「なす炒り」
主な伝承地域 宮城県
主な使用食材 なす、油麩
歴史・由来・関連行事
なすの旬は夏から秋であり、地域によって育てられている種類もまったく異なる。
宮城県でなすの栽培がはじまったのは、伊達政宗公の時代、1590年ごろではないかといわれている。伊達家家臣の一人が博多から持ち帰ったなすが、長い年月をかけて東北の気候になじみ、独特のかたちになったと考えらている。それが「仙台長なす」で、漬物にしたり、炒め物にしたりと様々な料理に用いられている。
なすは、水分を多く含む野菜で、栄養価としては皮の部分に含まれるナスニンと呼ばれるポリフェノールの一種があげられる。アントシアン系の色素であるナスニンには強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑える力が強いといわれている。また、コレステロールの吸収を抑える作用もあるという。
こうした栄養価の高いなすを、皮ごと調理したものが「なす炒り」である。油麩もしくは油揚げと一緒に醤油で炒めたシンプルな料理で、宮城では昔から常備菜としてつくられてきた。醤油を加えて炒めるだけでなく、砂糖やみりんを加えたり、味噌と一緒に炒めたり、くるみを加えたり…と、家庭によって調理方法は異なる。
食習の機会や時季
なすが旬を迎える夏から秋にかけてよく食されている。しかし、現代ではなすは通年流通していることから、年中食卓に上る常備菜である。仙台のなす炒りは、細切りしたなすを油で炒め、醤油と酒で調味したシンプルな料理で青しそを加えることもあり、食欲をそそる料理である。
飲食方法
なす炒りは全国で食されている郷土料理だが、宮城県では切ったなすと油麩を炒めて醤油で味付けをし、最後に片栗粉でとろみをつけるのが一般的である。地域によっては、みょうがやしそと一緒に炒めることもある。多めにつくって冷蔵庫で保存し、副菜として提供されることが多い。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
各家庭で親から子に伝わる家庭料理。調理方法も各家庭によって異なる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nasuiri_miyagi.html より