ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

自由民主党への疑問 - 5 ( 平沼光氏と箕輪弥生氏の意見 )

2025-01-27 21:17:48 | 徒然の記

  〈 東京財団政策研究所・主任研究員・平沼光氏の意見 〉   ( 令和3年中央公論 3月号に掲載 )

  ・今後日本においても、再エネを主力にしたエネルギー転換の方向に向かうことになるが、現状日本の再エネの普及率は低い。

  ・再エネ普及で先行する欧州では、既に平成30年で、発電電力量構成における再エネ比率、30%以上を達成している国も多く、EUでは、2030年に57%にまで普及すると推計されている。

  ・一方日本の普及率は、平成30年の17%にとどまっているばかりか、2030年の目標も、22~24%とかなり低い。

  ・これまで地中に埋蔵された天然資源に乏しい日本は、資源の調達を海外からの輸入に依存せざるを得ず、常に資源の供給不安定化におびえてきた。

  ・一方エネルギー転換がめざすものは、化石燃料依存から再エネ利用に転換し再生資源を循環させる経済モデルである。

  ・すなわち、「資源調達を輸入に依存せざるを得ない」という、これまで日本にとって、圧倒的に不利であったゲームのルールが根底から覆されようとしているのだ。

 氏の意見は欧米に倣った「脱炭素」、「再生エネルギー」への転換であり、「資源のリサイクル」、「資源の再利用」で、「メタンハイドレート」は視野にありません。

  ・日本は、地下に埋蔵された化石燃料や鉱物資源に乏しくとも、地下から掘り出された天然資源の純度を高めて作られた製品が、膨大な量の廃棄物として地上に蓄積されている。

  ・これは都市の中に存在する「都市鉱山」とも呼ばれており、資源として位置づけるなら日本は紛れもない資源国となるだろう。

   ・日本には、再エネを主力化できる十分な資源ポテンシャルと技術がある。

  ・先進諸国の中でも、レアメタルのリサイクル、省資源化の高い技術を持つ日本は、国内の都市鉱山を最大限活用することで、資源を生み出す資源大国へと進化するチャンスなのだ。

 安倍元首相と青山繁晴氏に協力しないのは、経済産業省だけでないことが次第に見えてきました。

 研究機関  ・・・明治大学・研究・知財機構ガスハイドレート研究所、日本財団・ 東京財団政策研究所、

 業  界  ・・・石油業界、経団連、

 省  庁  ・・・国土交通省、環境省、文部科学省、外務省など、

 ほとんどが、「再生可能エネルギー」と「環境」分野への投資に向かおうとしています。

 欧州各国が突然「脱炭素」、「再生可能エネルギー」へと政策変更をした理由は何なのか。なぜ平沼氏が「欧米の動きに追いつけ」と主張するのかについて、理由をネットで検索しますと、「サステナブル・ブランドジャパン」の情報が見つかりました。

 「サステナブル・ブランドジャパン」は、持続可能な未来に関する国内外のニュースを配信するメディアだそうで、2016 ( H28 ) 年7月の記事がありました。

 記事の提供者と思われる箕輪弥生氏の名前がありましたので、略歴を調べてみました。

 ・東京生まれ、21才

 ・立教大学卒業後、広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立

 ・環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人『そらべあ基金』理事

 前回紹介した松本教授の意見は、「エナシフ」に掲載された平成29年のインタビュー記事でした。

 「エナシフ」も「サステナブル・ブランドジャパン」も、初めて聞く名前で、いずれも、設立年月日、本社所在地、出資者、役員などの情報が公開されていません。信頼できる団体なのか不明ですが、求めている情報を教えてくれるので利用します。

 ここでは箕輪氏が、「脱炭素社会」に向けて、国際石油資本である「スーパーメジャー」がどのような動きをしているかについて説明しています。

  ・米国の大手資本が、COP21パリ会議後に、化石燃料関連の投資からの撤退を加速させている。

  ・ロックフェラー家が管理する「ロックフェラー・ファミリー・ファンド」は、3月、化石燃料関連への投資を中止し、保有する石油大手エクソンモービルの株式も売却すると表明した。

  ・米金融大手「JPモルガン・チェース」も、同月、石炭産業からの引き上げを発表。

  ・「米バンク・オブ・アメリカ」、「シティ」なども、すでに撤退を示している。

 続く記事も氏のものなのかどうか、署名がないので分かりませんが、そのまま転記します。

  ・米国では、大手銀行や金融機関が相次いで、石炭や石油など化石燃料に関わる企業への投資を中止する「ダイベストメント(撤退)」という動きを強めている。

   ・この動きの背景には、COP21パリ会議において、温室効果ガス排出削減の目標達成のため世界各国の政府が環境規制強化を行うなど、政策の転換が強まったことがある。

  ・多くの銀行でも、COP21での合意 ( パリ協定 ) を実施に移そうと、化石燃料からの撤退を続々表明している。

 記事の書かれた平成28年は、安倍内閣の時です。ロックフェラーやモルガン財閥が、次々と化石燃料企業から撤退しているとは驚きでした。「スーパーメジャー」のリーダーである彼らが、方向転換しているのですから、「脱炭素社会」が世界規模で波及する理由が見えてきました。

 青山氏が提案する自前資源「メタンハイドレート」が、米欧の「スーパーメジャー」や「国際金融資本」の動きと無縁であることは、日本の置かれた立場からして困難です。

 箕輪氏の意見が「ねこ庭」の疑問を解く鍵になると考えますので、次回も続きを紹介します。

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自由民主党への疑問 - 4 ( 明治大学・松本良教授の意見 )

2025-01-27 15:57:00 | 徒然の記

 ここまでの調査・研究を進めながら、なぜ環境省と経済産業省が後ろ向きになったのか。

 青山氏の意見が根拠のある「エネルギー論」だと確認できましたので、今回からは青字の「疑問」を解いていきたいと思います。

 「青山さんが議員になれば、経済産業省が変わる。自由民主党が変わる」

 こう言って議員なることを強引に安倍首相から勧められたと、青山氏が自分の動画でよく語ります。自慢話と聞き流していましたが、安倍氏は党内に青山氏を引き込み、「メタンハイドレート」の開発を強力に進めたかったのではないでしょうか。

 「安倍の強権政治を許すな。」「安倍一強」と、在任中はマスコミに叩かれ野党に攻撃されていましたが、前回述べたように事実は案外無力だったのかも知れません。

 一方で「メタンハイドレート」の実用化に対する、強力な反対意見もありました。明治大学の松本良教授と東京財団研究所・主任研究員・平沼光氏の見解です。回り道になりますが、二人の人物の意見を紹介します。 

 〈 明治大学・松本良教授の意見 〉・・「研究・知財機構ガスハイドレート研究所」所長

  ・資源としては有用なものではありますが、実際に使えるようになるまでは、まだ数十年はかかるでしょう。

  ・もともと私の専門は、地質学と堆積学です。海底にたまった堆積物や、隆起して地表に上がった地層などを分析し、地球の歴史を解明するという研究をしていました。

  ・その中で、海底で奇妙な現象を見つけたんです。その原因を突き詰めたことから、海底下にガスハイドレートが存在する可能性に気付いたんです。

  ・ガスハイドレートとは、メタン、エタン、二酸化炭素などのガスと、水が作る氷状の固体結晶。メタンを主成分としているために、日本では「メタンハイドレート」と呼ばれることが多い。

  ・1立方メートルのメタンハイドレートが分解すると、160立方メートルのメタンガスが発生する。そのガスを回収できれば、精製する必要のないエネルギー資源になるわけだ。

  ・しかし、問題は存在する場所にある。

  ・太平洋側、南海トラフ(四国南方の海底にある深い溝)に、砂層型(さそうがた)と呼ばれるメタンハイドレートが存在することが分かっている。

  ・それがあるのは、水深約1000mの海底面の、さらに約300m下にある砂層。深海だけに、採掘どころか探索にもかなりの困難がつきまとっているのだ。

  ・東日本大震災以降原発が停止されたため、国内の天然ガス使用量は2倍くらいになっています。メタンハイドレートは天然ガスですから、それを日本で採れればと、期待できるかもしれない。

  ・でも現実的には、天然ガスの役割の一部分を、メタンハイドレートが果たすというくらいでしょう。

  ・メタンハイドレートさえあれば、日本のエネルギーは大丈夫だというのは、幻想ですね。

  ・存在している資源の全てが、回収できるわけじゃない。これを輸出できてなんていうのは、現実を知らない人だけです。

  ・そう言って、一般の人を惑わせてはいけないでしょう。

  ・資源については、間違ったことが平気で流されて時にはそれが、政策にまで影響してしまうということがあるので、関係者には、科学的事実を正しく理解し、共有してほしいと思います。

 平成29年のインタビュー記事ですが、当時はまだ深海底の資源開発の実用化について、技術面の困難さが大きく、松本教授の意見には説得力がありました。

 安価な資源が無尽蔵に存在すると言っても、取り出すための費用が巨額になるのなら、外国から買う方が安くなるからです。

 今では無人の海底探査機が開発され、回収にも具体的な方法が考案されつつあると青山氏が反論しています。初期投資がかかることは青山氏も認めていますが、実用化が遅れている原因は、回収実験に予算を投じない経済産業省の消極性にあると自分の動画で説明しています。

 どちらの意見が正しいのか「ねこ庭」は判断できませんので、次の意見を紹介します。

 〈 東京財団政策研究所・主任研究員・平沼光氏の意見 〉

 意見を紹介する前に、東京財団政策研究所を簡単に説明します。

 ・氏が所属する「東京財団政策研究所」は、非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言や、普及活動を国内外で実施している。

 ・急速にグローバル化する世界において、人類の直面する地球的諸課題を解決し、知的貢献のリーダーシップを取ることを目指し、ボートレース業界の総意により、日本初の世界レベルの独立的シンクタンクを目指し、平成11年に国土交通省により認可・設立された。

 ・平成30年に、「 東京財団政策研究所 」に名称変更した。

 つまり日本財団は、「日本船舶振興会」が名称変更した組織です。

 同会は海洋開発市場で必要とされる技術力の向上や、専門知識を持った海洋開発技術者の育成に取り組んでおり、「東京財団政策研究所」の設立はこの方針に沿ったものです。

 これで「日本のエネルギー問題」には、国交省とボートレース協会も参加していることが分かりました。

 平沼光氏の意見はずっと新しく、令和3年に中央公論 3月号に掲載されたものですが、スペースが無くなりましたので次回にいたします。

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