「 考えずにおれない事態の発生」と書くと大袈裟に響きますが、拉致問題の厳しい経緯を踏まえますと、相応しいタイトルに思えます。
まだ続ける予定だった「能登地震とウクライナ支援の比較」のブログを、9回で切り上げた原因は、3月13日に観た動画でした。ANNnews CHが、1月10日のサンデーステーションで公開した22分の短い動画で、タイトルが目を引きました。
「 蓮池薫さん初証言 拉致被害者の生活と横田めぐみさんら「8人死亡」の嘘 」
私の驚きを説明する前に、氏の言葉をメモしましたので先に紹介します。
・北朝鮮に従順とみなされた5人だけが日本へ帰され、北の思い通りにならず、不都合なことを喋るかもしれない8人が、死亡とされた可能性があると観ています。
・日本に帰って、その人が北へ戻って来なかったら困る、色々喋られたら困る。
・とすると、帰す人間は限られてきたんじゃないかと思う。
・正直自分は、結婚してから、子供ができてからは、下手なことを言わなかったです。
・日本へ帰してくれと言っても無駄たと分かっていましたし、そういうこともあって、言う通りになる人間と北は考えた。
・特に私には子供もいて、人質に利用できるからと思う。
・そうするとめぐみさんの場合は、当時すでに病院へ行っていた段階で、ご主人とも別れていた状態ですし・・・
・13才の時に拉致され、辛い思いをされて、帰りたいと言う思いは、我々より何倍も強いと言うことを北朝鮮自体が知っている。
・めぐみさんが日本の政府関係者に会って、帰りたくないと言ってくれるかと言うと、それは違う。だから、帰せない。
・だからめぐみさんは、生きていると考えられると言うことですよ。
・北の言っている、「めぐみさんが命を絶った」とは考えられない。だって、日本に帰らなきゃと言う強い意志を持ってらっしゃる。そう言う方が、簡単に諦めるなんて、嘘ですよ。
ここで氏は記者の用意したパソコンの衛星写真を見て、自分たちが住んでいた招待所の家々を1号棟、2号棟、3号棟とポインターで示しながら、地村さん夫妻やめぐみさん、田口八重子さんたちと家族ぐるみの付き合いをしていたと説明します。動画の最後に北との交渉方法について、自分の意見を述べました。
・交渉には、期限を示すことが重要です。
・二人の親御さんが生きておられる間の解決・・・。それができなかったら、日本は北朝鮮が思うような外交はしませんよ。
・時間は日本にも無いけど、貴方たちにも無いよ。今実現しなかったら、貴方たちが求めるもの、経済援助は、半永久的に得られないかもしれないよ。
・経済的に困っている北朝鮮に、期限を示すこと、これは北朝鮮に非常に効果があると思います。
サンデーステーションのアナウンサーの説明によりますと、蓮池氏がテレビのインタビューに応じるのは今回が初めてで、自分の考えを述べるのも初めてだそうです。帰国して20年の節目に、やっと口を開いた蓮池氏の姿を見て、「ねこ庭」は「 考えずにおれない事態の発生」と受け止めました。
氏の話を素直に聞けない自分がいて、真っ先に浮かぶ疑問が幾つかありました。ANNnews CHはテレビ朝日系列の動画会社で、反日左翼の朝日新聞の仲間です。
・動画配信会社は沢山あるのに、なぜ氏はANNnews CHを最初のインタビュー先に選んだのか。
・こんなに具体的なことを、氏は政府関係者や家族会の人たちに話をしてこなかったのだろうか。
・20年経って意見を言うのでなく、もっと早く話をしていたら、政府の交渉の役に立っていたのではないか。
なぜなぜと言う疑問と同時に、氏が日本へ戻って来た時の記者会見の状況が浮かんできました。NHKのネットニュースの録画を見た感想だと思いますが、「ねこ庭」の過去記事から見つけましたので紹介します。
・地村保志氏夫妻・蓮池薫氏夫妻・曽我ひとみさんの5人が、日本政府のチャーター機で24年ぶりに帰国した時の様子です。羽田空港では待ちわびた家族の方々が出迎え、再会を喜びあっていました。
・今でも忘れられないのは、記者たちにマイクを向けられた時の地村保志さんの言葉です。
「詳しいことは、あっちに聞いてください。あっちの方が、上ですから。」
・質問攻めに戸惑った地村氏が言い、目くばせした先にいたのが蓮池薫氏でした。上下関係の厳しい国から帰国すると、ちゃんと監視役がついているのだと深い意味もなく感じました。
・蓮池氏は他の帰国者と異なり、胸につけた金日成バッジを家族に言われても外さなかったと言います。バッジは薫氏の誇りでもあったようで、兄の透氏が、「洗脳されて帰ってきた」と呟いていた記事をどこかで読んだ記憶があります。
それ以後氏の姿はマスコミから消え、弟を気遣う兄として印象に残っていた透氏が、別人のようになった姿を見たのは14年後の平成28年でした。「外国特派員記者クラブ」に招かれ、氏が会見をしている動画でした。
氏の辛辣な政府批判を、弟の薫を代弁している意見として聞きました。平成28年と言えば、第三次安倍内閣の時です。
長らく拉致問題を担当してきた山谷えり子議員が、「蓮池透氏は、北の工作員ではないか。」と疑問を呈していましたが、こういうことを平気で口にするから、透氏は家族会のメンバーから外されてしまいました。
しかし私は山谷氏とは違う意見で、今も変わらず同じ考えをしています。
・北の工作員ならもう少し賢い。彼は北に洗脳された、お花畑の日本人の一人に過ぎない。
透氏を洗脳した北とは弟の薫氏ではないかという、当時の印象が今も残っています。次回は蓮池薫氏とANNnews CHについて、手元にある情報を息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介します。薫氏については結論を急がず、一緒に検討して頂ければ有り難いと思います。