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モルモン書の英文を読んでいて (最近の感想)

2012-05-23 15:56:10 | モルモン教関連
現在、教会の読書課程に従ってモルモン書を英文で読んでいるが、繰り返し読んできたせいか、割合すらすら読めている。読み返しをすることもなく(辞書を引くこともほとんどなく)目が右に向かってかなり速く語の流れ(あるいは語句のまとまり)を追っている。慣れ親しんだ庭を歩くような感じと思っている。しかし、考えてみると、英語が表音文字alphabet で書かれているので、意味をくみ取るため速いスピードで目を走らせているのではないかと気付いた。表意文字を使う言語との違いは次の例からわかる。

アルマ5:14
你们已否在你们的容貌上蒙得了他的形象?(中国語訳)
あなたがたの顔に神の面影を受けているか。(日本語訳)
Have you received his image in your countenances?(英語原文)

この例では差がそれほど感じられないが、下の例では差が顕著に表れている。

太初有道,道与神同在,道就是神。(ヨハネ 1:1。中国語訳)
太初に道あり、道は神と共にあり、道は即ち神なり。(同。明治訳)
初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。(同。口語訳)
In the beginning was the Word, and the Word was with God, and the Word was God. (欽定訳)

二番目の例では中国語は英語の半分の長さである。要するに、表意文字では一字か二字で意味が取れるのに対し、英語など表音文字では語全体(alphabetの集まり)をさっと横に目を移して意味を取ることになるので、右に目が速く動くのである。意味を構成するのに横にalphabet何文字分かスペースを要しているのだ。

以上、ごく当たり前のことを書いてきたが、Book of Mormonはすらすら読めるようになったが、KJVはそうはいかない。慣れの要素もあるが、翻訳者の語彙、文体の違いもあることを最近改めて感じている。以前、広島大学の英文学教授と「文学としてのB of M 」の話をしていて、この話題になると言下にB of Mの英語はJSの域を出るものではない、と言われたのが記憶に残っている。専門家はとうの昔に気付いていた。

[補足 2015/01/07 記入]
すらすら読める確かな理由:マーク・トゥエーン曰く。
Whenever he found his speech growing too modern--which was about every sentence or two--he ladled in a few such Scriptural phrases as "exceeding sore," "and it came to pass," etc., and made things satisfactory again. (Roughing It, by Mark Twain, Chapter XVI) 
ジョセフ・スミスは古代の聖典に見えるようKJVの表現を織り込んで書いていたが、どうしてもすぐ現代の英語風になる、すると聖典に出てくるような言葉使いを織り込んでそれらしく見せようとした。
マーク・トゥエーンの評はhttp://brettcottrell.blogspot.ca/2012/02/mark-twain-on-book-of-mormon-chloroform.html に引用されている。

モルモン書の英語研究: 読みやすいと言っても、癖がある。読みにくい。学術的ノート。
“A Look at Some “Nonstandard” Book of Mormon Grammar” by Stanford Carmack
Interpreter: A Journal of Mormon Scripture 11 (2014): 209-262
http://www.mormoninterpreter.com/a-look-at-some-nonstandard-book-of-mormon-grammar/#more-5550
Stanford Carmack has a linguistics and a law degree from Stanford University, as well as a doctorate in Hispanic Languages and Literature from the University of California, Santa Barbara, specializing in historical syntax.


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