疑問だらけの自民党について、「疑問」を解いていくには回り道が必要になります。
氏の話が根も葉もない「空想」だとしたら、高市氏が無視しても、自由民主党の議員たちがそっぽを向いても当然の話です。
環境省が平成24年度に発表した資料があり、「メタンハイドレート」について次のように書かれています。
「メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンと水とが結合し、」「結晶化したもので、その形状から「燃える氷」とも呼ばれています。」
「メタンハイドレートは、メタンと水から構成される物質で、火を近づけると勢いよく燃えて、水だけが残ります。
「従来の化石燃料からは、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素や、」「酸性雨を引き起こす窒素酸化物や、硫黄酸化物が排出されていました。」
「メタンハイドレートは、二酸化炭素・窒素酸化物の排出量が、化石燃料の約3分の2です。」「硫黄酸化物は、ほとんど発生しません。」
「水深500メートルを超える、低温かつ高圧な環境が保たれた海底下や、」「極地方の永久凍土層の下、高山の地下などに存在するといわれています。」「特に日本海近海は、世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つとされています。」
「日本のメタンハイドレートの資源量は、平成8年の時点で分かっているだけでも、」「天然ガス換算で7.35兆m3、日本で消費される天然ガスの約96年分以上、と推計されています。」
環境省が発表したこの資料には日本の石油・LNG購入額の推移が書かれており、「印刷禁止」「取扱厳秘」と記されています。外国のスパイでもなく、国民の一人である「ねこ庭」の管理人が数字を知ることに対し、環境省はなぜここまで神経質になるのでしょう。
数字がなくても、「青山氏が大嘘をついているのか」を検討するブログの目的は達しますので金額は省略します。
平成8年と言えば今から29年前の話で、社会党党首・村山内閣の時です。息子たちと「ねこ庭」を訪れる方々のために、情報を年度別に整理し当時の内閣と関連づけてみました。
〈 平成 7年 ( 1995 ) 村山内閣 〉
・「第8次国内石油及び可燃性天然ガス資源開発5カ年計画」で、メタンハイドレートの掘削調査の実施が宣言された。
・メタンハイドレートの資源としての有効性を探求しようとする、国の最初のプロジェクトが始まる。
・石油公団 ( 当時 ) が、民間10社を率いて特別研究「メタンハイドレート開発技術」を立ち上げた。
〈 平成11年 ( 1999 ) 小渕内閣 〉
・上記計画に基づき「南海トラフ」が掘削され、日本の海洋で初めて「砂層型メタンハイドレート」の存在が確認された。
〈 平成13年 ( 2001 ) 小泉内閣 〉
・経済産業省が、「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」を発表し、本格的な開発研究が始まった。
・開発計画をけん引する、「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」(通称、MH21)が、東部南海トラフ海域やカナダ・マリック地域で掘削調査、産出試験を行い、メタンハイドレート開発に必要な技術の検証を行った。
〈 平成20年 ( 2008 ) 麻生内閣 〉
・日本近海が、世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つと確認された。
〈 平成24年 ( 2012 ) 安倍内閣 〉
・「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」( 略称「日本海連合」)が、設立された。
・青森県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県など、日本海沿岸の12府県による連合組織。
・同連合は「日本海側では、一部の地域における調査にとどまり、本格的な調査・試験が実施されていない」として、経産省に日本海側での予算の確保を要請した。
〈 平成25年 ( 2013 ) 安倍内閣 〉
・渥美半島~志摩半島沖(第二渥美海丘)で、世界初の海洋産出試験を実施。
・約12万立方メートル(速報値)のガスを生産し、メタンハイドレート開発の機運が高まった。
・通商産業省により、新たな「海洋基本計画」と「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」の改定がされた。
・商業化プロジェクトに向けた目標が、初めて設定され、海洋産出試験を含む工程表が示された。
〈 平成26年 ( 2014 ) 安倍内閣 〉
・「日本メタンハイドレート調査株式会社」が、次の目的で設立された。
1. 国が実施するメタンハイドレート開発の、海洋産出試験等に参画する。
2. 挙国的組織体制で、効率的、効果的、円滑に業務を遂行する。
3. 国内民間企業間と知見の共有を図るため、石油・天然ガス開発企業、エンジニアリング企業11社の賛同と参加により設立する。
〈 平成27年 ( 2015 ) 安倍内閣 〉
・メタンハイドレートの実用化と開発を加速化させるため、「日本海連合」に青森県、山口県が加入した。
〈 平成28年 ( 2016 ) 安倍内閣 〉
・2016年の日本のエネルギー自給率は、8.3%である。
・2014年の6.0%よりは高くなっているものの、他国と比べて低い水準であり、エネルギーを他国に依存している状態は、好ましくない。
( 注 : 前記3行は安倍内閣の意見でなく、説明書きです。 )
政府の取り組みを整理してみますと、経済産業省が、過去には前向きに取り組んでいたことが分かります。特に安倍内閣では、さらに具体的な動きが進んでいます。
以上環境省の資料から事実を紹介しました。青山氏が根拠のない嘘を述べていないことが、これで証明されました。
氏が参議院議員なったのが、平成28年ですから、平成24年頃は、独立総合研究所の社長として「メタンハイドレート」の調査研究に関わっていた時期と思われます。
「一強」と言われた安倍総理と、前向きな青山氏が取り組んでいたにもかかわらず、なぜ経済産業省は消極的な姿勢になったのか。ここまで調査・研究を進めながら、環境省が協力するのをやめ経済産業省がなぜ後ろ向きになったのか。
次回はこの「疑問」を解かねばなりません。