帯ちゃんシリーズ、第三弾!
今回は、帯ちゃんことさっちゃん自身が想い出語りをしています。
さっちゃんは、幼い頃から疑惑を持ち続けていたのです。
それを聞くため東京へ。 ・・・はたして・・・・・
引き続き、『 さっちゃんと父 』、どうか宜しく、お見知り置き下さい。。。
≪其の16≫ 開心見誠
「僕らみんないとこの中でさっちゃんが一番心配やねんで。なあ、姉ちゃん。」
「そうやそうや。いつも大丈夫やろかっていうてんねんで。」
「ただいま~。」
「あ、ほら、一番、さっちゃんのこと心配してる、いいなずけ が帰ってきたで。」
彼らはもともと、私の実家の駅一つ隔てた所に住んでいた。
そのころからなぜか一番下の二つ違いのいとこと仲がよく、
周りの兄弟たちが彼氏ー!彼女ー!とはやし立てていた。
東京へ来て、初めてなぜだかがわかった。
「さっちゃんのお母ちゃん、よお言うとったで。
結婚してくれたらいいなあって。私らに頼むでー。って。」
ぇえええ、うそ~~!聞いたことないで~そんなこと。
ーーー初耳だった。母がそんなこと言っていたとは。
次の日、いとこ達は、東京タワー、浅草雷門、浅草花屋敷など、
ここぞ東京というところに連れってってくれた。
結局私は年上のいとこに、聞けなかったのである。
楽しすぎたことがひとつ。
おお兄ちゃんと二人っきりになれなかったことがひとつ。
近所の飲み屋さんへ連れて行ってくれたことがひとつ。
あっ、もちろん私は未成年だからジュースだけどね。
姉が、そこのマスターとそろそろ結婚するらしいと紹介された。
お目出たい話を聞いたことがひとつ。
とてもとても自分の話ができる雰囲気はなかった。
それに一生懸命私たちを楽しませようとしてくれている、
いとこたちの誠意を潰す訳にはいかなかった。
我家へ帰るまでの山の上り道。
誰もいない。夜も遅い。途中の電灯もない。
ここまで上ってくるともう邪魔をするものはいない。
思いきって私から父へと、きりだしたのだった。
自然に・・自然に・・どうってことないようにさぁ・・・笑ってさぁ
・・いや、笑っちゃあダメかな・・え・・とぉ・・
「なあって、お父さん。もういい加減話してくれる気ないのぉ?」
「何いうてんねん?何の話や??」
「東京の兄ちゃん達に聞かれへんかってんもん。」
「・・・・・・・・・・・」
「もう、嫌やしー。別に聞いたからって、私は変わらんよぉ。
変わるはずないやんかー。家出なんかせえへんしー。
そんなアホちゃうで~、私。
・・・お父ざんぼっどぃで、出れるばげだいやん。
ぞんだぎぼうぢゃちゃうじ~。」
(エーン、なにしゃべってるかわからんやん・・)
ずるずる、ダ~~~~~
(おっ~~と、鼻が~~、ティシュか、ハンカチは?っと)
「ほい、ハンカチ!」
(なんでもっとんねwん!!いつも持ってないのに!)
「もう、騙されるのは嫌やねん!!嫌やねん!!」