やあ、テツ
そっちの暮らしはどうだい
こっちは毎日ぽっかり穴が空いたままだ
何しろ、すべてがお前中心の生活だったからな
お前がハナやクモの所に行ってから1ヶ月
いまだに自分のふとした行動に
お前と暮らした証(あかし)が残ったままだ
時間(とき)は無情で
少しづつ
それらが消えて思い出になろうとしている
でも、まだ
お前との思い出を語ろうなどと
そんな気にはなれないな
お前の記憶は
あの日で止まったままなんだから
亡くなる前日の朝、様子がおかしかった
よほど苦しかったのか、何かを悟ったのか、涙を流していた
(この日の夜、嘔吐を繰り返して危篤状態に)
ところでテツよ、今日はお前に相談があるんだ
他ならぬ仲間のニャンコたちのこと
「おかあさん」は、お前もよく知っているよな
ああ、もちろん彼女も元気だ
みんなちゃんとご飯食べてるし
自由を謳歌した生活を送っているよ
でも、このままずっと続くとも思えない
この世がどんなに怖いところか
知らないだけだからね
正直、お前がいなくなった今、
我が家に引き取るかどうか悩んでるんだ
何しろ我々夫婦は高齢なんでね
彼らを引き取れば、看取られるのは我々の方かもだ
それに二人ともまだ仕事持ちだし
チビギャング(孫たち)も時折やって来るし
どうかな?
お前の仲間たちは
我が家に来て幸せになれるかな
なあ、テツ
・
・
・
ん?
・
・
・
・
テツ?
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「ぐだぐだ言ってないで、しっかりせんかい!」