俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

無駄な入院

2016-06-14 20:35:01 | Weblog
 食道癌を患って以来、3度入院したがどれも無駄な入院だった。2月以降、私の医療費は自己負担限度額を越えているから、越えた分はタダになる。私だけではなくこんな無駄な入院のために公金である健康保険料が大量に無駄遣いされている。
 1・2回目は抗癌剤治療のための入院だった。これらは医師が後で認めたとおり「効果の無い」治療だったから、結果的に無駄な入院だったと言って差し支えなかろう。
 以前から私は抗癌剤を、抗向精神病薬と並ぶ最も有害な薬と考えている。だから抗癌剤治療など受けたくなかった。しかし「抗癌剤治療を受けなければ手術も放射線治療もできない」と脅されては受け入れざるを得なかった。その結果は2回とも悲惨だった。効果が無かっただけではなく副作用に苦しめられることになった。入院する度に「寝たきり老人」状態になって退院することを強いられた。抗癌剤の毒性から解放されるためにはどちらも退院後1週間以上掛かったが決して全快することは無かった。
 その後の通院による放射線治療は予想以上に有効で、一時は根治することも可能かと期待したが、肺炎という副作用が現れたために現在では無期限中断中だ。
 肺炎の自宅療養を始めて約1週間後の7日(火)に病状が重篤化した。夕方から40℃近い発熱があり、丁度その翌日が受診予定日だったから翌日に主治医にそのことを伝えたところ血液検査やレントゲン検査が行われ「一刻も早く入院せよ」と命じられた。
 その後は医師の思惑とは違った展開になった。その夜から熱が下がり始め入院予定日の朝には何と平熱になってしまった。これなら入院する必要はあるまいと思ったが、私には直近の体温のデータしか無く、これに基づいて医師を説得せねばならない。しかし主治医と連絡が取れないまま前日の指示どおりに入院するしか私には選択の余地は無かった。
 広辞苑に拠れば入院とは「患者が治療・検査を受けるために一定期間病院に入ること」とされている。だから治療も検査もしなければ医療行為には該当しない筈だ。困ったことに既に平熱に戻ってしまった私の今回の入院では絶食して点滴をすることぐらいしかできない。体温と血圧を毎日定時に測る以外に何の検査も無い。本人は至って元気なのだから治療も必要無い。こんな入院のために、本人の負担無しに健康保険料が浪費されて良いものだろうか。医療保険制度の無駄は網の目のように張り巡らされており隅から隅まで無駄によって埋め尽くされているようにさえ思える。私としてはこんな「保険金詐欺」紛いの行為に加担したくない。色々と屁理屈を並べて早期退院を勝ち取ることが一患者にできる細やかな抵抗だった。