『嵌められた日本』を、読み終えました。博識の著者は沢山のことを教えてくれましたが、一方では、私も及ばない「思い込み」の強い人物でした。
複雑な思いで、読後の本を眺めています。自分のことを棚に上げた上で、言いますと、「過激な意見は、真実を外れる。」ということでしょうか。右でも左でも、過激な意見は所詮過激な意見で、多くの人が敬遠する偏りがあります。氏の著書も、読み通しますと、その例に漏れませんでした。一つだけ、変わらずに共鳴するものを上げるとすれば、「日本を愛する心」でした。
反日・左翼の書が溢れ、反日の報道が発信される現在の日本を思うと、氏の意見を、過激の一言で切り捨てる気になれません。氏以上の「思い込み」を、承知の上で、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に、氏の4つの意見をお伝えしたいと思います。
1. アメリカへの視点 2. 中国への視点
3. 『秀真伝』(ホツマツタエ) 4. イルミナティ
《 1. アメリカへの視点 》
・国が違えば、考えも異なる。アメリカ人は、駆け回りもしないし傍観もしない。彼らは猫科の動物で、言ってみれば、虎かライオンの本能を持つ。私はアフリカで、ライオンの放し飼いを見たことがあるが、大抵は寝そべっている。
・動いても極めて緩慢だ。とてもそんな奴が、しま馬とかキリンとかいった、俊足の動物を襲えるなどとは、想像できないが、機到れば、サッと獲物に飛びかかる。その機を見る目、飛びかかる速度、噛みつく力はやはり百獣の王である。
・米国は、アフリカのステップに棲んでいるのでなく、近代国家軍の中にいるわけだが、くだんのライオンと、あまり変わっているわけではない。日頃は日本が、肉を与えてくれ、商品と金を、気前よくくれるのである。毎日緩慢な生活を送る。
・肉が無くなったら、どうするのか。その時は飼育係の日本人の隙を見て飛びかかる。ライオンは獣である。飼ってもらった恩などを、感じはしない。彼にとって、人間もまた肉塊に過ぎないのだから。
・私はずっと以前から、日米は歴史構造の上から、絶対の敵対者だと述べてきた。これは歴史工学の示すところで、機械的必然である。
これが、氏の一貫して変わらない「米国観」です。欧州はもちろんのこと、ロシアも中国も同根の国だというのが、氏の「歴史構造」分析です。日本以外の国は、米国の思考や文化を受け入れる素地がありますが、「八百万の神」を信じ、「皇室で一つにまとまる」日本人だけは、未来永劫米国式思考や文化を受け入れません。
だから、米国と日本は歴史のある限り絶対の敵対者となる・・と、これが氏の言う「歴史工学の、機械的必然」です。ユニークな意見ですが、一面の真実があるような気がします。
《 2. 中国への視点 》
・古い時代から、中国と日本はただならぬ仲である。漢字、漢文学、儒教などは古くから入っているし、早くから、朝鮮半島への影響力を競ってきた。」
・古い歴史を持つ中国は、すでにその民族、社会、国家としての寿命を終えているので、統一されれば確かに大国らしくなるが、とても近代国家として立ち、一人前の近代強国として、実質的な力を持ち得るものではない。
・蒙古にせよ金にせよ、侵攻した実勢力は極めて少数で、彼らは漢民族の中では、大海の一滴に過ぎない。その一滴が、漢民族を承服・支配できたのは、なぜであるのか。それは漢族が、2000年の文明を経て腐敗老残していたからに他ならない。
・その腐敗は、他民族との混交による相互排斥と殺戮、及び文明、特に物質金銭への欲望がもたらしたものだ。時代により汚濁の様相は異なるが、文明による人間集団の腐敗は、人体の老化のようなもので根本的に若返ることはない。
漢族はこのようにして清に支配され、清もまた、漢族の腐敗に汚染され、自らから倒れたのだと、氏は説明します。
・以前毛沢東は、中国を世界の前衛として誇示していたが、それは愚かな誇大妄想であって、中国は遥かな昔に、すでに生命を終えた国家と社会の残骸なのである。
・以前の中華民国も、また今日の中華人民共和国も、等しく大国の矜持と幻想を抱き、日本に対し、対抗心のみならず優越感を持っている。
・今世紀の中国は、膨大な人口、巨大な資源を擁しながら、社会は腐敗し、政治は乱れ、一種の奇形国家として列強の前に放り出されていた。いわば美味しそうな焼けた豚が、食卓に出されたようなもので、世界の強国はそれぞれの肉にありつくべく、動き出した。
・蒋介石が、日本権益、列強権益に不快の念を抱き、東洋鬼 ( トンヤンキ・日本人 ) と、洋鬼を追い出そうと策を巡らせたのは、自然である。
・遅れて姿を現したアメリカは、同じ侵略を目指す国であったが、イギリスと日本を追い出すことで協力した。
中国への視点は、長いので後を省略しますが、要するに氏が言いたいのは、「侵略されたのは、中国自らが招いたものだ。」ということです。まして日本を、逆恨みするのは本末転倒でないかと、そこまでは言っていませんが似たような論調です。
いずれも、過激な主張ですから、中国人ばかりでなく、日本人の中にも、それは言い過ぎだろうと、不快になる人間が生じるのではないでしょうか。私もその一人で、共産党の支配する中国政府は嫌悪していますが、押さえつけられている一般国民に対しては違う思いを持っています。
一つの見方として、息子たちの参考になればと、紹介しました。次回は、『秀真伝』(ホツマツタエ)と、イルミナティの二つです。参考になると思わない方は、スルーしてください。