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J.タナー、死去

2006-10-09 23:58:33 | モルモン教関連
妻サンドラと共にモルモン教会を教会史や教義
の面で終生攻撃してやまなかったタナー氏が先
週10月1日ソルトレークシティで亡くなった。ア
ルツハイマー病がこじれたためで68歳であった。
教会員の家に生まれたが、十代に疑問をいだい
て教会を離れ、教会に反対し否定する文書、書
籍を次々と発表し、教会にとって刺のような存
在として知られていた。著書は40冊以上に及び
「モルモニズム、その影と現実」という書物や
その要約本などがよく知られている。本人の弁
によれば「真理の探究に駆りたてられ」て、執
念に突き動かされるようにその活動を続け、ユ
タ灯台奉仕団(Utah Lighthouse Ministry)と
いう組織をそのために開設している。

このタナー夫妻の活動について、アメリカ史の
教授ローレンス・フォスター(非会員)は次の
ように分析している。長年モルモニズムを研究
してきた氏は、タナーの指摘するモルモン批判
の多くに賛成できる反面、タナーが鞍替えした
原理主義的プロテスタントを代表するような彼
の狭量な姿勢は受け入れられない、と批判的で
ある。「真実」か「虚偽」かという二者択一の
単純な姿勢で非常に原理主義的で、見つかった
と思う教会歴史上の問題は片端から収集して、
教会を傷つける目的で発表してきた。それは対
象を破壊しようとする毛嫌いの感情に満ちた先
入観で観るので、客観的に観ようとする学者の
視点とは大きな隔たりが出てしまう。謂わば高
校生のディベートで反対する側に立った生徒の
ように無理をしてまであらを探すことになり、
中立の見方が不可能になってしまうのである。
タナーは資料を数多く収集し、フォスターもそ
れに助けられたこともあると認める。また痛烈
な批判は教会に姿勢を正させる働きがあったと
見る。しかし、タナー夫妻は彼らが批判する保
守的モルモン教徒と同様、広く包容力に満ち成
熟したキリスト教からはほど遠い人物と言わざ
るを得ない、と言う。(ダイアログ誌 84年夏
季号)。

私もある宗教の歴史上の変遷(例えば最初の示
現)を矛盾と見て糾弾するのなら、キリスト教
も聖典内にまた教会史上多くの変遷や追加を見
ているのをどうするのかと問わなければならな
いと思う。聖書の高等批評家ロバート・プライ
スも宗教とはそういう過程を経、信者が受け入
れる啓示に基づく側面があると解説している。
(ダイアログ誌2002年秋季号;本blog 2006/3/1
「神学者が見た聖書の読み方」)


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5 コメント

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へ~ (海苔巻)
2006-10-12 21:52:41
モルモン教会を10代で離反し、その後教会を否定

し続けるそのパワーは敬服するものがありますね。

しかし、その力を教会のために使えばもっと素晴ら

しい働きができたであろう人物だったように感じ

ます。残念ながら息子アルマのようにはならなかった

のですね。

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残念ながら・・ (NJWindow)
2006-10-13 07:21:08
コメントをありがとうございます。おっしゃるとおり残念ながらそうならなかったようですね。



幼児の家族環境が恵まれず、教会と関連づけて大変苦い記憶があって、他の離反者には見られない執拗さがみられるようになったようです。



Wikipedia (英文)にもタナー夫妻が扱われていて、やはり Foster 氏の記事が参考になっています。
返信する
残念 (落伍者)
2006-10-15 04:17:36
タナー氏の訃報に触れてやはり残念な気持ちがあります。



 まだ若いですね。



 多くのモルモン信者は、悲しみなど微塵も感じないと思いますが、私は、彼の苦労を思うと非常に複雑な気持ちが心に宿ります。



 私は、彼の働きによって、教会を客観的に見ることができましたので、“恩師”でもあります。



 25年以上前ですが、彼が神殿の全ての内容を暴露した本を出版したと聞きましたので、どんな悪人かと思っていたのですが、ネットの時代になり、簡単に彼の考えを知るこができるようになりましたので、彼の気持ちが少し理解できるようになりました。



 私が信仰を持っていた時は、“裏切り者”だと思っていたのですが、教会を離れた現在、彼が根っからの悪人とは思えないようになりました。



彼ら(奥様も…)の証を読むと、純粋に真理を探究しようとした方だと感じました。



 私自身は、彼のような堅固な気持ちがないのですが、40年以上に亘って活動ができるというのは、やはり、教会

を憎む気持ちが大きいのでしょう。



 ご先祖さまは教会の困難な時期に、教会を救った方ですので、モルモンの名家であることに誇りを持ち、若い頃には、教会を強く愛していたのかもしれません。



 愛していたがゆえ、いろいろな事を探求して事実を知った時、教会への証が憎悪へ変わることは当然だと思います。



ジョセフ・スミスが真理の探究に対して、真摯であったとすれば、彼もまた真理を探究する者であったと思います。



 ただ彼の探求の仕方は、教会にとっては都合の悪いものだったようです。



 彼は、丹念に記録を調べ、教会が否定できないような証拠をもって、様々なことを明らかにしたという大きな功績を残されたと思います。



 もちろん反モルに特有な誇張された表現はあると思いますが、今後もモルモンに関わろうとする方が教会で教えら

れない事実を知る助けとなるでしょう。



  最近では、何かのハンドブックをネット上で公開したということで、著作権の問題で裁判になりましたね。

確か敗訴したと記憶しておりますが、どうだったでしょう?



 60年代から活動を始められたそうですが、当時はかなり風当たりが強かったのではないでしょうか?

夫妻の先祖はともにモルモンの著名人ですので、ソルトレークのど真ん中であのようなことをするのはさぞ

ご苦労もあったことでしょう。勇気のある人物です。



 彼らは、憎まれ役ですが、教会の行き過ぎを抑制する力となったと考えます。



また、教会が、孤立化、カルト化しない助けになったと考えます。



 タナー氏の批判があったがゆえに、教会も襟を正すような方向性を持つようになったのではないでしょうか?



 

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Unknown (Wです)
2006-11-01 12:31:47
初めてお邪魔します。

私は、世の中に、「善人」も「悪人」の存在しないと考えています。
あるときは、「善人」、またあるときは「悪人」、すべてのひとが使い分けていると考えています。

タナー氏の事は全く知りませんでしたが、
多分「生真面目」な人なのでしょう。

救いの計画について考えれば、サタン=悪、では無いことはあきらかです。

教会としては、多くの人にはそう教えておいたほうが無難ということでしょう。

この人生で学ぶべきは、「自らの非力さ」では無いでしょうか。
早々と、「真実の福音」のなかで、のんきな人生を送るのは、神様の御心とはかけ離れていると考えます。
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ようこそ (NJWindow)
2006-11-01 15:56:32
wさん、ようこそ訪ねてくださいました。他のサイトでよくお見かけし、書き込みを読ませていただいています。直接お話したことはなかったかと思います。(サイト上)。初めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

タナー氏を「悪人」視してはならない、きっと生真面目な人だったのだろう、という見方は寛大な言葉で私もそう思います。

訃報を伝える英語の記事で、身内の人や隣人が氏は面白い冗談を言ったりする気さくな人物であった、と語っているのを報じていました。
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