西村長官のニュースへ行く前に、千葉日報に配信された、共同通信社の記事を2つ紹介します。
1. 6月19日 「東京五輪パラ 名誉総裁」「" 顔役 " の陛下、どう関与」「反対世論、難しい立場」
2. 6月20日 「都議選 政党公約」「五輪是非 争点になる ?」「感染状況次第、揺れる世論」
いずれも、1ページの4分の1を占める大きな記事です。「 " 顔役 " の陛下」などと、失礼な見出しですが、五輪開催の是非について、世論が大きく揺れているニュースです。 6月19日の記事のメインは、陛下に関する説明で、五輪憲章では、大会宣言は国家元首がするとなっていますから、開催されれば陛下がされます。
「・宮内庁の西村長官は、定例記者会見で、「名誉総裁としての、具体的な活動は現在調整中」と、述べるのみだが、同庁では皇室の関与に、懸念の声も上がる。」
たくさん書かれていますが、記事のメインは上記の通りです。6月20日の都議選関連記事も、メイン部分だけを紹介します。
「・共産はコロナ対策に注力すべきとして、中止を主張。立民は、感染拡大の懸念を払拭できない限り、再延期か中止すべきという姿勢。」
「・都民ファーストの公約も、各種世論調査で、大会の中止や延期を求める声が強いので、これを受けた選挙目的だとする他党関係者の分析もある。」
「・感染防止対策を取った上での、開催支持の立場を取るのは、自民党と公明党。都議会自民党の山崎一輝幹事長は、中止や延期は考えていないと訴える。」
6月20日以後も、「五輪・パラリンピック」開催是非の記事は続いていました。こういう動きの中で、宮内庁の西村長官の発言があり、共同通信社と時事通信社の動画ニュースが発信されました。2つのニュースの要点を、紹介します。
〈 1. 6月24日 時事ドットコム 〉
「・ 宮内庁の西村泰彦長官は、24日の定例記者会見で、天皇陛下が、新型コロナウイルス感染状況を、大変心配されているとした上で、国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁を務めるオリンピック、パラリンピックの開催が、感染拡大につながらないか、懸念されていると拝察している、と述べた。」
〈 2. 6月24日 共同通信ニュース 〉
「・宮内庁の西村泰彦長官は、24日の定例記者会見で、東京五輪・パラリンピックへの天皇陛下の受け止めについて、「陛下は、現下の新型コロナウイルス感染症の感染状況を、大変心配されている。」「国民に不安の声がある中で、開催が感染拡大につながらないか、懸念されていると拝察している」と述べた。」
「・西村長官は、日々、陛下とお話ししている中で、私が肌感覚でそう感じている。陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない、と付け加えた。」
先月のブログで、西村長官の前職が、警視総監、内閣危機管理監だったと述べました。平成10年の橋本内閣の時に設けられた、この役職は、国防部分を除く、危機管理対策につき、内閣安全保障・危機管理室を指揮監督する高官です。
オリンピックの開催が近くなり緊張した時、定例会見をする立場の難しさも分からないではありません。しかし氏の発言以来、ネットの世界では、称賛と批判の声が渦巻いています。「よくぞ陛下のお気持ちを伝えた」という賛同の声と、「陛下のお言葉を軽率に漏らした」「罷免しろ」という厳しい意見です。
世論が大きく割れている微妙な問題につき、陛下のご意見に言及することは、「百害あって一利無し」です。ご本人にその気持ちがなくとも、必ず政争の具にされます。皇室をお守りするという役目は、常にご意向に従うということではありません。今回の発言は、警視総監、内閣危機管理監だった前歴からしても、考えられない軽率さです。
婉曲であっても、陛下のお言葉を背景に発言をするのは、やってはならない歴史の教訓です。私には、小室母子の問題についても、長官の対応に疑念があり、国のため苦労を重ねたご先祖様のDNAを、持っていないか、忘れたかした人間と見ました。国難の折の長官としては、不適切な人材です。
菅総理が、保守自民党の総裁なら、即刻罷免すべきでしょう。