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「モルモン書 - - 最初の本文 - -」、イエール大学出版が発行

2009-10-10 22:33:01 | モルモン教関連


これは、ブリガムヤング大学のローヤル・スカウセン教授(言
語学、英語)が20年かけてたどり着いたモルモン書の本文をこの
9月刊行したものである。(Royal Skousen, ed.,"The Book of
Mormon: The Earliest Text," Yale University Press, 2009)

 スカウセンはモルモン書の1830年(初版)、1837年、1840年版
という最初の3つの版を参照しているが、主としてジョセフ・ス
ミスが筆記させたオリジナル原稿と印刷業者渡しの手書き原稿を
もとにしている。

 スカウセンの目的はできるだけジョセフ・スミスが書記に口述
した最初の本文を復元することにあり、教会が編集してきた標準
英語への変更は元に戻し(例、inequalityを unequality )、章
毎のまとめや注は取り除いている。本文のフォーマットは詩のよ
うな形(意味の切れ目で改行。sense-line と編集者スカウセン
は呼ぶ)で段落毎に1行空けている。

 今日用いられているモルモン書と2千か所以上異動があるが、
いずれも瑣末なレベルであって神学的に変更を加えるものでは
ない、という。それで848ページに及ぶ大部の本は従来の本文を
確認する役割は果たしていても、新味な意義はあまりないと見る
学者もいる(ボストン大学ステイーブン・プロソロ宗教学教授。
スカウセンは20年もの時間を浪費したと表現)。

 それでもスカウセンは、再構に努力を傾注してきたこの版がオ
リジナル本文に最も近いもので、信者にとってジョセフ・スミス
が受けた啓示を再現するものとして信頼できる地位を持つもの、
と考えている(序文)。

 プロソロ教授の電話取材に対して、スカウセンは率直な声を披
露している。彼はこのプロジェクトに取り組んでいて、教会の指
導者がこの版の出版を望んでいなかったので、「胃が痛む」思い
がしたと述べている。そして、この版を完成するにいたった時点
で、一体どの版が本当のモルモンの聖典になるのだろうか、と感
じた旨語っている。序文でグラント・ハーディは、教会がこの版
を公認のモルモン書とみなすことはあり得ない、と書いている。

 とはいえ、スカウセンの貢献は、依拠した二つの原稿のインク
が色があせて読みにくくなっていた箇所を、丹念に特別な紫外線
や写真技術を用いて見にくくなっていた本文や編集の記入メモを
読みだして再構築していったことである。彼は「<最初の本文を
解放して>誰でも見られるように」できた、ことに意義を覚えた
と語っている。スカウセンが前に研究成果を批評本文と合わせて
出版した大部の3部作をこの度一冊にまとめたものである。重要
な本文異動が付表に網羅されていて、モルモン書の研究者には
「批評本文」のモルモン書として重要な版と言える。

Source: http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204
488304574434892280564458.html?mod=googlenews_wsj


http://www.amazon.com/Book-Mormon-Earliest-Text/product-reviews/0300142188/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&show
Viewpoints=1



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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大きくて重い (ワサッチ)
2009-10-27 01:16:00
アマゾンで注文して今日手元に届きました!
しかしデカイ。電車で読むのは無理で残念です。
現在もっともジョセフの口述内容に近いテキストというわけで、なんだかワクワクします。とはいえ巻末のテキスト変更リストを見ないと何が違うのか私にはわからない。(笑)

教会が発行するモルモン書とスカウセンが復元したモルモン書、どっちが権威をもつのか。それは間違いなく後者です。スカウセン教授は正典と教会の間にある緊張を図らずもあぶり出してしまったと言えます。それは聖書と伝統的なキリスト教会の間にある緊張と相似形に見えます。
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入手を見送る? (NJ(今のところ))
2009-10-28 01:28:08
アメリカの本は大きいのが多いですね。848頁にも及ぶと重さも馬鹿にならないのではないかと予想します。

イェール版の価値を最もよく感じ取っているのは日本ではワサッチさんだろうと思います。私はBofMの新しい版が出る度に意義を感じて入手を心がけてきましたが、最近どんどん出てくるものですから、今のところ眺めているところです。
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コメント (カルク)
2010-06-14 20:27:23
First Nephi and the Son of God (カルク)

2010-06-14 17:38:08

ご存知かもしれませんが
mormon coffee というサイトに

First Nephi and the Son of God

という記事があります

The book of First Nephi (in the Book of Mormon) reflects four significant (and similar) additions that Joseph Smith made to the original text before the publication of the second edition in 1837. The changes are indicated by italics in the following:

1830: Behold, the virgin whom thou seest is the mother of God
Now: Behold, the virgin whom thou seest is the mother of the Son of God (11:18)

1830: Behold, the Lamb of God, yea, even the Eternal Father!
Now: Behold, the Lamb of God, yea, even the Son of the Eternal Father! (11:21)

1830: yea, the everlasting God was judged of the world
Now: yea, the Son of the everlasting God was judged of the world (11:32)

1830: …the Lamb of God is the Eternal Father…
Now: …the Lamb of God is the Son of the Eternal Father… (13:40)

要は1830年版モルモン書の
「神」や「永遠の父なる神」の箇所に
the son of
をジョセフスミスが37年版に付け足したということなのですが

ジョセフスミスはそこまでして三位一体論との差別化を図りたかったんでしょうか?

神の賜物によって翻訳したモルモン書まで勝手に霊感改訂されては
教会員はもはや何を信じていいのか自分が何を信じているかすらわからなくなりそうな気もします。
実際にほとんと精神崩壊しているに近い一部のそういう人を見かけますが…

ただ彼が中途半端に手を加えたのはよくなかった様に思います
どうせやるならモルモン書全般にわたって整合性がとれるように手を加えるべきだったと思います

一部キリストは父なる神である聖句も残ってますから

向こうにしてみれば
そんなこと言われる筋合いもないのかもしれませんけど…

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本文批評の一つの原則は (NJ(Numano))
2010-06-16 17:36:39
BofMの本文異同について会員がどのように受けとめるかは各自が決めることですが、参考までに・・、本文批評の専門家は著者の意図を尊重する原則が優先されると言っています。本当に著者の意図による改訂であればそれを本文とする、という立場です。(James Thorpe, Fredson Bowers)

BofMの他の箇所に三位一体的な記述があることはご指摘の通りです。それで混乱や曖昧性を除くため、20世紀初めタルメージが大管長会から委任されて、明確化するため働きます。ということはJS自身は今日のような概念に至っていなかったことを意味します。(Mormonism in Transition, 279-)
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Unknown (カルク)
2010-06-18 22:31:46
20世紀初めなら1900年代ということですよね?
タルマッジ長老はそれを明確化するために何を残したのでしょうか?

NJさんが言わんとする今日のような概念とは三位三体のことでしょうか?

すみません、今ひとつピンとこないのですが…

(Mormonism in Transition, 279-)
よければ該当箇所を原文のままでもいいので載せてもらえるとありがたいです。

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Jesus the Christ (NJ)
2010-06-19 11:14:26
1914年9月14日~1915年5月4日にかけて執筆だけに専念し、「基督・イエス」を著したことを指します。(実際には1904-1906年にLatter-day Saints Universityで、同じテーマで講義を行っていた。)

翌1916年大管長会は声明は発表しています。それについて The effect of the statement was to make clear the separation of the two beings and to indicate the roles of God and Christ. とThomas G. Alexander(Mormonism in Transition, 280)は当時の記録を引用しています。

簡単ですが以上です。
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Unknown (カルク)
2010-06-20 00:11:35
すみません

キリストイエスがどうしてBOMの曖昧さを回避するのかよく理解できませんでした

基準が狂ったのでその狂った基準にあわせて
対象物を作ったというようにしか受けとれませんが…

もう一つ興味深いのは
モザンビークとマダガスカル島の間にある
グランコモラ(クモラ?)という島の首都がmoroni(モロナイ)
というのはモルモン書と何か関係がありそうですね


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