「紫錦梅-しきんばい」
主な伝承地域 水戸市
主な使用食材 梅、赤しそ、塩
歴史・由来・関連行事
日本三名園の一つである、水戸の偕楽園は約100品種3000本の梅が植えられ、梅の名所として有名である。この偕楽園をつくったのが、水戸藩徳川家9代藩主、徳川斉昭(とくがわ なりあき)。斉昭公が梅の木をたくさん植樹したのには理由があり、一つは、梅が春の訪れを告げる花として人々を前向きな気持ちにさせるというもの。そして、梅の実の酸味は、喉の乾きと疲れを癒してくれるため、軍事用の食料として最適だったということから、梅の木が数多く植えられることとなった。
偕楽園で実った梅を余すことなく有効活用しようと斉昭公が考案したのが「紫錦梅」である。傷がないきれいな梅は梅干しにしたり、梅酒に使うが、傷があったり、見た目が悪い梅を木槌などでたたき割って種を除き、身だけをしそと漬けたものが「紫錦梅」である。別称で「梅びしお」とも呼ばれる。
茨城県では、偕楽園のほかにも、同じ水戸市内にある弘道館や、筑波山など梅の名所が多かったが、実は食用梅は県内であまり流通していなかった。しかし近年になって、茨城県産のブランド梅・常陸乃梅が普及しつつあり、食の面でも梅が名産となっている。
食習の機会や時季
梅の実は6月中旬から下旬に収穫するが、保存食であるため年間を通して食べられる。
飲食方法
少しかたさが残っている梅を木槌で叩いて種をのぞく。梅の重さの10%から15%程度の塩を振り入れてよく混ぜておく。赤しそを梅の目方の10%程度用意し、洗って汚れをとり塩をまぶして半日ほど寝かせる。すると黒いアクが出てくるので、それをとってから梅に加える。しばらくすると、赤紫蘇の色が梅にも移り、きれいに発色するので、塩が馴染んだら食べどきである。
白米やおかゆのお供にしたり、おにぎりの具材にしたりと活用の幅は広い。また、夏はたたききゅうりに和えると、食欲が低下する時期でもさっぱりと食べられる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
現在も各家庭で、“梅しごと”の一環でつくるところが多い。また、偕楽園でも、園内でとれる梅を使った「紫錦梅」を販売しており、お土産として人気を博している。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shikimbai_ibaraki.html より