日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
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「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラの最新作。
ほとんど「何も起こらない映画」という噂を聞いていたので、かなり警戒して鑑賞。

ところが、そこまでではなかった。
主人公(スティーブン・ドーフ)は、たいした努力もせずとも運よく出世し、今はハリウッドの人気俳優という設定。
超一流のホテル住まいで、クルマはフェラーリ、女は寄ってくるし、派手な生活を謳歌している。
(正にフェリーニ「甘い生活」!)

が、彼の心は常に空しい。
妻とは離婚し、生活は派手だがすさんだ日々。
その元妻が娘を放り出していなくなってしまったので、11歳の娘・クレオ(エル・ファニング)を預かる。
そして....


Eaglaesが歌い、リンチが追求していた L.A.の退廃的なムードがよく表現されていて、そのトーンがマル○。

それだけでなく、ソフィア・コッポラが仕掛けたいくつかの罠にすっぽりはまってしまう自分が。
幼少時代の思い出から着想を得たとのことで、さすがコッポラの娘?!経験値が半端ない。

例えば「ロスト・イン・トランスレーション」でも追求した「異文化世界」の中にいる感覚。
今回はイタリア旅行(ここでフェリー二っぽい感じが強化される)

あるいは短いシーンなのだけれど、キラキラしたプールの中のシークエンス(写真)

とか、娘クレオのお稽古ごとをえんえんと映す、親は皆経験するだろう微妙な感動を再現する感覚。

そして駄目押し、音楽のセンス。
Phoenixとか strokesとか、さらにはエンドタイトル。
かかる曲は「ロスト・イン・トランスレーション」でビルマーレーにカラオケで歌わせたあのアーティスト。

そんなイメージのパンチが観た直後にも感じてはいるのだけど、あとからじわじわ効いてくる(笑)
ベネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得したときも、まとめていたタランティーノもそんなことを言っていたらしい。
(彼は彼女の元カレだから多少割り引かなければだが)
ただこの、やられた感覚がしばらく尾をひきそう、という点で見捨てては置けぬ1作となった。



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