平成の 安寿と厨子王 何処に行く

2006年07月30日 | 僕…
僕は昼日中…家の近所を散歩をしていました。
まだ梅雨明け宣言が無い関東地方は…今日も暑いです。
そんな中…チンタラ歩いていた僕に近づいて来る男女がいます。

女は高校生くらい…男は中学生くらいです。
2人とも真っ黒に日焼けをしてます…そして身なりは汚れています。
早い話が…汚い子供が近寄って来たのです。

男の子は僕に聞きます「F市までは歩いて行くにはどうやって?」
僕の住む町からF市までは…車で約2時間くらいです。
僕は『まあ歩いて行けない事もないけど…夜になっちゃうよ』
男の子は「構いません」と…疲れている様子です。

すると女の子が「私達一週間歩き続けています」と悲しい顔です。
『一週間も…なんで?』と…僕は不思議だと思い聞きます。
女の子は「交番でお金を借りようとしたけど…身分証がないから駄目だって」
彼女は僕の質問を無視して…その場に座り込みます。

その時僕は…財布を自宅に置いて来ていました。
男の子は「そんな事言うなよ!」と…急にキレます。
女の子は…今にも泣きそうです。

僕はお金を貸してあげたくても…財布を持っていなくては仕方ありません。
『ゴメンね。お金を貸してあげたいけど…財布を忘れてしまって』と正直に言うと…
突然男の顔は興醒め…女の子は元気良く立ち上がります。

『あれれ?』僕は彼等を良くみると…2人ともビーチサンダルです。
『ビーサンで…一週間歩いてるの?』と聞くと…2人は後退りします。
『F市の何て云う駅なの?』と訪ねると…下を向きます。

『君たちさぁ…』と僕が云うと…「もういいです。あっちに行って下さい」と。
僕は家に戻って…車で送ってあげようとしたのです。
でも奴等は金目の餌食が無い僕を…邪険にしたのです。

『F市には…この道を真直ぐ行って…』そんな僕の道案内を聞いていません。
女の子は…もう違う人に道を尋ねています。
ごめんよ!僕は…本当にお金を持っていなかったのだよ!


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