半月以上も前になるのですが、稲武と設楽町の間にある面の木峠を歩きました。
面の木園地の駐車場に車を止め、山へ。こちらにはブナの原生林があり、ほかにも、種々の広葉樹や灌木が息づき、豊かな自然の森になっています。
こちらを訪れるのは3度目か4度目。何度来ても、広葉樹の森は気持ちがいい。
夏椿の花。
こちらが木。
舗道は整備されているのですが、たまにこんな場所も。
展望台です。眼下に見えるのは設楽町の津具らしい。
枯れ木に開いている穴は、キツツキの仕業。
トリカブトの群落です。日本ジカや日本カモシカが増えて、下草がどんどん食べられているため、彼らの嫌がる毒草が繁殖しています。
この日は稲武でも35度近くあったのではなかったかしら。でも、森の中はさわやか。
バイケイソウです。可憐な花をつけています。きれいですが、匂いはひどい。ハエのたかる草だそうです。さもありなんとうなづける臭さです。
ブナの実です。面の木のブナは樹齢300年以上たっている木がほとんどだそう。ブナの寿命は400年くらいだそうなので、もうそろそろ寿命の終わるころ。こののちもブナの森として生き続けるかどうかはわからないのだそうです。このところの急激な気候変動によって、この先の森の姿がどのように変化するかは、多分見通しがつかないのだろうと思います。ブナの森の保水力には、素晴らしいものがあるのだとか。その力がいつまで保たれるかわからないとおもうと、胸が詰まります。
昨秋も、ブナの実はあまりできず、動物たちの食べ物は相変わらず不足しているそうです。
ブナの枯れ木。そのうち、こういう光景があちこちで見られるようになるのでしょう。
切り倒した大木にできた穴。ほぼきれいな円になっているのにびっくり。
頂上付近で昼食を食べてから、道なき道をひたすら下り、稲武から面の木園地に至る道の反対側に出ると、こんなきれいな山道が造られています。右手は谷川。
適度に生えた下草。木漏れ日が差す道。
動物の死骸か糞に集まった虫。こうして分解され、森の肥やしになっていく。昨日読んだばかりのフェイスブックの記事に、ある地方の土葬の風習についての話が載っていました。
そこは、山の尾根伝いに亡骸を埋める習慣がずっとつづいているのだとか。その風習は、とても理にかなった方法なのだそう。つまり、山の尾根に大きな動物=人間の死骸を埋めると、長いことかかってそれが土に帰り、栄養となる。先祖代々代の知恵が受け継がれることによって、豊かな森を維持してきたのだといいます。
森を歩くと、ときに遭遇するこんな場面。あらためて、森の大事さを痛感します。
ところで、私が定期的にパンと焼き菓子の講習会を開いている暮らしの学校の主催で、来月、面の木原生林の散策と、稲武産木の実を使ったバスケットづくりの一日講座があります。講師はIN SILVAを主宰する高部ほなみさん。私たちの森あるきにもしばしば付き合ってくれている友人です。くわしくはこちらをどうぞご覧ください。暮らしの学校 - 講座詳細 (kurashinogakkou.org)