猫は基本的に単独行動性で、縄張りを作って暮らす動物だと言われています。
縄張りを作る目的は、
1.食べ物を確保するため
2.より安全な異性との出会いのため
3.猫同士の不要な争いを避けるため
などと書かれていますが、圧倒的に1の理由が大きいように思います。
自分の経験でも、店をやっていた頃は毎晩置き餌をしていたので夜になるとノラたちが食べに来た。一見さんから常連まで店への依存度は様々。一方店に居住する代々の看板猫たちにとってノラ連中はまさに招かれざる客。もともとは自分もノラだったので同類相哀れむ、なんて気は毛頭なし。追い出そうとしたり逃げ回ったり諍いが絶えなかった。今わが家にいる猫たちで言うと、ココレオ vs.モドキorダイフクorヒョウ。ごくたまにモドキ vs.ダイフク。少し古いけどニャー vs.ダイフク、子猫のちび太 vs.モドキなんてのもあった。
食事風景:(右手前から)ココ、ニャー、チキン、ちび太、(左手前から)キー、クウ、リン
わが家の家裏でも、シロキとハリーの餌場争いは喧嘩声(唸り合い)の騒音が住民問題に発展した。サクラやキジロの子猫時代、やっと見つけた餌場だったけど当時は他の大人猫たちが群雄割拠していてなかなか思うように食べれなかった。そこに現れた若猫がルイ。ルイは他の猫たちを追い払い、子猫の2匹には食べ物を譲るなどして優しかった。その後ルイはFIPで急逝してしまったけど、サクラとキジロにとってはまさに命の恩人(猫)だ。そんな経緯があったからだろうか、その後は長年にわたり2匹争うことなく共存した。
1年前に店のノラたちをわが家に保護したとき、一番の懸念はココレオとモドキやダイフクが相容れるかどうかでした。実際家に来てみるとこの3者(4匹)は三つ巴の状態で、とても一緒に暮らしていけるとは思えなかった。保護部屋でケージから出すときは交互に出したり、ココレオは早く家や先住猫たちに馴染んだので保護部屋の外に閉め出したり、とにかく互いに合わないよう腐心した。たまに高齢保護者のボケで一緒にしてしまうと、とんでもない大勃発、床一面が毛の海になったりもした。
(ソファ奥)ダイフク、モドキ、ヒョウ、(ソファ手前)クウ、(テーブル)ポニー、(手前)リン
先住猫との諍いもあった。先住猫たちは(本気の)喧嘩に慣れてないので、保護部屋の猫を避けて逃げ回るばかりだけど、ニャーは違った。レオとの睨み合いから取っ組み合いを勃発したり、モドキやダイフクともやり合った。ケンは、ちび太に続いてレオからも時折追われるようになった。
しかるに今はと言うと、みんなみんな、平和に共存しているのです。店では窓を挟んで外レジ台と内台で唸り合いが日常茶飯事だったココレオとモドキは、今ではオバン部屋で一緒にいることが多く、同じ出窓で並んだで休んだりしています。ダイフクはリビングキッチンの住猫となって、時折傍を通り抜けた子を追うことがあるけど、徐々に先住猫の社会に浸透しています。1年前には想像できなかった猫たちの変化。どうして彼らは変わったのだろうか。単に危険の少ない家猫になったからだけではない、何かがあるように思えました。
(手前から)レオ、リン、モドキ
ひとつ考えられたのが自分の猫ご飯の出し方。店時代、ノラたちが鉢合わせしないように複数の置き餌を出したり、それぞれがやって来る方角や顔を出す場所に合わせて出す場所を変えたりしていました。その流れで家の猫たちも同様、1匹1匹の状況に合わせてメニューを変え、猫たちの居場所に運んでいるのです。家の中と言えども猫たちの居場所は様々。しかも大抵は1ヶ所でなく数ヶ所あってそのどこかにいる。同じ居場所に長く居続けることはまずなく頻繁に居場所を変える。季節の変わり目などは新しい居場所を開拓することも多く、昔自分か誰かが使っていた居場所に落ち着くことも。まあ、持ち回りみたいなもんでしょうか。
なのでスムーズにご飯を与えるためには、彼らの居場所を常時把握しておく必要があるのです。ご飯時になるとキッチンに集まって来る猫たちも、ご飯が出来上がりそうになると自分の居場所に移動する。ご飯はキッチンでと決めてる子もいますがそういうのは少数。こうして自分は、ご飯ができると1階2階と配って回る。妻には過保護だと呆れられるし、心不全の時などは2階に上がるのも大変だったけど頑張った。猫が新しい居場所を開拓してどこにいるかわからない時は、探すのに妻の助けを借りたりもしています。
今になって思うのは、こうした自分の行動が猫たちを変えたのではないだろうか。つまりわが家の猫たちは縄張りを作る必要がなくなった。縄張り感覚がないので諍いも起こらない。まあ、猫たちにしてみれば、「猫様扱いによる平和ボケ」とでも言うことでしょうか。
(左から)ダイフク、モドキ、ニャー
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