T.B.マーシュは、ミルクをめぐるごたごたで1838年ミズーリ州で教会を去ったと一般に伝えられているが、そうではなさそうである。教会幹部の口から何度もその物語が語られるうちに、その話が定着している。しかし、実際は「ダナイト団」の行き過ぎた破壊活動に賛成できなかつたことが原因で去ったと考えられる。- - John Delin, 2007/04/22「トマス・B・マーシュの話: 彼が教会を去ったより正確な説明」
このT.B.マーシュについての話は、米在住の娘婿ジムが最近私に話してくれた。教会離反者については否定的な説明がなされる傾向があり、それが繰り返されていくうちにその評判が定着していく。しかし、本当の状況や人物像を知るようにしたい、と彼は言う。それは「研究者の視点」であって何ら問題はないし、教会に対する気持ちも変わることはない(レイトン在住の娘婿)。
トマス・B・マーシュの話は実際はジョージ・A・スミスの説教(1856年4月6日)以外には根拠がないようである。http://emp.byui.edu/SATTERFIELDB/Quotes/ThomasBMarsh.htm 参照。また、wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_B._Marsh にはマーシュが教会を去ったもっと込み入った理由が書かれている。根拠がない挿話で反面教師にされてしまっているT.B.マーシュにそろそろ名誉回復が必要だと思う人たちもいる。
T.B.マーシュと同じような例は、他にもリグドンやカウドリなどの場合も見直す価値があるのではないかと私も思っている。他に「この線で一番気になるのはやはり、William Lawかな。とてつもない背教者として悪名が高いが、かなりリーズナブルな理由があってジョセフを憎んでいたという説がある」(Steadie Saneyoshi) とウイリアム・ローをあげる人もいる。(以上、Facebookの最近の書き込みより作成)。
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トーマス・B・マーシュの話は、教会の公式の書物である日曜学校のテキストにはっきりと書かれているものです。
その内容がご指摘のように真実でない話だとすれば、預言者の信頼は全くないものとなります。
御霊は真実ではなく、うわさ話を霊感として与えて、公式な書物に載せていることになります。
それが真実であるならば、教会幹部は公然とウソを言っていることになり、もはや名誉回復などと言ったレベルではないのでは。
この教会が一般の教会と同じレベルだと考えるのであればそれもありかもしれませんが。
そうなるともう、教会に所属している意味合いもなくなると言うものです。
預言者が平然とウソをつく教会などには。
T.B.マーシュの場合、彼を一方的に弁護することも一方的に糾弾することもできない複雑な背景(一連のできごと)があったようです。
彼の妻と隣人のささいなことから生じたいさかいの話は、(本当にあったか否かはともかく)教訓として語られてきました。私は聖書においても伝承が伝わるうちに聖文の本文に用いられるに至ったものがあると思っています。
私は、日本人として自分で資料に当たり、また宗教全般についても理解を深めて、自ら判断できる自立した信徒になることが求められているのではないか、と思っています。
少し関連して、近いうちに「回顧的認識の拡張・補充」がNTにもモルモニズムにも見られることを記事にしたいと考えています。
ダナイト団とは1838年、ミズーリ州でlds側に組織された秘密結社的な自警団です。(1834年以降、教徒は自衛のため自警団を設け始めていた。)ダナイト団(Danites)は自衛のほか離反者を追放することも目的とし、宗教の持つ力が狂暴に走った例とされています。指揮したのはサンプソン・アヴァードで野心的な冒険家であったと伝えられています。[拙著「モルモン教をどう見るか」p. 36]
コナン・ドイルの「緋色の研究」で誇張され脚色されて登場します。[沼野、同、p. 144, 註4]