵まれたためにそれまで誰も経験したことの無い状況に放り出されて誰からも理解されない。人間の共感力は経験を共有できる範囲でしか働かない。誰も経験したことの無い異次元の世界だから監督もコーチも同僚も配慮できなくなる。そんな時には審判が判断して試合を中断しても良かろう。それを依怙贔屓だなどと目くじらを立てずに規格外だから必要なことと認めるべきだと私は考える。折角の逸材が周囲の無理解によって潰される姿は見るに耐えない。マスコミでさえ大谷投手のこんな苦労には気付いていない。