退院してようやくぐっすり眠れるようになった。布団や枕を選り好みするからではなく四六時中の点滴から解放されたからだ。自慢できる話ではないが私は寝相が悪い。だから寝ている間に点滴の針を抜いたり曲げたりするのではないかと思うと安眠できなかった。通常の就寝時間帯の0~7時の睡眠時間は1~3時間程度だった。これでは睡眠不足になる。夜眠れなくても昼寝をすれば睡眠時間は足りる筈だが人には生活のリズムがあるから脳の働きが低下していた。点滴から解放されてリモコンからラジコンに進化できたような気分だ。
繋がるという言葉には二面性がある。絆に当たる英語のbondの原義は「縛る」だ。同じように「繋がる」とは「拘束される」ということだ。
企業や家族と繋がれば拘束されるし、スポンサーとの繋がりが強過ぎれば研究も報道も歪められてしまう。ゴータマ・シッダールタは我が子をラーフラ(障害)と名付けた。
私は今も携帯電話を持っていない。携帯どころかPHSさえ出回っていない時代に散々トランシーバーを持たされたことで懲りている。トランシーバーは便利でいつでも本部と繋がっていられたが、これは自分を常時管理下に置くということだった。
小学生であれば絵日記を提出する。情報を共有すれば学校とも親とも繋がっていられる。しかしこれは自分を管理させることでもあるから高学年になれば嫌になる。繋がることを拘束と感じるようになる。
熱々の恋人達でも一日中一緒にいれば息が詰まる。適度に距離を保ったほうが快適だ
繋がる権利があるように繋がらない権利もある。定年後の男性は孤立し易いと言われているが、彼らに社会参加を促すことは多くの場合、余計なお世話だ。折角、一生で初めて獲得できた自由を妨げるべきではなかろう。
日本では繋がることが重視され勝ちだ。これは繋がることが好きな人々が繋がって発言するからだろう。稲作のための共同作業が欠かせなかった日本人は繋がることを過大評価する。無縁社会という言葉を使って絆の喪失を嘆く人が少なくないが、多くの人は自らの意思に基づいて希薄な関係を求めている。関係の濃厚な農村社会を理想化すべきではない。
猿と同様、人類も群居動物だった。群居本能が廃れていないからこそ群がることを喜ぶが、価値を共有していなければ共生を強制されることは不愉快だ。
ウィグル族やチベット族にとって、価値を共有できない漢民族との共生は難しい。中東のクルド族やヨーロッパに広く分布するロマ(ジプシー)にとっても他民族との繋がりなど煩わしいばかりだろう。
イギリスがEUから離脱するかどうかが国際問題になっているがイギリスという国そのものが連合王国だ。EUからの独立はスコットランドや北アイルランドの分離独立という国内問題に直結する。
繋がることにはメリットもデメリットもある。完全な断絶を望む人などいないのだから目指すべき方向は緩やかな連帯だろう。繋がるか繋がらないかの二者択一ではなく、どの程度の繋がりを保つかということが、一般論としてではなく個々の関係において定められるべきだろう。
繋がるという言葉には二面性がある。絆に当たる英語のbondの原義は「縛る」だ。同じように「繋がる」とは「拘束される」ということだ。
企業や家族と繋がれば拘束されるし、スポンサーとの繋がりが強過ぎれば研究も報道も歪められてしまう。ゴータマ・シッダールタは我が子をラーフラ(障害)と名付けた。
私は今も携帯電話を持っていない。携帯どころかPHSさえ出回っていない時代に散々トランシーバーを持たされたことで懲りている。トランシーバーは便利でいつでも本部と繋がっていられたが、これは自分を常時管理下に置くということだった。
小学生であれば絵日記を提出する。情報を共有すれば学校とも親とも繋がっていられる。しかしこれは自分を管理させることでもあるから高学年になれば嫌になる。繋がることを拘束と感じるようになる。
熱々の恋人達でも一日中一緒にいれば息が詰まる。適度に距離を保ったほうが快適だ
繋がる権利があるように繋がらない権利もある。定年後の男性は孤立し易いと言われているが、彼らに社会参加を促すことは多くの場合、余計なお世話だ。折角、一生で初めて獲得できた自由を妨げるべきではなかろう。
日本では繋がることが重視され勝ちだ。これは繋がることが好きな人々が繋がって発言するからだろう。稲作のための共同作業が欠かせなかった日本人は繋がることを過大評価する。無縁社会という言葉を使って絆の喪失を嘆く人が少なくないが、多くの人は自らの意思に基づいて希薄な関係を求めている。関係の濃厚な農村社会を理想化すべきではない。
猿と同様、人類も群居動物だった。群居本能が廃れていないからこそ群がることを喜ぶが、価値を共有していなければ共生を強制されることは不愉快だ。
ウィグル族やチベット族にとって、価値を共有できない漢民族との共生は難しい。中東のクルド族やヨーロッパに広く分布するロマ(ジプシー)にとっても他民族との繋がりなど煩わしいばかりだろう。
イギリスがEUから離脱するかどうかが国際問題になっているがイギリスという国そのものが連合王国だ。EUからの独立はスコットランドや北アイルランドの分離独立という国内問題に直結する。
繋がることにはメリットもデメリットもある。完全な断絶を望む人などいないのだから目指すべき方向は緩やかな連帯だろう。繋がるか繋がらないかの二者択一ではなく、どの程度の繋がりを保つかということが、一般論としてではなく個々の関係において定められるべきだろう。