ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

溜まっている千葉日報新聞 - 4 ( 4人の読者の声 )

2025-01-14 18:45:58 | 徒然の記

  『きけ  わだつみのこえ』の読者の声

  これは平成30年3月に、「ねこ庭」がネットの情報で見つけた、『きけわだつみのこえ』を読んだ読者の感想文です。

 意見を寄せた人がどんな人物なのか分かりませんが、50年前の学生だった自分と重なるような気がします。 (「ねこ庭」が岩波書店の文庫本『きけわだつみのこえ』を読んだのは、昭和40年頃でした。)

 〈 読者 1   〉

  ・最近は、想像力の乏しい若者が多い。

  ・戦争がいかなる悲劇かをよく考えないで、日本に集団的自衛権の行使を認めるべきだとか、交戦権を認めるべきだとか、核武装するべきだとか、好戦的な主張をする人がいる

  ・それ自体は、今の日本では思想の自由を侵してはならないから、許されることなのだ。残念ながら。

 の人は、「最近の若い人は」と書いていますが、ご本人もおそらく30~40代の若い人である気がします。

 集団的自衛権、交戦権、核武装という言葉に反応して、即座に「好戦的主張」という言葉に結びつけてしまうところが、そっくり岩波書店的思考です。

 〈 読者 2  〉

  ・日本を戦争が出来る国に逆戻りさせたいと考える、思想の自由は認める。

  ・しかしそう主張する前に、『きけわだつみのこえ 』 は読むべきである。

  ・「故・上原良司氏の文章を読めば、戦争になると、国家は個人に対して、どんなにやりたいことがあっても、どんなに大切な家族がいても、死ぬことを強要する、と言うことが分かる筈である。

 読者1 の人も、読者2 の人も分別のある人らしく、憲法が保障する「思想の自由」を尊重しています。「戦争ができる国に逆戻りさせたい」人間は、多くの国民の中にいないのに、岩波書店や朝日新聞の言葉に染まるとこうなります。

 自分たちの意見がGHQが作った「自虐史観」であることに気づいた時、二人の新しい出発になるのではないでしょうか。

 〈 読者 3   〉

  ・22歳にしてこれほど、思想を錬磨した優秀な人材が、何千人も無駄に死なされたのである。

  ・それが戦争である。かかる悲惨が繰り返されて良いとは私には思えない。

  ・上原氏の文章を読んで、なお「戦争をしたい」という人は、気の毒だが知能が低いか、人間の悲しみを理解する感受性が、欠落しているのではないかと思う。

 この人も、岩波書店の優等生で、戦争を繰り返そうとしている国民がほとんどいないのに、好戦的な人間が溢れていると勘違いしています。今何才になられているのか分かりませんが、普通の知能を持つ人なら、「ねこ庭」が現在しているように自分の無知を恥じているのかも知れません。

 〈 読者 4   〉

  ・上原氏の遺書は、何百ページにもわたる『きけわだつみのこえ』の、最初のたった一文だけである。

  ・このあと、延々と、涙なくしては読めない文章が続く。

  ・それでも、戦争をしたいのなら、戦争になったら、まず自分から志願して下さい。と申し上げる。 

 学生時代を思い出しますと、「ねこ庭」も読後には反戦・平和を願う気持に駆られ、亡くなった学生に深く同情しました。自分と同年代の学生たちの遺書だったので、涙無しに読めませんでした。

 息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に、4人の方の意見を紹介しているのは、批判や否定のためではありません。反日・リベラルの出版社と大手マスコミが協力すると、どれ程大きな影響を若い人たちに及ぼすかという実例を、自分の経験を踏まえて紹介しています。

 真摯に本を読み、日本の未来を考えているから、4人の方は意見を述べています。このような真面目な人が、その後両論併記の『戦没学生の手記に見る15年戦争』を読んだ時、意見がどのように変化するのか。 

 あるいは「温故知新の読書」で、「戦前戦後の日本史の大河」を自分で眺め、「GHQによる三回の関与 ( 日本弱体化計画  ) 」を知った時、この方たちの意見がどのように変化するのか。

 4人の読者の意見は、言葉遣いは似ていますがどう読んでも過激な反日・左翼の主張ではありません。日本を「恨みと憎しみ」から攻撃しているのでなく、憂国の思いで言葉が発せられている気がします。

 その後知識を得た後での4人の方の思考の変化・・ねこ庭」は、そこに期待と関心を寄せながら、感想文を紹介しました。余計な寄り道だったような気もしますが、自己反省のためにも、記録に残したくなりました。

 次回は、びっくりする事実が、最初の記事から見つかりましたので楽しみにしていてください、と言った本題に戻ります。  

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溜まっている千葉日報新聞 - 3 ( 両論あった学徒の意見 )

2025-01-14 08:31:37 | 徒然の記

   共同通信社の、ゆがんだ世論誘導の意図

 過去記事を調べてみますと、8年前の平成29年7月と翌年の3月の2回、上記に関係する検討作業をしていました。

 8年前の検討のきっかけは、わだつみ会編『戦没学生の遺書にみる15年戦争』(昭和38年刊 光文社) を読んだことでした。

 以前、昭和24年出版の『きけわだつみのこえ』を読んでいましたが、内容が微妙に違っていたため、戦没学生の手記を集めた本が、これまでどのように出版されてきたのかを調べてみたのでした。

 1.  『はるかなる山河に』 昭和22年 東京大学協同組合出版部刊 ( 東大生のみの遺書 )

 2.  『きけわだつみのこえ』 昭和24年 東京大学協同組合出版部刊

   この本は、後に岩波書店から文庫本として出され版を重ねています。

 3.  『戦没学生の手記に見る15年戦争』 昭和38年  光文社刊 

   この本は、後に「第2集きけわだつみのこえ」と改題されました。

   1.  の『はるかなる山河に』は非常な反響を呼び、当時のベストセラーになっています。昭和22年に初版本が出ますが、昭和24年には第5版が印刷されていました。

 しかしこの本に対し、東大だけが大学生ではあるまいとの批判が巷からあったため、東大協同組合出版部は、全国の大学生を対象として遺書を広く募集し、昭和24年の『きけわだつみのこえ』として編纂したのだそうです。

 書名の由来につきましては、ネットの説明をそのままに紹介します。

 ・学徒兵の遺稿を出版する際に、全国から書名も公募し、応募のあった約2千通の中から、京都府在住の藤谷多喜雄氏のものが採用された。

  ・藤谷氏の応募書名は、 「はてしなきわだつみ」であったが、これに添えた応募用紙に次の短歌が書かれていた。

   嘆けるか怒れるか はた悶せるか 聞け果てしなきわだつみの声

 ・ということで、短歌から「わだつみのこえ」が取られたと言う。

「 わだつみ 」が、今では戦没学生をあらわす言葉のように使われていますけれど、元々の意味は海神 ( わだつみ ) を意味する日本の古語だとのことです。

 学徒の遺書を扱った本の過去を調べる気になったのは、「ねこ庭」が読んだ上記2.と3.の内容が、違っていると感じたためでした。2の『わだつみのこえ』には、日本精神主義的な学生の遺書や、戦争謳歌に近いような遺書がほとんどなかったのに、3の『戦没学生の手記に見る15年戦争』には、日本賛美や肯定の遺書が混じっていたからです。

 ネットの情報によりますと東大協同組合出版部は、昭和24年の編集方針として「平和への訴え」を掲げたため、遺書の言葉が戦後の反戦平和運動のスローガンに利用されたと、述べていました。

 日本がサンフランシスコ条約に調印し、独立するのが昭和26年ですから、『きけわだつみのこえ』が出版された昭和24年当時は、GHQが日本を統治していた時です。

 出版物には当然GHQの検閲 ( プレスコード  ) が入り、戦争を肯定する言葉や米軍の批判は削除されました。掲載された遺書が「反戦、平和」「軍国主義の否定」で編集されても致し方なかったと、今でも言わているGHQの影響力に驚きました。

 実は昭和26年に、サンフランシスコ講和条約を批准し日本が独立した後、戦没学徒の遺族から岩波書店に要望が出されました。要望は次の二点でした。

   1.  GHQの検閲で削除・修正された箇所を、元の文章に戻してもらいたい。

   2.  GHQの検閲のため取り上げられなかった、戦争肯定の手記も取り上げて欲しい。

 しかし話がまとまらず、結局裁判沙汰になったそうです。

 岩波書店は『きけ  わだつみのこえ』を何度も自社で出版していますが、両論併記をした『戦没学生の手記に見る15年戦争』の出版を、断りました。良心的、人道的、平和主義を標榜する岩波書店は、一度決めたら反日・リベラルの主張を捨てない朝日新聞と同じ体質の会社でした。

 結局、昭和38年に、『戦没学生の手記に見る15年戦争』は、光文社がカッパブックとして出版しています。

 同年の『戦没学生の手記に見る15年戦争』の編集に際しては、国家的表現や日本主義的言辞が含まれた手記も、戦争の事実として採録されることとなりました。死を前にして学徒たちがどのように考え、何をしていたのか。右も左も区別せずそのまま掲載し、判断を読者に任せようというのがカッパブックの姿勢でした。

 以上が8年前に検討した内容ですが、特攻に臨んだ学徒の思いは共同通信社の記事のように、「特攻は死刑のようなもの」という批判的な意見ばかりでなかったことが証明されています。

 こうした出来事は報道されませんので、国民には伝わりません。遺族の方々と岩波書店の裁判がどうなったのかは知りませんが、事実が世間に知られていない証拠が、共同通信社のおかしな記事が今になっても国民を惑わせていることになるのではないでしょうか。

 テーマが横道へ逸れますが、マスコミと出版社が協力すると、どのように国民が影響されるかの実例を、『きけ  わだつみのこえ』の読者の声を見つけましたので、次回に紹介します。

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