「堅固な基（もとい）」--- 参照（脚注）の意味 / ヘブライ語聖書に見られる語呂合わせ ---

「堅固な基（もとい）」（ヒラマン5:12）　　　　　　[フェイスブックにも投稿]

 --- 参照（脚注）の意味 / ヘブライ語聖書に見られる語呂合わせ ---

 

　ヒラマンが息子たちに、あなたたちが贖い主の岩を基とし、その上に築かれていれば、その基は岩のように堅固であって嵐に襲われても倒れることはない、と諭している。その「堅固な基」は英文で firm foundation とあり、イザヤ28:16に並行聖句があることを脚注が示している。イザヤ書はこう記している。

 

「見よ、私はシオンに一つの石を据える。

これは試みを経た石

『確かな基礎』となる貴い隅の親石。

信じる者は、慌てることはない。」

（JBS共同訳）（シオンはダビデの町、エルサレムの丘陵部を指した。）

 

ここで「確かな基礎」は、מוּסָּ֔ד מוּסָ֣ד (右から ムーサード ムーサード と読み、意味は 「確かな基礎」と形容詞が後置）で、二語共に「築く、確立する」という語根からきている。一種の語呂合わせである。ヘブライ語聖書には「神は土（アダマ）の塵で人（アダム）を形づくられた」（創世2:7）など、語呂合わせが数多く見られる。

[牧師の書斎より]

　[日本聖書協会 共同訳 の冊子より]

上にイザヤ書の節を見たのは、ヒラマン5:12の脚注にイザヤ28:16が出ているのによっているが、私達は聖典本文に付された「参照」や「脚注」に不慣れな所があるように思われる。いずれも読者の理解を助けるために書かれているが、1) 先行する章節や他の文書に答えとなるような内容・情報があることを示すもの、そして 2) 必ずしも引用元や因果関係を指すわけではなく、類似の内容が記された並行聖句を指す場合がある。しかし、聖句を確実に、総合的に理解するためには、参照(reference)の活用が不可欠であるという伝統がキリスト教の伝統にある。

 

8/23日にかけて読むヒラマン１-６章では、やはり５章の７節に見える表現が晩年にある自分に当てはまる、次のような敷衍訳が浮かんだ。「死後、後世の人々の間でよい評判が得られるよう、善いことをせよ」。そのように考えるのは短絡的で、よくないのかもしれないが、当事者にとってはよい警句になる。