ある夜、仕事を終えて映画館に走りました。
観たかったのは、『レオニー』。
彫刻家、イサム・ノグチの母、
レオニー・ギルモアの生涯を描いた映画です。
というのも先週末、銀ステ・ツアーで
イサム・ノグチが晩年の日本での住まい兼仕事場とした、
香川県高松市にあるイサム・ノグチ庭園美術館を訪ねたばかり。
氏が対峙しつづけた石が、何かを語りかけてくる空間です。
さて、そんな旅の余韻に浸りつつ見た
映画のあらすじはというと…。
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時代は1900年前後。
渡米中の詩人、野口米次郎と
アメリカ人作家・レオニー・ギルモアとの出逢い。
二人の間に生まれたイサム・ノグチ。
父、米次郎の放蕩。
戦争勃発。
妊娠中のレオニーを独り残して、米次郎は日本へと帰国。
父を追って母と2人渡った日本。イサムはまだ3歳。
しかし父には別の家庭があり、
母レオニーは異国の地でいよいよ厳格に。
時代は「赤紙」舞う戦時下。
母は徴兵を恐れ、まだ14歳のイサム少年を独りアメリカへ帰らせる。
しかし間もなく在籍していた学校が閉鎖され
孤児同然となったイサム少年。
その後、閉鎖した学校の校長の家庭に受け入れられ、
初めて「家族」的なもののなかで育つ。
数年後、その恩に応えようと医学校に入学したところ、
帰米した母レオニーが一喝。
「あなたは医者じゃなくてアーティストになるのよ!」
反発するイサム青年。
でも彫刻スクールに通いはじめ、
父親譲りのアーティストの才能を開花させ、
初の個展に母を招く。
年老いた母との和解。
レオニーの病、
そして愛する家族に見守られての死。
ジ・エンド。
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とまぁ、こんな具合に物語は進み…
映画を見ながら、なぜか思い出されたのは
作家・清水義範のパロディ小説、
『国語入試問題必勝法』のこんな一節。
「設問: この人物の生涯を一文にまとめよ」
「模範解: いろいろあった。」
あともうひとつ思い出されたのは、
イサム・ノグチ庭園美術館で見た、氏の写真の数々。
鋭い眼光で石に寄り添う姿から立ち上る
人を寄せつけない孤独感。
その理由はこの生い立ちにあったのか、と。
お母さんのレオニーさんもいろいろあっただろうけど、
イサム・ノグチもいろいろあったんだろうな…。
そんなごちゃ混ぜの感想を抱いて
映画館をあとにしました。
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