「水前寺菜」-金時草(きんじそう)/式部草(しきぶそう)
◆キク科ギヌラ属の多年草
金時草や「式部草」と呼ばれているものは標準和名では「水前寺菜」といい、東南アジアが原産とされるキク科の多年草です。熊本県の水前寺地区(現在の熊本市中央区水前寺町)で湧き水を利用して栽培されたことから水前寺菜と呼ばれるようになったそうです。
葉の部分と若い茎を食用とし、この葉の色に特徴があり、表面が濃い緑色に対し、裏は鮮やかな紫色をしています。この葉の裏の色が金時(キントキ)芋の色によく似ていることから、加賀地方では金時草と呼ばれるようになったとか。また、その葉は少し厚みがあり、折り曲げるとパリッと割れるような肉質ですが、茹でるとぬめりが出てきます。
水前寺菜の葉の色は、山間など日にあたる時間が限られ、一日の温度差が大きいほど裏の色の赤紫が鮮やかになるそうです。
●水前寺菜の主な産地は
◆「金時草(きんじそう)」は石川県金沢市の伝統野菜「加賀野菜」
金時草は伝統野菜とされている石川県金沢が主な産地です。
◆愛知県では「式部草」
愛知県では「式部草」という名称で生産流通されています。
◆沖縄では「ハンダマ」
沖縄では「ハンダマ」と呼ばれ、やはり伝統的農作物として扱われています。
◆熊本では「水前寺菜」
熊本では、伝来して間もないころから栽培が始まったとされ、その地名から正式名称の「水前寺菜」と名付けられたようですが、経済的な栽培には至らないままだったようです。しかし近年になって伝統野菜ブームの中水前寺菜が見直され、現在では上益城地域や熊本市などで作られるようになってきたようです。
●水前寺菜の旬
◆水前寺菜は夏の野菜
金時草は暑さに強い野菜で、夏に盛んに成長するので、その時期に主に収穫されます。逆に冬は地上の葉は枯れてしまうので、収穫は11月頃には終了となります。金時草が美味しい旬の時期は夏7月から9月頃と言えます。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/kinjisou.htm より
●水前寺菜の選び方
◆葉が大きく色鮮やかな物
水前寺菜を買う際には、葉の色が鮮やかで艶があるもの。特に裏の紫色の濃いものを選びます。また、葉の部分を主に食べるので、葉が沢山付いていて一枚一枚が大きいものを選びましょう。
◆みずみずしく新鮮な物
葉の先までシャキッとしていて張りがあるものを選びます。茎の根元を持った時にぐったりとだれてしまうような物は避けてください。
●水前寺菜の保存方法
◆袋に入れ冷蔵庫の野菜室に
水前寺菜は乾燥しないよう濡れた新聞紙などでくるんでビニールやポリの袋に入れて冷蔵庫の野菜庫に入れておきましょう。すくなくとも、乾燥を防ぐように袋には入れてくださいね。
◆出来るだけ立てて入れましょう
他の葉野菜同様、金時草も寝かせておくと上に伸びようという植物所以の働きで茎が曲がりやすく、またそれが出来ない為に傷みも早くなるようです。可能な限り立てて保存する方が望ましいです。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/kinjisou2.htm より
「水前寺菜」
【生産地】御船町、芦北町、南阿蘇村 中島、河内、飽田
【特徴】キク科の多年草。葉は表が緑色、裏が紫色をしている。葉腋から盛んに分枝する。別名、「金時草(きんときそう)」、「ハルタマ」とも呼ばれる。葉を摘取ってもすぐわき芽が出てくるので、1年中収穫できる。
【食味】少し苦みがある独特の風味。茹でると紅い色が出て美しく、独特のぬめりとシャキシャキした食感になる。
【料理】サラダ、和え物、お浸し、炒め物、天ぷら、汁物
【来歴】18世紀に渡来(原産地:熱帯アジア)。1759年(宝暦9年)に京都から伝えられたといわれる。名前の由来には、葉を熱湯に入れるとヌメリが出て「水前寺のり」に似ることからや、水前寺の豊富な湧水を利用して栽培され、茶席で茶花として利用されていたことからなど諸説ある。「水前寺のり」「水前寺モヤシ」と並び水前寺の三大名物と伝えられており、水前寺の茶席で茶花としてよく用いられていた高級感と高い栄養価を持つ。大きな産地として経済栽培が行われた記録はなく、20年程前には、家庭菜園で細々と栽培されるだけとなり次第に姿を消していき、”幻の野菜”と呼ばれた時期もあった。近年、苗を熊本県農業試験場から譲り受け芦北地域で産地化の取組みが始まった。また、上益城地域に生産組織ができ、熊本市近郊にも栽培農家が存在する。「くまもとふるさと野菜」と「ひご野菜」に選定。
【時期】7月~8月(旬)販売期間はハウス栽培が可能なため周年。
地域の直売所、県内スーパー、道の駅等で入手可能。
*https://tradveggie.or.jp/43-kumamoto/#i-24 より