多頭生活のリスク、それはストレスによる疾患と感染症です。
ニャンコの被ストレス状態は注意して観察しないとわかり難い。ニャンコは病気や怪我で弱っているときほど柔和で落ち着いた表情を見せるからです。おそらくじっと耐えたり我慢しているときにそういう表情になるのでしょう。でも、そんなときでも神経は研ぎ澄まされている。ちょっとしたことにも敏感なので推察できそうだ。一方感染症の場合は症状は見えても原因がわからない。原因にたどり着くまで相当な時間を要することが多い。
わが家の諸問題は、6月にチキンを迎えたときから始まった。チキンが来たときはシロキの鳴き癖に悩み、ちび太が飛び降りた際どこかにぶつけた頬が膨らみ始めた頃だったが、これらはその後の諸問題とは関係なさそうだ。しかしテンの容態が悪化し(何も食べない)、自分はそっちに気を取られていた。チキン加入の3日後にキーが朝から何も口にしなくなった。キーはそれからの5日間、何も口にしなかったのです。チキン加入の5日後にちび太の頬が破裂し、ニャーが脱走、そして6日後の早朝にテンが亡くなった。キーの食欲は6日目から徐々に回復したがそのときはクウとリンに食欲廃絶が飛び火。さらにはニャー、ちび太と続いて全体が治まるまでにはさらに1週間以上かかったのでした。
チキン(上)とキリン(下)
もうひとつ、チキンを迎えて以来、リビングの主的存在だったみうが2階のオジン部屋に隠れて出てこなくなった。一方テンが亡くなった6日後に今度はキリンを迎えた。家に迎えたときチキンは猫風邪、キリンは目やにが多かったので通院、それぞれ投薬を開始した。このチキンとキリンは齢2ヶ月強とまだ小さかったが、先住猫たちへの影響は計り知れなく大きかったのです。特にチキンは、元気回復してからは疲れを知らない暴れ馬の如きパワーで家を破壊し(特に壁紙)、相手かまわず飛び掛るので周囲の猫たちが逃げ回る始末だった。チキンはわが家の最多となる9匹目の子だったが、その影響は数では言い表せないものがあったのです。
悪ガキだった3匹(ちび太、キー、クウ)も大人になって、チキンが来る前は落ち着いた日々でした。しかしチキンのパワーはこの3匹の子供の頃の比ではない。キリンはおもちゃのように扱われ、ちょっとオニブのシロキもいいようにやられる。何しろ人懐っこく猫懐っこい、無邪気そのもののチキンなので「遊んで~」と飛びつかれても怒れない。他の猫たちもひたすら逃げるしかなかったようだ。そう言えば店に来た頃のちび太に慕われたテンちゃんもそうだったな。ただ、リンだけは違った。最初に飛びつかれたときに「シャーッ!」と凄まじい一喝と猫パンチ。それでチキンは参りましたのポーズになって、それ以来リンには一目置いています。お母さんパワーはやっぱり凄い。
ニャー(左)とちび太(右)
猫たちのストレス蓄積は目に見えて明らかだった。穏やかだったニャーがまたリンに当たるようになり、室内マーキングまでやり出した。ちび太もリンやニャーを執拗に追い始める。キーとクウはちょっとしたことで一目散に逃げ回る。そしてキリンを迎えてから10日後に、あの恐怖の粗相騒動が始まったのです。(「どうなっちゃったの?~多頭生活の試練~」参照)
この騒動、そう簡単には収まらなかった。7月の1ヶ月間は毎日朝昼晩夜中まで粗相が繰り返された。大も小もあり、血便もあれば中型犬くらいの大きいのもある。小の方は、強烈なアンモニア臭のする凄まじいのが何度かあった。家中2階の隅々まで息ができないほどの強烈さ。猫砂にもチップにも吸収されないのでいつまでも臭う。まったく頭がおかしくなりそうな状況だった。この間、特に粗相の多い1階和室(保護部屋)を封鎖したり、トイレの数を4から6に増やしたり、廊下に吸収シートを敷き詰めたりと対策をとったが、何をしてもくしゃくしゃにしてしまうので役に立たなかった。
キー(左)とクウ(右)
8月になって少し沈静化したと思われたが、今度はみうが倒れた。末梢性前庭疾患と思われたみうだったが、その後1ヶ月の闘病の末に力尽きる。みうが亡くなって1週間後にはキリンが旧知の家族のもとへと旅立った。その頃、少し静まっていた粗相問題が再燃。今度は廊下と洗面所のトイレ付近に集中した。再燃した粗相問題は2週間ほど続いてやがて沈静化する。そのきっかけは、台風15号による停電でした。今でもトイレの脇にこぼれていることがたまにあるけど、これはトイレの仕方の問題だとわかった。
知人宅にいったキリンは先方で通院し、その後目の調子もいいらしい。しかしキリンが引っ越す1週間前、まだみうが存命の頃、クウの左目がべちゃべちゃになって塞がった。初期のキリンと同じ症状で、キリンから移されたのは明白だった。クウは触れないので眼の処置を出来ず、食事時に抗生物質を与えて見守るしかなかった。やがて1週間ほどしてクウは自力で目を治した。しかしそれから1週間、今度はキーとニャーの目が同様になった。ニャーは目の処置ができるがキーは警戒して逃げる。ニャーは目やにを拭き目薬を投与できるので早めに改善したがまだ完治しない。キーはクウ同様抗生物質の投与だけで見守ったがかなり長引き、治っても直ぐに再発する。結局この2匹はまだ予断を許さない状況で、しかも最近になってシロキの右目が涙とともに塞がり、ちび太の目も赤く腫れてきた。こちらも目下地治療中です。
リン(左)とシロキ(右)
今回の問題はまだ完全に収束したわけではないが、風邪やストレスや感染症の複合要因なのだと思います。食欲廃絶といってもその元になる原因は何か。ストレスといっても数の問題なのか、チキンのパワーなのか。キリンから移って蔓延してしまった目の異常はどんな病気なのか。尚、他の要因としては猛暑でイライラもあっただろうし、高湿度が続いてトイレの臭いが強くなったことも一因かもしれない。ただ、猫砂を毎日新しく代えてみたこともあったが、はっきりりた効果は見られなかった。さらに、トイレにフードがあると出口で待ち伏せされるので、フードをとって逃げ場を2方向以上確保したりと工夫した。
この問題、もちろんチキンやキリンが悪いわけではありません。何かと他の猫にくっつきたがり、保護者を親とも慕ういたいけなチキンに何の罪があろうか。これらはいずれも保護者の問題なのです。保護猫を家に迎えるときの準備が自分にはまだできてない。猫たちも苦しかったはずだ。保護者の経験不足、修行不足を今の猫たちに素直に詫びて、さらに勉強を重ねていくしかないと思っています。失ってしまったかけがえのない2匹の御霊に報いるためにも。
故みう(左)と故テンちゃん(右)
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