登録番号 第14号 吉川ナス
特定農林水産物等の区分 第1類 農産物類 野菜類(なす)
特定農林水産物等の生産地 福井県鯖江市
登録生産者団体 鯖江市伝統野菜等栽培研究会
特定農林水産物等の特性 吉川ナスは、光沢のある黒紫色をした直径10cmほどの大きさの楕円~やや巾着型をした、肉質が緻密な丸ナスである。水分量が多いため、火を通すととろみのある食感が生まれ、煮崩れしにくく、味が濃く大果で独特の形をしていることから、料亭やレストランで使用される。
地域との結び付き 吉川ナスは、鯖江市の旧吉川村一帯で栽培されていたナスであり、現在まで品種改良されることなく継承されてきた。
*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i14.html より
「吉川ナス」は、鯖江市の旧吉川村一帯(現在の川去町、田村町付近)を中心に作られてきた楕円~やや巾着型の丸ナスで、肉質がよく締まっている緻密なナスです。直径10cm程度で重量約300gとソフトボールを想起させる独特の形をした大果で、味が濃く、市内外の料亭や高級レストランで使用されています。外皮が薄いため、果実に傷がつきやすく、現在ではハウス栽培が主流になっています。また、水分量が多いため、火を通すととろみのある食感が生まれます。果実の色は黒紫色で、光沢がよく、ヘタの部分には鋭いトゲがあります。
少数精鋭の熟練農家が生産に携わり、また組織化されることで品質、数量が安定しており、出荷に関して厳しい品質検査が行われていることが高く評価されています。また、多くの料理人から、ナスの種が小さくて煮崩れしないと喜ばれています。
栽培方法におけるポイントとしては、4月下旬より定植を開始し、生育の過程で、一番花から下2本の側枝を残してその下の側枝は早めに掻き取ります。主枝を含め3~4本の枝のみを活かす栽培を行うことで、1本あたりの樹勢が強くなり、大果に成長するナスを得ることができます。収穫時期は、6月中旬から10月になります。年間の収穫量は、1本の木から40個程度で、通常の品種改良されてきた多収型のナスと比べると半分以下になります。
出荷選別にあたっては、果実の色は黒紫色で、光沢が良く、損傷・変形・日焼けのないものを選定し、三段階の品位区分に分けられます。最上位の品位区分の「吉川ナス」は、ヘタ部分に鋭いトゲがあることを考慮して、1個ずつ袋に入れフルーツキャップを被せた状態で出荷します。中位の区分については加工用として出荷し、下位区分品のものは出荷しないこととしています。
「吉川ナス」が生産されてきた鯖江市の旧吉川村一帯は、日野川の支流、天王川流域に位置するため、川の氾濫で土砂が堆積した肥沃な土地です。隣接する越前市から本市にかけて位置する鯖武(さばたけ)盆地の一部であり、近年のデータによりますと、鯖江市の年間平均気温は14.9℃、年間降水量は2,602ml、降水日数は203日と、降水に恵まれています。このように、肥沃な土壌と年間を通した適度な降水があったことから、水と養分を多く必要とするナス栽培に適した環境が整い、作付が広まったと推察されます。
「吉川ナス」は、1942~1943年頃から旧吉川村一帯を中心に生産が盛んでしたが、品種改良された多収型ナスの登場とともに徐々に生産が減少し、生産農家は一時市内1軒のみとなりました。その後2009年に、唯一の生産農家が亡くなったことを受け、生産が途絶えかけましたが、その家族より種を譲り受けた有志の農家の方々(現在の鯖江市伝統野菜等栽培研究会)により、品種「吉川ナス」は守られてきています。
このように、「吉川ナス」は鯖江市の旧吉川村一帯で栽培されて以来、現在まで品種改良されずに継承されてきました。現在では、鯖江市伝統野菜等栽培研究会により鯖江市内の各地区で栽培され、年間約1万個を出荷されています。
*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/14.html より
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